時をかける羞恥

よく言えば天然、悪く言えば鈍感。
私はある程度繋がりをもつ話題に関しては広く浅くもつ知識を展開して話を合わせることが得意だ。

一方で突発的に過去の出来事を持ち出された時、記憶と話題の糸を繋げることが極端に苦手である

人間並みの高等生物以外は過去や未来といった概念を現在に持ち込むことが苦手と聞いたことがある。
恐らくそう、私はバクテリアかなにかなのだろう。

いや、そう思うのも意思を持つのも烏滸がましい。
そうミジンコのように小さくなりたくなる出来事があったのだ。

時を少し戻し夕方。
最近頻繁に「目が死んでるね」と言われる私にトキメキを与えてくれる御中(今後このように呼ぶことにする)から連絡が来た。

内容としては「先日のフェスタもう少し一緒にいたかったんだけどね」といった内容で、
あ、恋、弾けました、止まりましたとつい数時間前まで嘆いていたことが嘘のようにスキップをしながら仕事をしていた。

なるほど、その足取りと同じくらい手懐けるのも軽そうな私であると第三者目線の私が嘆いていた。

「いや〜、もうそう言ってもらえるだけで十分ですよ」と心の声のまま返信した。

問題はその後だった。その返信に対する返信が全ての始まりだった。

「不意打ちだけじゃなくてさ笑笑」

私の無駄にでかい頭の中の脳細胞が必死になってどういう意味かを模索した。
何も見当たらなかった。

あぁ、そうか。
不意打ちで嬉しいこと言ってくれたって意味か。
不意打ちで嬉しいこと言うなんて、それ、別に狙ってないからねって意味か。

そう私は解釈したが腑に落ちない自分がいたので、かねてよりお世話になっている友達に相談した。

彼女は私にこう言った。

こないだのデートの時、不意打ちでなにか
キュンとするようなことなかった?

あった、あったけども。だから、なに?
そう言わんばかりの私に彼女は付け足した。

だから、不意打ちじゃなかったとしても、
そう言うキュンな出来事したいってことじゃない?

私の頭の中では週間そーなんだ!のナレーションが無限に反芻していた。
へぇ、そーなんだ。そーなんだ。

なんだか違うような気がするけどなぁ,
どうなんだろうなあ、と思いつつ家路につき、
お風呂に入り何気なく御中とのLINEを見返す。

間違いない。友達の予想で間違いない。
そんなロマンティックなことを言ってくれていたのに私は「笑笑」と返信したのだ。

さぞかし中身のない人間だと思われたことだろう。
いや、もう人間だなんて思わなくていいです。
私のことは脳がついてない下等生物だと思っていただければ…。

ほら、あの、しらす干しとかに稀に入ってるカニとか、エビとか、ああいうものだと思っていただければ…

皮肉なことに、一昨日は未読だったから怖かったのに、今は既読も相まって大変恐ろしい。

お願い、見なかったことにしてくれ。
なにも、そう、なにも考えないでくれ。

そんなポンコツな私はどこから来て、そもそも私は何者で、どこへ向かっていくのか。

あぁ、もうなにもかんがえたくない。
習慣そーなんだ!が謎に恨めしい。

御中、本当に、申し訳ございませんでした(土下座)

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