To be continued!

キリちゃんはいつだって私のピンチに駆けつけてくれる。例えば私は階段から足を滑らせた後にやって来るはずの衝撃からも、脳天に直撃していたはずの植木鉢からも、心臓を撃ち抜く筈だった弾丸からも、全身をめちゃくちゃにするはずだった脇見運転の大型トラックからも、キリちゃんの手により間一髪で救われる。絶妙なタイミングで颯爽と現れて私を救い出すキリちゃんはどんなフィクションのヒーローよりも格好良い。ただこれは最近気付いたのだけど、どうも私が直面する危機の程度は確実に大きくなっているらしい。私は背筋を下っていく幾筋もの汗の冷たさに震えながら、頭上めがけて降ってきたミサイルを見事撃ち落としたキリちゃんの姿を双眼鏡でとらえる。
 そういうわけでとある美しい朝、キリちゃんが何の前触れもなく目の前に現れた時も私は彼女に手を引かれるまま小型ロケットに乗り込んだ。そして今、私は窓の外に木っ端微塵に砕け散る地球の姿を見ている。けれど私はこれがまだ本当の終わりではないことを知っている。だってこのロケットには他ならぬ私がいて他ならぬキリちゃんがいる。
世界滅亡以上の危機とは一体何なのだろう? 滅びゆく星をバックに悠然と微笑んでみせる彼女は最高にイカしているけど、正直私にはその姿が人類を救うヒーローではなく破滅を言祝ぐヴィランに見えてならないのだ──恐ろしいことに!

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