見出し画像

はじめての文学フリマ

こういう業界に身を置いているのにもかかわらず、今まで行ったことがなかったのです。文学フリマ、略称文フリ。「作り手が「自らが《文学》と信じるもの」を自らの手で販売する、文学作品展示即売会」なのだそうです。

今回、一番の目的は、一緒にWriting Groupをやっている横山仁美さんの「雨雲出版」がブースを出すというので応援&必要ならお手伝いをしたい、というものでした。来年出版予定のボツワナの作家ベッシー・ヘッドの翻訳本の宣伝を目的に、ベッシーヘッドの言葉を集めたアンソロジーと彼女自身がベッシー沼にハマったわけをプレゼンテーションするエッセイを販売していたのです。開始から少し遅れて行ったのですが、本はちゃんとお取り置きしておいてくれて感激。

会場は東京流通センターのA〜Fホールを全部使っていてとても広かったのですが、全部回る元気はなかったので1フロア、たぶん面積にしたら4分の1ぐらいだけ回りました。仲俣暁生さんのブースも同じフロアにあったので挨拶して、Facebookで見て気になっていた藤谷治さんの『新刊小説の滅亡』と仲俣さんの下北沢写真集を買いました。隣にいた仲俣さんの大学の教え子さんたちのブースでも2冊ほどお買い物。

巡回して驚いたのは、「本以外のものを売ってるブースがたくさんある」ということでした。手拭いとかアクセサリーとか、鉱石とか……。文学フリマっていうから文芸書、もしくはそれに関連する批評やパロディとか、とにかく言葉で作られたものを売るイベントだと思っていました。「文学」を辞書でひくと「言語によって表現される芸術作品」とあります。何を芸術と感じるかは人それぞれとはいえ、「言語によって表現される」ってところにあまり疑問の余地はないだろうと思っていたのです。

頭の中に?を大量に浮かべながらブースを回り、時々話したりしていて気づいたのは、売っているものが何であれ、それを語る人の熱量がすさまじいということでした。自らが良いと思うものの魅力を語り、共感してもらいたい、という思いで紡がれる言葉のシャワーを浴びているうちに、もしかしてこの愛を語る言葉が「文学」なのかもしれない、とぼんやり思ったのです。

そんな感じではじめての文学フリマ体験は終わったのでした。戦利品はこれから読みます。

この記事が参加している募集

文学フリマ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?