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内視鏡の思い出

数日前、下腹部がキリキリと痛んだため、MTGが終わってから早退させてもらった。


もともとお腹は痛くなりやすい方で、
世の中の人たちがどのレベルで「お腹痛い」と言っているのか日々気になっているのだが、
この数日間の痛みはなんだか嫌な予感がした。
(私の嫌な予感は大体当たらないのだが)




帰り際、とりあえず薬でももらって楽になりたいなという気持ちで職場の近くの消化器内科に行き、
「なんか血便もしばらくずっと出てて〜」
と伝えると
「それ、もう今すぐにでも大きい病院に行ってください。できれば明日にでも。」
と穏やかな先生が少しだけ焦りながら、でもおどさないように優しく諭してくれた。


次の日、近所の大きな病院でCTを撮ってもらい、
内視鏡もしておきましょうとすぐに内視鏡の予約もしてもらった。


初めての内視鏡。
これまで手術などを避けてのうのうと生きてきた私にとっては限りなく手術に近いものだと思っていたので、さすがにドキドキした。



検査当日は朝9時に集合。
他の科から少し離れた専用の部屋で、
私と、40〜50代くらいと思しき寡黙で堂々としたおじさんの2人が今日のメンバーだった。
同じ空間にいてもらえるだけで頼り甲斐がありそうだ。


事前にSNSなどでリサーチしていた2Lの下剤は、
思っていたほどまずくなく、なるほど、“梅味"と言われるのがわかる味で「結構余裕かも」とスムーズに飲むことができた。

200mlを10〜15分ずつかけてゆっくり飲み、
便を出して、下剤を飲み…と繰り返し
最終的に便が透明になったらクリア。
都度飲んだ量などをボールペンで紙に記入して看護師さんに診てもらう。

スムーズに思えた下剤摂取だが、
3杯目くらいからいきなりキツくなってきた。
単純に水分を多く摂っていることによる満腹感と、あの“梅味"だかなんだか知らないが奇妙な味の残る感じが意外と辛いのだ。



みるみる飲むペースが落ちていく。
前に座っているおじさんが淡々と飲み進めているのが見える。
ボールペンの「カチッ」という音が聞こえるたびに、
おじさんが次の下剤に進んだことがわかり
遅れをとっている焦燥感に駆られる。

デニムにカギをつけた彼が席を立ち、
「チャリンチャリン」という音が聞こえると、スムーズな排便をしている彼と、依然のろのろと動く自分の腸の差を思い知らされる。


隣の処置室からは別の患者さんの地獄のような嗚咽音が聞こえてくる。


さらに私は、下剤による吐き気に襲われベッドで休憩を挟む事態に。
やばい、これではおじさんとの差がまた開いてしまうではないか……。

寝ている合間に、遠くから聞こえる看護師さんからの「おめでとうございます」の声。
彼の便はもう、透明になったのだ。



1時間ほど休憩をしたのち、
下剤飲みタイムを再開した。
腸を動かすために院内を3周くらい歩いたり、普段見ない「ヒルナンデス!」でナンチャンが浜辺でギターを弾いているのをボーッと見たりして、ようやく私の便も合格をいただいた。


お尻側に穴が開いているなんとも恥ずかしい検査着を着て、いざ処置台へ。
先生は私とそこまで歳が離れていないんじゃないかと思うくらい若めの男性。
うう、すみません。
別に誰であれすみません、なのだけど。


わたしは一応眠くなる麻酔をいれてもらうことにしたので(ちなみにあのおじさんはナシと言っていた、さすがだ)、処置台に上がってすぐにウトウトしはじめた。


だが処置が始まると、
夢うつつでも分かるような壮絶なお尻の痛みに喚いてしまった。
あまり覚えていないが、「わーん!」とか「痛い〜!」とか言ってたような気がする。
夢の中で誰かに刺されているような感覚。

意識が遠のいたり戻ったりを繰り返して、
1時間弱の検査が終わった。
開口一番に「何か叫んでた気がします、すみません」と平謝り。

全然知らなかったが、どうやら入りにくい箇所があったようで途中で先生が交代したのだとか。
看護師さんにも「汗びっしょりで、相当痛いの我慢してたんですね、お疲れ様です」と労ってもらった。
こちらこそですよ。


その後、麻酔が切れるまでベッドで寝かされ、
とりあえず大きなポリープ などはなかったようなので当日退院。
朝9時から16時頃まで、半日かけての検査がようやく終わった。


手術経験のないわたしには壮絶な一日だった。
でも検査に行っただけで偉いと自分を褒めよう。
褒美に伊勢丹で何か買ってやろう。

ちなみに検査費は、16000円。
ふるさと納税をワンストップ申請してしまった後だが、医療費控除有りの確定申告に切り替えよう。

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