見出し画像

防衛反応の時期の乗り越え方②ジェットコースター・逃げろ作戦

私の子育てで感じたことを書かせてもらっています。

感覚過敏が強くても赤ちゃんの時はごまかしながら療育の取り組みにも参加できていたのに、自我が目覚めて主張し始めると様々な働きかけから自分を守ろうとする防衛反応の強めてしまい、ほとんどのことを拒否しようとし始めました。


良かれと思って提案する遊びは、全てイヤでした。抵抗するだけの身体能力と泣いて主張することも上手でなかった娘は、都合の悪いことは聞こえていないような無反応、無表情にどんどんなっていきました。
楽しい設定の療育でも、やらされている感満載で警戒する表情で、気持ちを緩めてあげることが難しく時間も体力も必要でした。

この無表情や警戒した表情が親にとってはとてもつらくて、
「親として認めてもらえていない?」
「存在を無視されている?」

泣かない、訴えてこないのが不安にさせます。
「物事に感動や感情を持てないの?」
「楽しくないの?したくないの?」

感情を読み取らせないかの様に、顔を下に向ける娘の表情をのぞき込んで何とか気持ちを理解しようとしている時期がありました。
そして、時間はかかったけどこの無表情や泣けないことが理解できてきました。

感覚統合に問題ある子どもも、私たちと同じ感情を持っていて、でもその感情の動きが感覚の受け取り方の違いによってスタートが違うんです。
私たちが思うよりずっと小さいことで不安や恐怖を感じていて、リラックスするのに時間がかかるんです。楽しい提案も、本人にとっては過剰な感覚で求めていないんです。人に対する感情も、仲良くなろうと働きかけられればられるほど脅威に感じているようでした。

まんま「北風と太陽」のお話みたいに
こちらからの気持ちをグッとこらえて、待つこと

働きかけの加減は本人の受け入れ可能な分だけで、本人が欲することを待つことがとても難しくて、個別に設定できない集団の中では、ひたすら気持ちを落ち着かせるための説明やなだめる声掛けを耳元でささやき続けていました。

この本人の求めているだけの働きかけを心掛けて、気持ちを待ってあげることが一つ目で、まず信頼関係を作ります。

二つ目に、無表情から卒業するために泣いて、叫んで発散することをトレーニングしていきます。
これが、「ジェットコースター作戦」と「逃げろ!作戦」

ジェットコースターは絶叫することで、スリルが楽しさに変わります。実際にジェットコースターに乗れる場合は、「怖いところに来たら一緒に叫ぶよ」と約束して乗ります。本人が発声できなくても、一緒に叫ぼうと誘いながら「キャー」「怖いところまたキタ――(゚∀゚)――!!」「ほらっ!思い切って声出してごらん」と声に出すことが発散出来ることで楽しくてスッキリさせてくれることを教えていきます。
もちろんいきなりジェットコースターでなく本人がトライ出来そうな乗りものでいいので、ちょっとずつスリルに挑戦させていきます。

この「ジェットコースター作戦」は嫌だった感触遊びをするときも、「これ気持ち悪ーい!」「キャー助けてー!」「嫌だ―!」を思いっきり叫びながら触ってみることで、感触遊びの嫌があるからこの発散(叫ぶ)が面白いになっていきます。
叫んだあと、「嫌だったけど、面白かった」に変換できると感触の受け入れも近いです。
 

そして、もう一つの作戦が子供の頃、親戚のおじさんがいたずらで脅かすのが怖くておじさんから「逃げろ」と走ったあとのスリルが、遊びに代わっておじさんが嫌なのか、来てほしいのか分からなくなったことは無いですか?これが「逃げろ!作戦」の気持ちの変換です。

この心理を使った、対象への、気持ちをすり替える作戦で、娘は苦手だった鏡やいろいろなことを受け入れれるようになりました。
空いているスーパーの洋服売り場の姿見を使って、「ぎゃ。ここにも鏡がある。逃げろ!」少し逃げて「ぎゃ!こっちにもある。逃げろ!」を繰り返すことで、一緒にドキドキを共有してゲームにしました。ゲームが楽しくなると、嫌だったはずなのに鏡があることを期待して、鏡を前に少し微笑む様子が出てきました。

結果的に、鏡への苦手意識が減ることと、スリルを共有して楽しめた母への親しみもアップさせる作戦です。
こういうの恋人なら「吊り橋効果」というのかしら?

子どもにとっても、支える親にとっても悩ましい防衛反応の時期を越えるために、ぜひお試しください。
そして、苦手なものを乗り越える瞬間に、お母さん、お父さんが傍に居てあげてほしいと思います。

近年は、少子化で一人っ子のお子さんんも多いはずです。
手のかかる子どもの方が安心と聞いたことありませんか?
発達障害、健常に関わらずいじめに合わないためにも、嫌なことにはしっかり自己主張して怒る叫ぶトレーニングは必要なことだと思います。
おとなしくて、お利口過ぎるお子さんは、「NO!」と言える自己主張をさせてあげてください。子どもの頃は、面倒な存在であるべきなんです。
仕事の忙しさにお利口にしてくれてありがたいと、おとなしさを求めすぎると、後々お子さんが自分を守るために拒否や主張、自分の考えを持つ力が育っていない可能性があります。

喧嘩してもめても簡単に人間関係が壊れるのでなく、修復できるしかえって仲良くなれる経験など、問題があってこそ考える機会が存在するんです。
逆に、問題がなくずっと穏やかな環境では、大人になってからの適応力、対応力、自己肯定感が育たないままかもしれません。

肢体不自由児で知的障害のある娘には、もちろん安心感のある家庭環境をと思っていますが、適度なストレスを与えてくるお父さんに「やめろー!」「うっとしいな~!」等、母が代わりに言葉にして抵抗する術を教えている我が家です。
〇相手が大切な人でも違うこと嫌なことはちゃんと言う
〇自分の気持ちを主張して相手との折り合いをつける練習
〇親はどんな気持ちでも受け止めてくれる存在である
こと等、たわいもないことですが結構奥深い教育だと思っています。

防衛反応の時期を乗り越えて、上手に自己主張できるようになるまでサポート出来れば、発達障害のある子どもの心も成長して穏やかになっていってくれると思います。
子どもの心が成長して穏やかになるまで、本人の葛藤とそれを支える親の葛藤はあって当たり前です。どんと受け止めましょう!


ここまで、読んでいただいてありがとうございます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?