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叫び

窓際の席でお茶をしてたら 向かいの道路、 拡声器を持ってものすごい言葉を
ものすごい勢いでがなりたてるひとがいて 本の言葉が入ってこなくなった。
ああつらいなぁと、 いつもなら、 さっとお茶を飲み干し、 そこから離れようとなるはずが 全身から怒りを放ち、 何かを訴えるそのひとは そうしてまで伝えたい思いが、 そのひとにはあって 人気のない日曜のオフィス街、 巨大な拡声器をかついで出向いて叫んだはるそのひとの、 聞くに堪えない、 その怒声 これは脳がやられると、 全力で耳をふさぎながらも その様子、 異質なものに思えなくなった。

そのひとの主張は、 台湾や中国、 軍事的なことに関わるものだったけど
そのひとと同じくらいの、 なにかしらの強い怒りであったり、 叫びというのは
いまこの社会に生きているひとたくさんに あるものではないかと思った

もしも国会前で、 ものすごいデモが起こり もしもマイクを渡されたなら
そしてこの男のひとみたい、 自己抑制の針がスパーンと振り切っていたならば
きっといくらでもの政治への憤り 言葉は選べど あふれるように叫びとなって
発することは 自分にも、 あるかもしれなく きっとある。

種子も苗もお米への放射線育種も、 汚染水の放出、 原発の再稼働、 福島や沖縄への仕打ち、 ピーファスの問題に、 木の伐採、 リニアに、 辺野古開発も、 川棚のダム建設、 アイアールも、 おぞましい万博も、 迫るインボイスも 書き出したらまだいくらでも、 何十行でも、 きっと書ける。

ひとり人気のない路上に立ち、 ひとつのビルへ向かって叫ぶそのひとを見て
みんな、 叫ばなすぎるのだと思った。

そのひとが叫びながら訴えられるお話は、 堪え難い表現もあいまって
賛同の思い、 微塵もうまれなかったけれど
わたしはそのひとが 当然の権利を行使しているように見えた

怒声はエスカレーションし怒号へと変わり、 わたしはぎええと耳をふさぎながら
その様子を見ないようにしながら ビルにいる人はきっと迷惑千万であることを思うのと同時に、 なんのテナントが入っているのかが気になった。

おかしいを叫べば、 叫びを向けられている方へも、 それを目にするひとの意識は向かう。 神宮外苑の木の伐採が、 署名運動や、 著名人の声明をきっかけに、 たくさんのひとの認識が、 それを行おうとする、 都や、 三井不動産へ合わさるように

叫ぶという選択肢 そのコマンドを 気づかぬうちに 消去されたみたい
さらには、 叫び訴えるという行為を よくないものとプログラムされ
そうしたありかたは 社会から特異に映り ひとの意識 また行動によってでも
全体の秩序を乱し、 公共公益を害するものとして 非難され、 排除される

害するもの  ほんとうに、 そうなのか

目に耳にした、そのひとの、 暴力的な、 理解できない叫びと訴え
声帯を切られたようにいるわたしは、 そうと、 思えなかった。


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