【エッセイ】夢
具体的な夢は抱いたそばから捨てた。あるいはすぐに忘れた。できない理由をさがすのが天才的に得意だった。
期待はしない。目の前のことを淡々と受け入れてきたし、情熱を持って欲するほどのものごとに出会うことはなかった。
それが今になって、夢ともいえない漠然としたイメージが思考から離れない。
自分を突き動かすようなエネルギーを発するものではない。いつもは自分のまわりを漂っていて、ふとしたときに目の端に映るものだから忘れることもできない。
ふわふわとした理想みたいなもの。何になりたいとか、こうなったらいいとかとは少し違う。
どうありたいか。自分がどうしていたいか。それを思うと、少し前向きになれる気がする。
あまりに当たり前かもしれないが、今まででいちばん夢らしい夢だと思う。
ああ、困ってしまうなあ。今ごろになって夢を抱いてしまうなんて。
しかしこの夢は、容易には離れてくれそうにない。おそらく漠に喰われたとしても、またよみがえってくるだろう。
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