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身体の動きを学んでみる3;筋力について(4)

意識していない筋力の調整について

今まではどちらかというと、
意識した筋力調整、随意的な運動について(下図の赤矢印参照)
書いてきました。

意識された運動指令(赤矢印)
意識された筋力発現(赤矢印)

今回は意識していない
(必ずしも不随意運動とは限りませんが)
筋力調整→筋の緊張度の調整について、
書いていきます。

筋肉の収縮/緊張度を調整するメカニズムは実は色々あります。
その一つは大脳基底核を中心とした経路です(下図参照)。

大脳基底核からの菌の緊張度調整

もちろん筋の緊張度を増強させたり弛(ゆる)めたり
ということに関わるのですが、
それ以外にもたくさんの機能があります。
ここではそれらについては一応省略します。
詳しいことはこのサイト↓などをご覧ください。

(参考1)↓

(参考2)↓

上の参考2から引用すると、
大脳基底核の筋緊張度の調整は、
抑えること=ブレーキを踏む が中心で、それで緊張度を減らす、
抑えを弛める=ブレーキを離す ことで、緊張が増し運動ができる、
ということだそうです(参考まで)。
※AT車のブレーキに例えて説明されていて、とても分かりやすかったです。

さて、
他には小脳からの運動指令調整があります(下図参照)。

小脳を介したフィード・フォワード

フィード・フォワード(feed forward)と書きましたが、
これは予め運動を行う前に
筋の緊張度を調整しておくことを指します。

(参考3)↓

参考3によれば(「」内は引用)、
「小脳はその運動指令に基づいて次の瞬間の身体の状態を実際に身体が動くよりも前に予想」(=フィード・フォワード)して、
大脳にその情報を渡す、というのが小脳の役割(機能)としての仮説
(2014年の段階)だということです。
現在ではフィード・フォワードが小脳の一つの役割であるとされています。
※他にフィード・バック(後述)の役割などもあります。

小脳は、
〜事前に運動の企画を立てて、筋の緊張度を調整しておいて、
運動後はその情報をフィード・バックして記憶し、
次への運動企画に役立てる〜
簡単にいうとそのような役割を担っています。

さらに、
固有受容器や知覚神経からの感覚情報をフィード・バック(feed back)して、
そこから筋の緊張度を調整するシステムもあります(下図参照)。

フィード・バック機構

※固有受容器とは、
筋肉内にある筋紡錘や筋と腱の移行部にある腱紡錘(ゴルジ腱器官)や、
関節内の組織(関節包や靭帯など)に存在する器官などです。
主に、
関節の位置や筋肉の伸長度(緊張度)などの情報を提供する
器官(センサー的な役割)です。
特に筋紡錘やゴルジ腱器官などは、筋肉の緊張度に直接関与しています。

他にもいわゆる五感の中の触覚(皮膚の感覚)や
視覚、聴覚(前庭覚)などからの情報も
筋肉の緊張度に関係します。

詳しく書き出すとキリがないので、かなりの部分を
端折(はしょ)っていることをお断りしておきます。

まとめ

ここで言いたかったことは、
筋出力(筋力)に関わる神経の働きには、
ただ力を入れようと意識する(随意運動)だけではないということ。

目的に沿った(随意)運動を行うためには、
多くの情報を取り入れて筋の緊張度を調整する様々な機構(システム)
があるということを知ってもらいたかったのです。

筋トレをする際にもこれらのことを知っていると、
その効果がより有効に変化するのではないかと考えます。

どういうことか?
運動している時には、さまざまなセンサーを敏感に利用して
感覚情報を駆使しながら目的に沿った動きなど
〜スムーズ/滑らかな動き、力強い動き、柔らかな動き、
素早い動き、安定した姿勢保持・・・〜
を発現/達成できると考えるからです。

今回はこれで終わります。
ややこしい話だったかもしれませんが、
知れば知るほど面白い身体運動の仕組みだなぁと
感じていただければ嬉しいです。

ではまた次回に。



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