●●ジャーナル(転載)

※私の友人が書いている(もうすぐなくなりそうな)某ブログの記事について、本人の了承をもらい、転載しました。

内容はありませんが、話題が時宜に合っているので載せてみました。

 


つい先日、通勤で運転していると、カーラジオから「●●ジャーナル」というタイトルが聞こえました。


ある番組の1コーナーらしく、「出演者(パーソナリティ)」が各新聞の朝刊を読みながら、時事問題を評論するという形式のようです。5分くらいの短いコーナーなので、「出演者」が記事を読んで、一通り持論を述べると終了します。


今回のテーマは、①安倍総理大臣がイランを訪問したこと、②消費増税と参議院議員選挙、の2つでした。①が大半で②はおまけ、という感じです。


まずは、①安倍総理大臣のイラン訪問、についてです。要約すると、「安倍さんがハメネイ師と会談したこと自体が凄いことだ」・「何の成果もなかったという批判があるが、それなら野党の指導者が会いに行けるのか?そして成果を得られるのか?」だったと思います。


続いて、②消費増税と参議院議員選挙です。要約すると、「前回、消費税率を上げた際、『増額分は社会保障に充てる』と政府は説明していたが、実際は別の用途に充てられている。このようなことで良いのか。増税に賛成・反対それぞれ立場があると思うが、しっかり考えて投票しましょう」だったと思います。


ちなみに「だったと思います」と書いたのは、適当に聞き流していたので記憶が定かではないためです。radikoのタイムフリー機能を使えば、もう少し正確に再現できますが、はっきり言って、そこまでする必要を感じないので、「曖昧な記憶」に基づいて書きました。


それでは、ここから本題に入ります。


まずは、①安倍総理大臣のイラン訪問についてです。


国内外のメディアで報じられているように、今回の安倍氏の訪問および政治指導者たちとの会談は失敗に終わりました。安倍氏がイランを訪問した一連の経緯については政治的な立場によって見解が分かれるところもありますが、「イランの外相の要請→安倍氏がトランプ米大統領に提案→ロウハ二大統領およびハメネイ師と会談」というのが概ねの流れです。


ロウハ二大統領およびハメネイ師と会談し、アメリカおよびトランプ大統領の考えを伝え、互いの仲介を試みたものの、イラン側からは断固として拒否された、というのは紛れもない事実です。事実、ハメネイ師の公式ツイッターに、そのことははっきりと書かれています。要するに、「トランプの遣い(特使代わり)でイランに行ったけど、何も引き出せずに帰ってきた」ということです。


そのことを書いた新聞記事について、「出演者」は上記のようなコメントをしました。あのさ、「日本国の行政権の長として国民を代表して外国を訪問し、政治指導者と会談すること」の何が凄いの?仮に「凄い」のなら、既に20回以上も会談を重ねているプーチン露大統領とは「スーパー凄い」関係になっていますね。そういえば、北方領土が『日本国固有の領土』から『主権が属する領土』に、北方領土は『返還』から『引き渡し』に、政府の答弁がいつの間にか変わっているのは気のせいかしら?もしかして、平和条約の締結をエサに「北方領土の主権はロシアにある」と認めさせるロシア側の戦略にハマっちゃった?


閑話休題(話が飛んでしまい、すみません)。上記のコメントを少し詳しく書くと、「欧米を始め、多くの国の首脳が会って話をすることさえできなかった、イランにおける絶対権威であるハメネイ師と会談すること自体が、凄いことだ」ということだそうです。このコメントについてのツッコミは以下の通りです。

(1)「イラン・イスラム共和国が建国されて以来、イランは欧米の各国とは深刻な対立関係にあり、政治面・経済面で多くの制裁や干渉を受け続けている。最高指導者かつ国家元首であるハメネイ師が、対立関係にある欧米の指導者とわざわざ自分から会うわけがない」

(2)「日本とはパーレビ王朝時代から外交関係が良好で、西側陣営にありながら、イスラム革命後も友好的な外交関係を築いてきた。長年の友誼に基づき、政治実務のトップであるロウハニ大統領に加え、ハメネイ師も会談することで、訪問してくれた安倍氏の顔を立てた」


