「無駄」が出来るまでの無駄話 飯野雅敏編

雅敏はぼくがアルバイトをしていた個別学習塾の生徒でした。たしか、彼が中学二年の春休み、春期講習の時にやってきたのです。

「なんだかすごいやつがいる」というのが講師の間での噂でした。「どんな風にすごいんだろう」期待と不安を抱えながら、ぼくは彼との初めての授業に臨むことになるのです。

雅敏は実にフレンドリーな男です。もしかしたら、度が過ぎる、無礼だ、と評価する人もいるかもしれませんが、ぼくは彼のそ

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池袋びっくりガード1

むかし、椎名林檎さんの「罪と罰」という曲が好きだった。冒頭、「頬を刺す朝の山手通り」という歌詞があって、埼玉生まれの私は、それはいったいどんな通りなのだろう、と気になっていた。
 後年、西池袋で、実際に目にしたが、ただの広々とした、大きな通りだった。
 調べてみると、椎名林檎さんが「罪と罰」の歌詞を書いたときは、実際の山手通りを知らなかった、と語っている。椎名さん自身も山手通り幻想に基づいて歌詞を

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私は自分の顔が思い出せなかった(「アナログガール」)
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文学フリマ@大阪に行ってみることにした。9月。
今回はお客さんだけど、パイロット版というかフリーペーパーつくって持っていこうかな。名刺代わりに。

『誰かの京都』⑤

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文字市の端までやってきた。来た道を戻っても良いが、向こう側に赤い鳥居のようなものが見える。せっかく京都に来たのだから、寺社仏閣の類は見ておきたいと思った。たとえここが私の知らない京都だとしてもだ。そういうわけで、竹林を進むことにした。
文字市の賑やかな空気が遠ざかって、だんだん周りがシンとしてくる。竹林を抜けてくる風が心地よい。竹というものは、ただ真っ直ぐに生えているものだと思って

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第四回文学フリマ岩手(前日まで)

6月7日夜、フェリーに乗って盛岡へ向かった。生まれて初めての船旅だ。

 旅行で遠方へ赴くときには必ず飛行機か鉄道を使って移動していたので船旅にはずーっと憧れがあった。とは言え、豪華クルーズなんて縁がないから、どこかの機会でフェリーに乗って移動したいと思っていた折に、札幌~盛岡のフェリー乗船券とバス乗車券がセットになっているお得なきっぷを見つけたので文フリ岩手に参加することにした。動機が不純だけど

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ぼくらの罪と罰 兼藤伊太郎

2019年4月19日、池袋で高齢ドライバーの運転する自動車が暴走し、母子をひき殺した。ぼく自身、その亡くなった母親と娘と同じ年頃の妻と娘を持つ身だから、当然残されたご遺族の方々、特に夫であり父親である男性に感情移入しないわけにはいかない。ぼくがそうだけれど、日常は日常的に続いていくものと考えていたし、信じていたに違いない。誰だってそうだろう。そこに断絶がありうるなどということを疑いながら生きるのは

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次号予告「MD vol.2」我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか―セルフポートレーツ号―

vol.1を出したばかりですが、vol.2の話。noteでも自己紹介をしていきますが、フリーペーパー「MD」でもそれを。「MD」ではインタビュー記事が載せられればと考えています。たぶん出るのは9月頃。写真は兼藤伊太郎のセルフポートレート。

汚え顔だな。
よろしくお願いします。

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「無駄」ができるまでの無駄話 種田元晴編

ぼく、兼藤は、「無駄」主要メンバーである種田元晴さんのことを種田先生と呼びます。これは、ぼくらの出会った個別指導塾の風習というか、アルバイトの講師、それがたとえ大学生同士であっても、互いのことを「先生」と呼んでいたのです。おそらく、通ってくる子どもたちにとっては雇用形態や年齢がどうであれみんな先生なんだ、ということなのでしょう。そのころのクセが抜けずに、いまにいたっています。それに、そもそも種田先

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「無駄」ができるまでの無駄話 兼藤伊太郎編

ぼくらはいま、「無駄」という雑誌を作ろうとしている。作って、11月の文学フリマ東京で売るのだ。どうせ作るなら多くの人に手に取ってもらいたい。とはいえ、どこの馬の骨とも知れないやつの書いたものにお金を払いたいという人がいるだろうか?そもそも、ぼくらのことなど誰も知らないのだ。存在すら知らないものに興味を持つことなんて不可能だろう。

というわけで、これは宣伝です。宣伝のための自己PRであり、ぼくらの

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