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[ True History ] 象徴の威力 (計数:言語)

はじめに

 本件は2週前の『象徴の威力(情動)』の続きです。前回の記事では、ホモサピエンスに高次意識の進化をもたらしたものが情動的象徴であることと、GSRテストの結果、情動的象徴は現代の人間に対しても物理的に効くことを述べました。

 高次意識には、社会を基盤とする個我の確立、過去と未来という時間軸における世界観の構築、直接的認知などが含まれる。シンボル的記憶がなければこれらの能力は発達し得ない。

Robert Lomas

 本件はこの続きで、「情動的象徴」から「計数的象徴・言語的象徴」がどのように生まれたかの流れについて綴ってゆきます。これらを理解することで「象徴の威力」というものをさらに実感できることでしょう。



おさらい

 少し振り返りましょう。ホモサピエンスに最初の高次意識の進化をもたらしたのは洞窟の壁画の情動的象徴。選ばれし者に智慧を与え、家族単位から部族単位へ、また連携を取って効率的な狩りを行うなど新たな社会性を与えました。
 2度目の高次意識の進化は、定住生活を選んだホモサピエンスが現れ農耕が始まったとき。農耕を始めたことで、彼らは太陽と月のサイクルに注意を払い、より高度な認識を発展させました。その痕跡は、地球の周期を示す幾何学的象徴が彫り込まれた、「生・豊穣・多産」を示す女神像から読み取れました。

 そしてホモサピエンスは更なる象徴を生み出し、3度目の高次意識の進化を遂げるに至ります。本件はその「更なる象徴」と「新たな高次意識の進化」が主題です。これらを知ることで、今現在あなたが住む世界がよりはっきりと見えることでしょう。では始めましょ〜♪




更なる象徴

計数的象徴

 定住し農耕を始めたホモサピエンスは、収穫物や種を土器に保存するようになります。初めは土器に内容物の数を「V字」の「刻み目」で記し数を把握しました。

刻み目が発展したもの↑

 現代では逆さまで使用されている「V字」の象徴。これは最古の計数的象徴であり、女神の情動的象徴である下向きの三角が計数的象徴に持ち込まれたものです。この象徴をよく見かけますでしょ?しっかりwikiを翻訳し読んでください。そして大抵こういう情報は、日本語版と英語版で圧倒的な情報量の差があります。wikiを利用する際は英語版をお勧めします。

↓これも同様の象徴です。
軍隊や警察というものが誰の為のものであったのかを考えれば当然ですね。

 図式的に言えば、女性の陰部の三角形を最も直接的に記号化したものがV字である。この表現とその認識は普遍的であり、直接的である。にもかかわらず、この略記法がいかに古くから、数えきれないほどの世代を越えて女神の印とされてきたかは、まさに驚く以外にない

Marija Gimbutas

 「こんな象徴知らなかった〜」とお思いですか?本当にそうでしょうか?あなたも必ず一度はこの象徴を使用してますよ。意味もわからず。なぜにカメラを向けられると、以下の「結社のハンドサイン」をするのですか?どこで刷り込まれました?情動的象徴のヤバさに気づきましたか?心を揺らし伝搬するんですよ〜。意味を知らずとも。


 刻み目の象徴の続きに戻します。物量や種類が増えてくると、次は土器の形と内容物を決め、その土器の形を記録し数を把握しました。例えば、円錐型の土器には穀物を、卵形の土器には油をいれると取り決め、穀物の数は円錐型の、油の数は卵形の象徴で示し物を計量し記録しました。これが具象的象徴(計数類)の誕生でもあります。現実から「データを抽出し抽象化し保存する」という新たな段階へ足を踏み入れたということ。その日暮らしだった狩猟時代とは違い、データを用いて蓄え記録し、長期的な未来の計画を立てるようになりました。この時代に、「過去・現在・未来」の時間の概念を明確に持ったのでは無いでしょうか。

 これが洞窟の壁画に次ぐ新たな高次意識の進化です。この計数的象徴は、情動的象徴のように心に働きかけはしませんが、別の意味で強力に人を操る象徴となります。次はその威力について述べます。



