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「在宅避難」に備える必須確認事項5項目とは? 盲点はトイレごみの保管方法

 大規模災害が発生したとき、国や自治体が最初の選択肢として進める「在宅避難」。災害後、被災地への支援体制が整い、物流が回復するには時間がかかるので、在宅避難中は“家にあるもの”でしのがなければならない。命をつなぐための備蓄や準備は、いまこの瞬間から始める必要がある。『【保存版】新しい防災のきほん事典』(監修:永田宏和・石井美恵子/朝日新聞出版)から、在宅避難を想定した5つの準備を学んでおきたい。

監修:永田宏和、石井美恵子『【保存版】新しい防災のきほん事典』(朝日新聞出版)
監修:永田宏和、石井美恵子『【保存版】新しい防災のきほん事典』(朝日新聞出版)

■家の中を「安全」な環境にしておく

 自宅が安全でなければ在宅避難はできない。まずは室内の状態を整え、災害が起こっても安全に過ごせる環境を整える必要がある。家具は固定し、食器やインテリアなどが飛んで散乱しないよう、すべり止めを敷いておく。ガラスには飛散防止フィルムを貼っておきたい。

■ライフラインの代替手段を準備しておく

 災害時には多くの場合、ライフラインが断たれる。電気やガス、水道が止まった状態でも家族全員が1週間は過ごせるように、カセットコンロとカセットボンベ、ヘッドライトやLEDランタン、飲料水などを多めに用意しておく。近所の「災害時給水ステーション(給水拠点)」を自治体のホームページなどで確認しておくことも大切だ。

■飲料水は少なくとも1週間分を確保する

 今後発生するとされている震災では、1週間以上の断水被害が予想されている。混乱した状態では、給水もすぐには受けられない。命を守ることができるだけの水は用意しておく必要がある。飲料水なら、1人あたり1日2リットルを1週間分、つまり14リットルは確保しておきたい。

 トイレや洗濯などの生活用水は、ペットボトルやポリタンクに入れておけば、使い終わった後は給水時の運搬容器としても使える。浄水器を通していない水道水を飲料水として使えるのは3日間。4日目に残っていた分は、洗濯などに使いたい。お風呂の残り湯はすぐに抜かず、次に湯を張るときまで湯船に残しておくと、これも生活用水として使うことができる。ただし、湯船いっぱいに入っていると、地震の揺れと湯の圧力で浴槽が破損してしまう可能性があるので、6割程度に。雑菌が繁殖している可能性があるので絶対に飲まないこと。

■食料品や日用品はローリングストック

「いつかのために」と長期保存食や保存水を買ってしまい込んでおくと、いつの間にか賞味期限が過ぎていることがある。いざ食べようとしても食べ方がわからなかったり、口に合わなかったりすることも考えられる。食料品のように賞味期限のあるものや、欠かせない日用品は、普段使っているものを多めに買い置き、使った分だけ買い足す「ローリングストック」がおすすめだ。

 ローリングストックに向くのは、常温で保存可能なレトルト食品、フリーズドライ食品や乾物、缶詰、野菜ジュースや青汁など。被災して、停電の中で在宅避難を続ける場合、最初の3日間は冷蔵庫に残っている食品を冷蔵→冷凍の順に食べ、4日目からはローリングストックしていたレトルト食品などを食べて、最低1週間、持ちこたえられるようにしておきたい。

■非常用トイレ+トイレごみ保管容器はマスト

 どんな非常事態でも、トイレは数時間もすれば我慢の限界が来る生理現象。排水管や下水管などが破損し、トイレが使えなくなる可能性が高い災害時、トイレの備えは必須だ。最低でも、家族が1週間使えるだけ非常用トイレを備蓄しておく。トイレの回数は、1人1日5回(小4回、大1回)が目安だ。

 自宅備蓄用なら、「吸水凝固シートタイプ」がおすすめだ。袋の底におむつのような吸水シートがついていて、便器にかぶせて使う。複数回の使用が可能なので、「小は3回に1回」などと節約することもできる。便器が使えないときのための組み立てタイプもある。

 備えとして見落としがちなのは、トイレごみを保管するための容器だ。大災害の後はごみの収集が遅れがちになる。使用済みの非常用トイレをにおいをもらさず保管するため、密閉できる容器が必要だ。ふたつきのごみ箱や衣装ケース、屋外用の収納ボックスなどが使える。密閉できる袋やおむつ用の防臭袋でもいい。多くの場合、可燃ごみとして出せるが、自治体によっては分別を求められることもある。ルールも確認しておきたい。

(構成:生活・文化編集部 端香里)


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