資本コストという言葉の整理をします。

おはようございます。あさひです。今回は資本コストという言葉が指す意味について解説します。

資本という言葉自体が曖昧で、貸借対照表の純資産のことを指すこともあれば純資産と負債を合わせた値、つまり貸借対照表の右側の値(つまり左側の値にも等しい)の合計を指すこともあれば、さらに言うと「体は資本だ」みたいに比喩的に使われる場合もあります。

結論、有利子負債の資本コストは負債コストと呼ばれ、株式の資本コストは株主資本コストと呼びます。それぞれに資本コストがあり、負債コストと株主資本コストを合わせたものが企業全体の資本コストです。実際の企業の資本コスト額は有利子負債と株式の保有割合で加重平均をとったものでWACC(ワックと読みます)と呼ばれます。加重平均というのはより多いものはより大きく反映させるというもので、有利子負債の方が多かったら企業全体の資本コストには有利子負債の資本コスト(負債コスト)を強く反映させます。

負債コストは、有利子負債の利子分で、株主資本コストは株主への配当額です。そしてそれぞれにおいて資本コストは「最低限これだけは債権者や投資家に収益がなければ彼らは我々への融資や投資に関心がない」という額のことを指します。なので実際に払う資本コストと、WACCで表される資本コストは異なります。負債コストの場合は債権者は大きな利益よりも確実な利益を望むので大きくは負債コストと実払い額は乖離しないことが多いです。しかし株主は少々リスクをとっても大きな利益を望むので企業の業績が良いときには実払い額は増え、悪い時には実払い額が減るなど実払い額と資本コストが大きく乖離することが多いです。

資本コスト、とりわけ株主資本コストの場合には計算方法において問題があります。負債コストの場合には融資を行う時点での契約に書いてあるのですが配当の場合はそのような契約はなく配当額が企業次第だからです。そこでリスクなどの数字を考えて推定するしかありません。ただ将来のことは誰にもわからないのでこの推定がどれくらい正確なのか、それは分かりません。確かそうな予測を行うしかないのです。

まとめ
有利子負債と株式のそれぞれに資本コストと言うものがありふたつの資本コストの加重平均ととったものがWACCと呼ばれる企業全体の資本コストである。資本コストは株主や債権者にこれだけのリターンを渡さないと振り向いてもらえない最低限の数字であり、実際に株主や債権者の皆様に払う額とは乖離することが多々ある。
最後までお読みいただきありがとうございました!


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