持つ者 と 持たぬ者

 定住を選択し農耕によって定期的な収穫がもたらされ安定し始めると、更に人口は増え、部族・村単位から都市・国家へと姿を変えてゆきます。大人数を社会的に役割分担することで効率化が促され収穫量も増えました。さらには狩りをせず冬を越すために、収穫したものの余剰分を保存し蓄えることも覚えます。ここで現れるのが”余剰分で食べる者”です。持つ者と持たぬ者の差が生まれ、「支配する者」と「される者」という身分が生じました。要するに階級制度が現れたのです。

 間も無く、一部の者は、他人のものの一部を接収すれば富を築くことができると気づいた。今日の我々はそれを徴税と呼ぶ。だが徴税するためには、相手の所有物を計らねばならない。計数的象徴は、会計士と徴税人を簇生させた。

Robert Lomas

 洞窟の壁画の情動的象徴を見た者が部族の中でアドバンテージを取ったように、計数的象徴を扱う者が農耕社会の中でアドバンテージを取ったことは言うまでもありません。端的に言えば、数を扱える者が支配したということ。もちろん現代も同じです。引用に倣い言うなら、支配者は被支配者の富を量り徴税し労働をしないでご飯を食べるということ。我々は毎年進んで富を報告し徴税を受けます。そう躾けられてますから疑問も持てませんが。

一応申し上げておきますが"スローガン"は最も簡単な洗脳方法です。
断言・反覆・感染

 当然ですが、計数的象徴を扱える者は情動的象徴も扱えますし、これから登場する言語的象徴も扱えます。

 裕福となった農民は所有物のそれぞれに象徴を割り当てることによって自らの富を計量した。次第に彼らは自分たちで食べる以上の食料を生産するようになった。たちまち階級制度が生まれ、食糧生産の労働をせずに、その余剰分で生きる人々が現れた。支配階級は権力を集め、聖なる情動的象徴を用いて、神々を宥める必要性を説き始めた

Robert Lomas


 最後の太文字の一文。ロバート先生は優しい言葉で綴っておりますが、最も邪悪な男の言葉ではこうなります。

 聖職者たちの策謀により、太陽は夕方になると滅され、翌朝また掲げなおさねばならないと考えられていた。

Aleister Crowley


現代の魔女はこう

 とても古い時代のマギのお話。マギは一日中神殿に篭り姿は滅多に見せません。そして民にこう言います。

「太陽は毎日沈むから私が毎朝昇らせている」

民の常識はこうです。

「マギが居なければ太陽は昇らない」

このように「知恵の差」を利用し統治・支配しておりました。

 古代シュメールについて以下のような見解があります。

 メソポタミアの人々の中心は神殿であり、このような経済記録はおそらく神官の職能であった。(中略) おそらく筆記を考え出したのは神官であろう。

W.John hackwell

 富を計る「計数的象徴」と、心を揺らす「情動的象徴」を操る「マギ / 神官」が、昔っからガッチリ支配統治してましたのよ。



筆記という特別なもの

 現代の識字率で考えてしまいますと、「読み書きが魔法であり武器である」ということが信じられません。いつもの如く”元”を知らぬため。ここで筆記というものがどれほど特別な知恵だったのかをきちんと知りましょう。

 この頃、話し言葉である音声言語は存在しましたが、それを写しとる言語的象徴は物の形を抽象化した「具象的象徴」でした。エジプトのヒエログリフが良い例です。ただこれ、一つの事物に一つの具象ですから、その象徴の数は数千にも及びます。読み書きの習得にものすごい時間がかかり労働をしている人々では覚えられません。ですから労働を他者に押し付け余剰分で暮らす人々でないと習得自体が不可能なのです。筆記を学べるということはそれだけで特別な身分だったのです。

 ここら辺の時代から、すでにあからさまな「知恵の差」が生じていることにお気づきですか?綺麗な言い方をすれば頭脳労働者と肉体労働者。現実的な言い方をすれば支配者と奴隷。この持つ者と持たぬ者の差は、「計数的象徴」が生まれもたらされたものであり、洞窟の情動的象徴で高次意識の進化が起きたように、ホモサピエンスに更なる高次意識の進化をもたらし、言語的象徴という強烈な魔法の礎となりました。



