胚移植の日の感動_ふりかえり_

ご覧くださりありがとうございます。

結婚5年目、不妊治療の備忘録。

通院のこと、身体の変化、気持ちの揺れ、家族のこと、仕事のこと、海外生活のことも。

今感じることを、素直に言葉にする。
自己対話のためのnote。

胚移植の前後の記録。
下書きして公開していなかったものがあった。

その時の感情は確かにあったものだからのせておく。

採卵の翌日のこと

採卵の翌日、あんなに辛かった下腹のキリキリした痛みはすうーっとひいていた。

私の場合、不妊治療をする=IVF治療 の選択肢しかなかった。もう覚悟はできている。

採卵の翌日の診察で、先生から写真を見せてもらった。 2つの卵がとれて、そのうち一つは受精したと。もう一つは残念だけど反応がなく破棄するサインをした。

昨日まで私の身体の中にあった2つの卵は、それぞれの運命をたどっているよう。

こんな小さな細胞が、人間になるなんて本当に不思議でたまらない。

まだ実感がないまま。

翌日に胚移植になるかもしれないから、と膣剤、お腹のテープの薬をうけとる。

19日(採卵の翌日)にもどせるのかは、受精卵の生命力と私のお腹の調子。

もう私にできることは何もなくて、流れに身を任せている感覚。

ふっとこんな思いがよぎった。
不妊治療をしている方は、受精卵にも母性を感じるのだろうか?

私はまだそんな感覚はなくて、ただただ細胞分裂してお腹にもどせるようになってほしい。
こんな気分だった。

採卵から2日後に胚移植がきまる

19日の朝に電話で受精卵の様子をきく。
「順調に6つに分割されています。おそらく今日の午後にはもどせますよ。」と。

午後1時半に病院にいくことに。

前日はまだ初回の採卵でうまく進められるのか半信半疑だったけど、急にそわそわしてきた。

夫にも連絡し、と言ってもイギリスは夜中で、返事はないのは承知の上で。

両親にもそう伝え、三人でそわそわする。
でも、まだどうなるかはわからないから、平常心を保ちつつ。


細胞分裂の動画をみて

診察前に体重と血圧をはかる。

診察室に呼ばれるとすぐに、タイムラプスでとった動画を見せてもらった。

先生から、心なしなうきうきした様子が伝わる。


パソコン画面いっぱいに映し出された丸い卵。
動画で早送りになっていて、3秒くらいおきにパッと画面が動いく。 

丸い卵の中で確かに細胞分裂がおこっている。
2つが4つになっていた。その後も数秒後にパッと離れて分裂した。

すごい。。。

これが、生命の誕生の第一歩なのか。
人間はみんなこうやって形ができてくるものなのかなぁ。

なんだか分からないけど、すごい。

頭では理解していたつもりだし、勉強会や病院でも時間と共に細胞分裂することは知っていた。
写真も何度もみたことはある。

でも、全然違う。

動画だからってこともある。
この胚は、つい数日まで私のお腹にあって、顕微鏡受精で胚になったこと、生きようと動きはじめている力強さまでも感じられた。

まだその映像は、我が子という感覚ではなくて、命の力強さ、生命の神秘、といった方があてはまる。

胚の状態は極めていいらしい。嬉しい。

速度も速いから今日の午後に胚移植が決まった。

胚移植はあっという間に

採卵とは比べ物にならないくらい、短時間で15分もかからないくらいで終わった。
洗浄は気持ちがわるいけど、その後はほぼ痛みもなくよかった。

多分、とても腕のいい先生なんだと、今更ながら思った。

胚移植後はほんの5歩ほどの距離を車椅子で運んでもらい40分間個室のベッドで横になる。

また一つクリアできた。

あとは3〜5日のうちに着床してくれるのも願うばかり。

ベッドで横になっている間に頭に浮かんだこと。
やっぱり、私はまだ受精卵をみても、私の赤ちゃん、とは思わなかった。

世の中の母親たちはいったいどのタイミングでお腹にいる尊い生命を、我が子、と実感するようになるんだろう?

産まれてくるまではきっと不安だろう。妊婦さんだって、自分が母親、ママって自覚はある人もいれば、ない人もいるはず。

2年前の流産したときにはじめて知った事実。
受精卵四つのうち一つは、染色体や何らかの関係で細胞分裂が滞り、初期に流れてるってこと。

悲しい出来事だった。きっとその分、今回のタイムラプスでみたはっきりとした細胞分裂の映像に感動したんだと思う。

命の尊さ、産まれてくる奇跡。
生き物の力強さってやつを。

あの出来事で気づかされたことが本当に沢山あった。この2年間で考え方や見方、自分の価値観に目を向けるようにもなってきた。

まだまだ変化しているけれど。

妊活、不妊治療は、色んな気づきをくれる。

今を大切に、この瞬間を味わおう。

どんなに感情が揺さぶられていたとしても、日々の出来事に上塗りされて、忘れてしまうから。

(9月20日)

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