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エピソード3:Art Basel Hong Kongで感じたこと(1/2)

憧れのArt Basel Hong Kong

先月の3月30日31日で、香港で開催されたArt Baselを観に行ってきた。(金曜の夜発、日曜の夜帰りの弾丸で。)前職で、Affordable Art Fair Hong Kongの運営で出張して以来、2年ぶり2度目。

世界中で開催されているアートフェアでも、Art Baselは特別。世界の一流ギャラリーが、最高クオリティの作品を展示する貴重な機会である。
行ってみて感じたが、全てが規格外であった。

チケットが買えない

まず最初に驚いたのが、チケットが当日チケットが買えないということだ。11:00販売開始予定のチケットに8:30から並ぼうとしたところ、すでに1日券はSold Out。いきなりBaselの次元の違いを思い知らされる。

仕方なく、並ぶがその後も長蛇の列。ついには、9:00を過ぎたタイミングで、全チケットがSold Outというアナウンスがされた。なので、そのあとに来た人は、チケットに並ぶことすら許されなかった。

アートを楽しむ絶妙なバランス

並んでいてずっと思っていたのは、オンラインでチケット購入しとけばよかったという後悔と、どうしてもっとチケットを売らないのか?という疑念であった。

アートフェアの収益は、スポンサー料、ブース出展料、作品の販売手数料などあるが、チケット収入も大事な収益源となるからだ。後の発表では、過去最高の8万8000人が来場したそうであるが、会場にいる感覚は少し違った。

”もう少し人が入るんじゃない?”

もちろん、ガラガラではない。各ブースに大勢の人が入っている。けど、チケット販売を打ち切るまでの人かといえば、そうではない気がした。

けど、しばらくしてその考えは改まった。人の制限は、アートを楽しむための空間の余白であると気づいたからだ。

一般的なアートフェアは、作品を1つでも売りたいため、ブース中に作品を展示しがちである。(以下のような感じ)

アートフェアへの出展費用もタダではない。そのため、1つでも多くの作品を展示して、販売したい気持ちはよくわかる。しかし、バーゼルではこのようなスタイルの展示はほとんどみなかった。空間をぜいたくに使用して、余白により1つ1つの作品を際立たせていたのである。

これは、経済合理性からは反している。しかも、アートフェアというマーケットの中で、この矛盾が成立している。

アートはお金にならない、ビジネスにならないと言われるが、このように合理性から外れること、そしてその非合理的な矛盾を成立させることが、アートとビジネスを融合させることだと感じた。

巨大化する現代アートビジネス

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