言語的象徴

 情動、計数と続き、最後に誕生したのが言語的象徴です。結構勘違いなされている人がおりますが、計数的象徴の後に言語的象徴です。数の後に文字。

 文字は新たな官僚的必要性のみならず、また抽象的な計数の発明からも生じたのだ。計数は筆記に従属するのではない。むしろ逆に、計数から筆記が生じたのだ。

W.John hackwell

 この時代の数や言語の記録に用いられた筆記術は、現実の事物を具象化した象徴ですが、これらを簡略化しネクストレベルへ押し上げたのが、かの有名な航海民族です

 現在のレバノンのあたりは「カナン」と呼ばれた土地で、ここには砂漠の民と海の貿易者の混成人種であるフェニキア人が住んでおりました。彼らは北緯33度線上の東西に都市国家を築き、砂漠と海を駆け回りました。このフェニキア人が言語的象徴を生んだ祖であります

↑こんなので航海日誌なんて書けませんでしょ?

 熟達した航海技術を持ち、西(海)へ東(砂漠)へと広く交易を行なっていた混成人種のフェニキア人には、膨大な数の象形文字や楔形文字、小難しい神聖文字などを忙しい船上や旅先で書いている暇などありませんし、のんびり学んでる時間もありません。
 そこで、簡素な少数の幾何学的イメージの組み合わせで、全ての音声言語を表せる象徴を開発しました。それが「言語的象徴」で、現代的な名前では「アルファベット」と呼ばれるものです。

 紀元前1200〜前900年の間に、カナン人の象徴的アルファベットが登場した。それはヘブライ語、フェニキア語、アラム語の単語で表せるあらゆる思考を保存し、伝達できるものだった。

Robert Lomas

 ダヴィデがユダヤの王になった頃、フェニキア人は僅か22個の幾何学的象徴によるアルファベットを用いていた。それはフェニキア人が口にすることのできるあらゆる単語を保存・伝達するものだった。これこそ、エルサレム神殿の建築を望むソロモン王から、テュロスの王ヒラムへのメッセージを伝えた文字だった。

Robert Lomas
フラワーオブライフとフェニキア文字


 では俯瞰視点の流れで考えてください。計数的象徴でアドバンテージを取った者が、象徴をさらに進化させ言語的象徴にしました。この言語的象徴がギリシアに伝わり、プラトンやソクラテスの言葉を保存し、ローマに伝わるとラテン・アルファベットを生み出しました。また、ユダヤ人に伝わると聖書という本を作り出したという訳です。どちら側の人間が、どちら側の人間のために作った本だか分かりましたか?ですからそれに類似する”宗教”というものも”どちら側の人間のためのものか”ご理解頂けたかと思います。

 そもそも、日本人のいう宗教と西洋人のいう宗教は違いますからね。

冒頭の引用を思い出してください。

 支配階級は権力を集め、聖なる情動的象徴を用いて、神々を宥める必要性を説き始めた

マンリー先生の言葉も思い出してください。

 紀元後の始めの数世紀、カバラ体系はごく単純なものであった。それが次第に精緻な神学体系へと発展し、果てはその教義が全く理解できないほど難解なものになってしまった。

 もうすでに、こんな時代から「神聖」「神性」が曲げられ偶像崇拝が利用されているの。それは「情動」「計数」「言語」の3つの象徴を扱う支配階級によって行われました。これら象徴の歴史の上に今があることを忘れないでください。今現在でも象徴は強力な力を保持し続けています。それ故に隠され続けているのですから。ではまとめます。



まとめ

 人類に第一の高次意識の進化をもたらしたのは「情動的象徴」。家族単位から部族単位へと変化し、役割を分け群れで狩りをするようになりました。次に高次意識の進化をもたらしたのは「計数的象徴」。定住し農耕を始めた者たちは、物の数を計量し記録し保存するようになりました。また、社会性が複雑になると共に、持つ者と持たぬ者の差が現れました。そして、持つ者はさらに知識を重ね「言語的象徴」を生み出し、本というものが綴られました。

 情動的象徴は形で心を揺らします。言語的象徴は物語で心を揺らします。この二つを合わせたものが「伝説・神話」。持つ者と持たぬ者では「同じ内容でも意味が違う」物語の始まりです。智慧を持つ者にとっては「大切なことを記録・保存した物語風の教科書」で、智慧を持たぬ者にとっては「支配管理されるための洗脳本」。文字を書き記し知恵を蓄えることを覚えた支配層と、日々ただ体を使い働く奴隷層との知恵の差は広がる一方で、それは今に至るまでずっとなのですよ。

