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言葉にしていいんだよ

新川和江さんの有名な詩、「わたしを束ねないで」。

とても好きです。

中学3年生の国語の教科書にのってるんですね。

教科書にのせておきながら、大人都合で束ねたい教育。

矛盾に戸惑ってしまう。


たぶん、詩の技法だけを学習させればそれで良し。
詩を心から感じて理解する情緒を育ててはもらえない。


言葉にしていいんだよ。

「わたしを束ねないで」って。。。。。

自分の心にも言ってみて。

「わたしを束ねないで」って。。。。。

わたしを束たばねないで
あらせいとうの花のように
白い葱ねぎのように
束ねないでください わたしは稲穂
秋 大地が胸を焦がす
見渡すかぎりの金色こんじきの稲穂

わたしを止とめないで
標本箱の昆虫のように
高原からきた絵葉書のように
止めないでください わたしは羽撃はばたき
こやみなく空のひろさをかいさぐっている
目には見えないつばさの音

わたしを注つがないで
日常性に薄められた牛乳のように
ぬるい酒のように
注がないでください わたしは海
夜 とほうもなく満ちてくる
苦い潮うしお ふちのない水

わたしを名付けないで
娘という名 妻という名
重々しい母という名でしつらえた座に
坐すわりきりにさせないでください わたしは風
りんごの木と
泉のありかを知っている風

わたしを区切らないで
,コンマや.ピリオドいくつかの段落
そしておしまいに「さようなら」があったりする手紙のようには
こまめにけりをつけないでください わたしは終わりのない文章
川と同じに
はてしなく流れていく 拡ひろがっていく 一行の詩
出典:まほろばことば


大丈夫。

束ねなければ可能性は無限に広がるんだから。




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