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金木犀の花が咲かない

朝起きた時の長男猫のポジションがクローゼットの中からケージの上に移動しているとか、ウォーターサーバーの水の減りが遅くなって配送延期の連絡をしたとか、毎年秋の訪れを感じる現象はいくつかある。ある日突然窓の外から金木犀の香りがすると、いよいよ夏も終わりでそろそろ冬物を出さないと、と思ったりする。

昨年は10月のはじめに金木犀が咲いてすぐ、末っ子の王子(猫)を見送った。ところが10日ほどしてまた金木犀の香りを感じて驚いた。王子がこの世の名残にお別れに来てくれたのかと思ったら、気象状況によっては金木犀は二度咲きすることもあるらしい。要するにただの自然現象だったのだが、それでもなんとなく嬉しかった。

ところが今年は10月も半ばになるというのにあの香りを感じない。今年はマンションの大規模修繕で窓が開けられないからというわけではなく、外に出ても全く金木犀の気配がない。Weathernewsによると、うちの近所だけではなく全国的に開花が少し遅れているようだ。

金木犀の花芽の分化、つまり蕾の素ができるは8月ごろで、それからわずか50日程度で花が開くのだそうだ。期間が短いので気温や日照時間に大きく影響を受ける。夏の気温が高くなると開花の時期は遅れ、複数回咲きが発生して長い間香りが持続するという。一方で、花芽分化期よりも前から気温が高くなると、開花率が下がるという。花が咲くためには取り込んだ栄養を成長ではなく生殖に振り向ける必要があるのに、気温が高いとうまく切り替えができずに成長に栄養が回ってしまうらしい。

今年の東京の夏は7/6から9/7まで64日連続で真夏日、7月の平均気温は平年より3℃高い異常高温だった。開花は遅れて、しかも花はあまり咲かないのかもしれない。全部自然の摂理なのに、金木犀が香らないことで王子に待ちぼうけを食らっている気がして寂しくなっている自分が可笑しい。

参考:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsrt/37/1/37_1_26/_pdf
https://weather-jwa.jp/news/topics/post857
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230801/1000095446.html

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