トランプの『特使』にすぎないことは分かっていたはずなのに、わざわざ国家元首が会談をしてくれたことが何を意味するかを、今一度、よく考えてほしいものです。後半の「野党ガー」は論ずるに値しません。そもそも日本国を代表して外国を訪問し、首脳と交渉のための会談ができるのは、内閣総理大臣(および閣僚)だけです。仮に野党の指導者が訪問してハメネイ師と会談したところで、日本国を代表して意思表示をしたり、交渉することはできません。


今回の「イラン問題」についてはいろいろ書きたいことがありますが、本題から外れるので、「出演者」の与太コメントへのツッコミだけにしておきます。


続いて、②消費増税と参議院議員選挙です。こちらは時間が短かったためか、上記のコメントくらいでした。コメントにツッコみを入れる前に、大事な事実を書いておきます。


「選挙の結果如何に関わらず、消費増税は予定通り実施される」


既に消費税率が10%になることを前提に今年度の予算案が組まれ、関連法案も含めて3月中に可決・成立しています。今年度の予算および関連法令は施行されており、軽減税率を適用するための事業者への費用補助なども始まっています。


野党はともかく、政府・与党は今さら「選挙前だから消費税率は据え置く」とは口が裂けても言えません。仮に税率を据え置く措置を取る場合、予算案と関連法案を作り直すか、必要な財源を捻出するため補正予算案を作るか、が必要になります。前者は現実的に無理な話です。後者は当初予算が間違っていたことを国内外に公言することになり、また軽減税率の件も含めて大きな混乱を招くため、これまた難しいと思われます。よく出てくる「リーマンショック級」という言葉は、修辞の域を出ません。


本題に戻ります。出演者がコメントしていた「上げた税率分は『社会保障に充てる』は嘘だった」はその通りです。増税が施行された平成26年4月1日当時の政府(もちろん安倍内閣)は「社会保障に充てる」と確かに説明していました。しかし、「お金に色はない」の言葉の通り、実際は国債の返済資金などに充てられました。「社会保障に充てる」ことを法令で担保するには「目的税」として「特別会計」に計上しなければなりません。消費税の税収は過去も今もこれからも「一般会計」に計上されるので、社会保障の財源に充てられる保障は全くありません。


「出演者」の怒りはごもっともです。言葉のニュアンスから見ても「消費増税には反対」なのだと思います。でも、「出演者」によると、「安倍内閣の経済政策はうまくいっていて、景気も良い」のだそうです。それなら消費増税に賛成して、与党に投票する方が筋が良いです。出演者は大方、新自由主義が好きなネトウヨに多い、「安倍さんは本当は嫌なのに、財務省に言われて仕様がなく増税をするに違いない。増税後も景気を下支えするためにアベノミクスを推進し、頑張る安倍さんを応援しよう」というマインドなのでしょう。どうも、安倍氏の心の中を読み取り、忖度する「スーパー凄い」能力をお持ちのようです。


もちろん、政府・与党の政策を支持するのは思想・信条の自由の一環であり、一向に問題ありません。しかし、「安倍さんは凄い」という謎のバイアスにかかり、事実を事実として捉えられないとなれば問題です。「ジャーナル」を名乗る以上は、報道に携わる者として、取材や調査をしっかりやるべきです。これは邪推ですが、「出演者」はもしかしたら「昔、遭難して救出されたことがある、某テレビの元解説委員」のポジションを狙っているのかもしれませんが、御用聞きの電波芸者に徹するだけの器量があるとは思えないので、止めておく方が良いでしょう。


ここまで散々、「出演者」を叩きましたが、番組はなかなかおもしろいです。「●●ジャーナル」での「出演者」の自意識の過剰さは気になりますが、それ以外のコーナーは聴く価値が高いと思います。興味があったら聴いてみてください。


文章が無駄に長いし、内容も薄うございますな。それはともかく、ネタとしてはおもしろかったです。

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