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避難生活の選択肢「分散避難」とは? 各避難拠点のメリット・デメリットまとめ

 日本では近年、大規模災害に際し、避難所の不足が指摘されている。密集した空間での共同生活は感染症の危険も懸念されるため、国や自治体が推奨するのは「分散避難」。すべての人が避難所に集まるのではなく、自宅での「在宅避難」や親戚・知人宅への「縁故避難」ホテルなどの宿泊施設への避難、あるいは車中での避難など、避難生活を送る場所を分散させようという考え方だ。
 自分が被災したとき、どこで避難生活を送るべきなのか。家族で事前に話し合うには、それぞれの避難拠点のメリットとデメリットを知っておくことが必要だ。『【保存版】新しい防災のきほん事典』(監修:永田宏和・石井美恵子/朝日新聞出版)から、まとめておきたい。

監修:永田宏和、石井美恵子『【保存版】新しい防災のきほん事典』(朝日新聞出版)
監修:永田宏和、石井美恵子『【保存版】新しい防災のきほん事典』(朝日新聞出版)

 一般に想定される避難拠点は、以下の4つだ。

【在宅避難】
 自宅が無事で安全が確認できれば、そのまま自宅で生活をする「在宅避難」がおすすめだ。安心して寝起きできるスペースを確保して、生活をしながら少しずつ片付けていくといい。高齢者や子どもがいたり、ペットを飼っている場合は、可能な限り在宅避難ができるような準備を整えておくことが大切だ。

【避難所】
 自宅に住み続けることができなくなった被災者を一時的に受け入れ、保護するのが、市区町村が指定している「指定避難所」。外出先で被災した場合や、住んでいる市町村の避難所が満員になって入れないときなどは、住所に関係なく、地域外の避難所も利用できる。

【親戚・知人の家(縁故避難)】
 安全な地域に頼れる親戚や知人がいれば、親戚宅や知人宅を避難先として検討したい。そのためにも、あらかじめハザードマップで自宅の被害程度を予測し、万が一のときには避難させてもらえるかどうか、相談しておきたい。

【ホテルなどの宿泊施設】
 新たな避難のスタイルとして注目を集めているのが、ホテルや旅館などの宿泊施設の活用だ。基本的には要配慮者(高齢者や障がい者、妊産婦など、避難所での生活に配慮が必要な人)が優先されるが、個室でプライバシーが確保でき、行政指定の宿泊施設では料金が補助される。もちろん、避難所として指定されていない施設へ自主的に避難する場合は、通常の宿泊料金がかかる。

 では、4つの中から自分に合う避難拠点をどう選べばいいのか。フローチャートで説明したい。

■自宅外で被災したときの「避難生活拠点決定チャート」

 自宅以外の場所で被災したら、まずは自宅に戻るまでの間、どこで過ごすのかを決める必要がある。

 無事に自宅に戻ることができたら、次のチャートに沿ってもう一度、避難拠点・形態を決めていく。

■自宅で被災したときの「避難生活拠点決定チャート」

 災害発生を自宅で迎えた場合、身の安全を確保してから状況を見極める。ポイントになるのは、「自宅に被害や二次災害の危険がないか」「自力で生活できるのか」の2つだ。

 気が動転して冷静な判断ができないことを想定し、2つのフローチャートをスマートフォンに保存しておくことをすすめたい。

(構成:生活・文化編集部 端香里)


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