 そこで知恵は、その真理を象徴で包み、その直感を寓意で覆う。信条・儀式・詩は比喩であり象徴である。無知なものはそれを文字通りに受け取り、自分で言葉の牢獄を建てる。そして痛烈な言い回しや、より痛烈な皮肉でこの牢獄に入って来ない者を嘲る。

33階級騎士 レノルド・E・ブライト

 5000年から6000年ほど前、すなわち筆記シンボルが登場する以前、人間は宗教的集会のために石造建造物を造った。これらの原始的な神殿の遺跡を見れば、これを造った者たちが、石壁に情動的幾何学的シンボルを刻むことによって人々の興奮を高めることができることに気づいていたことが分かる。

Robert Lomas

 支配者たちは、儀式や祭儀によってこの人間の反応を利用することができると認識していた。彼らは贅沢な暮らしをしながら、共同体の食糧生産という苦役に参加する必要を感じなかった。

Robert Lomas


 マンリー先生も同様の見解を述べていましたね。

 治療術(薬学含む)はもともと聖職者が所有する秘密の学問の一つであり、その源泉の謎は、宗教的信仰の発生を覆っているのと同じ帳で隠されている。全ての高次な知識は元来聖職者階級の手に握られていた

 聖職者たちはその神的な特権を用いて法律を作り実施し、支配者を指名し彼を支配し、人々に必要なものを供給し、死者の運命を支配した。

  • 法律を作り実施し、支配者を指名し彼を支配し=「言語的象徴

  • 人々に必要なものを供給し=「計数的象徴

  • 死者の運命を支配した=「情動的言語的象徴で作られた物語

そうして成長した巨大な樹。

 なんでも最も古きものを。

いくら枝葉の葉っぱを見ても根っこまでは見えないのですから。

先に根っこを知っていれば
その木がどのような木なのか分かります。

つまり、本当の根を知っていれば、
本当の歴史が辿れ、本当の現実が見えるということ。

今回の「象徴の威力」シリーズの目的はそこにあります。

真の流れを知ること

 来週は現代へつながる、人類にとんでもない高次意識の進化をもたらした象徴のお話です。魔術と現代科学を繋ぐとても重要な歴史の記事であり、本シリーズの仕上げ記事でもある『象徴の威力(宇宙言語)』です。




来週への繋ぎ

 情動的象徴・計数的象徴・言語的象徴を手に入れた人類は急激に智慧を発展させました。洞窟や土器に刻んでいた象徴は、神像や神殿の壁に彫り込まれる神秘的な象徴となり、さらには、神殿自体を象徴で建造するほどになります。そうして誕生した巨大な三角の情動的象徴を具現化した建造物が以下です。

元は真っ白でしたから恐ろしいほどに輝いていた事でしょう。

ギリシアに渡るとこうなります

キリスト教に伝わるとこうなりました。

白い家もそう。

属国であるこの国の議事堂もそう。

 さて、三角の情動的象徴は見えていると思いますが、もう一つの重要な象徴にお気づきですか?ギリシアで美しく発展したアレですよ、アレ。

 エジプトの神殿の前にはオベリスクと呼ばれる柱がありますよね?
先ほどご紹介した古き情動的象徴の建造物には、
必ず柱がセットになっておりましたでしょ?

 2本の柱は最も古い情動的象徴に関わり、太陽の運行を知るための最も古い道具です。また、現代において古き智慧を継承する団体の象徴画にも必ずと言っていいほど描かれておりますし、階段のステップごとに5つの柱で歴史を綴っております。それほどに大切な象徴。

 この2本の柱が、直近で人類に高次意識の進化をもたらした象徴です。色々と思い浮かぶことと思います。この象徴の誕生がなければ我々は神を認識できませんでした。ヒントは本件のタイトル画像に記してあります。来週まで色々と考えてみて下さいまし〜

 ではでは本件はこれにて締めとさせて頂きます。あなた様の心にわたくしの言語的象徴で綴った情動が届きましたなら引き続きお付き合いをお願いいたします。


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