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いつかがらがらと崩れおちる夢の国

旭川駅の裏、開発されたばかりの北彩都ガーデンやガーデンセンターの周りを、最近よくひとりで歩く。


整然とした、近未来的で都会的な美しい河川敷。

カモが水面に弧線を描く池は、一面ガラス張りの旭川駅の夜の明かりを写し込んで鏡のよう。

夕闇は、曇り空ですら青く白く幻想的な色合いに染め上げ、そこには点在する「橋のまち」の控えめな街灯がまたたく。


私はうっとりとした気持ちで池のほとりを歩きながら、その美しさに浸りながら、どこか地に足つかぬような浮遊感と……、不安に襲われた。


その不安には覚えがある。


たとえば、

楽しくてたまらない夢の中。


あるいは、

受験前の最後の夏休みの終わり。


幸福な、夢のような時間がもう終わる。目が覚めてしまう。

恐怖にも近い不安。悲しみ。

終わりが近いことをよくわかっている。だからこその、絶望、諦め。


この美しい光景は、間もなく覚める夢の象徴のように思えてならなかった。


夢が終わり、


逃れようのない現実が形となって襲い掛かる。


たくさんのお金をかけた美しい都市が、


おもちゃのブロックでつくられていたかのように簡単に崩れていく。


そこに横たわる荒廃した土地の上で、


強くしなやかな草の根を握りしめて、


今まで通りしたたかに生きていくのだ。




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