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古民家8軒 リノベにかかった金額

2軒目の民泊「パライソ・ウメダ」は、「たらちね」とは違ってタケシくんの物件です。これは今から7、8年前家の近所で売り出しているのを私が見つけてタケシくんが買いました。当時300万円。有志をつのり、1年半くらいかけて中を完全にリノベ-ション(以下リノベ)しました。当時の様子がここに写真で残っています。

思えば、この「パライソ・ウメダ」で古民家のリノベは8軒目。ちょっと順番に数えていきますね。

1軒目 最初のワインバー「ランティエ」【築100年超文房具屋(元は酢屋さん)】
2軒目 次のワインバー「珠家」【築150年の蔵】
3軒目 カフェ「モナリザ」【築100年明治に建てられた砂糖蔵】
4軒目 タケシくんの「ネオウメダ」【戦後に建てられた古民家】
5軒目 祖父が住んでいた家を自分が住むために改装【築90年くらいの木造家屋】
6軒目 「サトナカ」を作るための製造工房【戦前に使われていた路面電車の変電所】
7軒目 実家の蔵【築90年くらい】
8軒目 民泊「たらちね」【築80年の木造家屋】
現在進行中 民泊「パライソ・ウメダ」【ネオウメダを更に減築】

リノベってどんなん?って思われるかもしれないけど、実際のところこんなんです。

こでは上からホコリが降ってくるので完全防備しているところ。右は名古屋から手伝いに来てくれた妹ですが、変なホコリにあたったのか、戻ってから高熱を出したとのことです。何しろ100年近く前のホコリで、熟成されている上に、そこに込められている念が掃除すると一気に噴出するので、繊細な人はやめといたほうがいいです。ホントに。

高性能マスクとゴーグルは毎回必需品。そして、ひたすら拭き掃除。

水を付けたたわしで擦りながらスポンジで汚れた水を受ける。あるいは歯ブラシで「桟(さん)」をこする。とにかく拭いて拭いて拭きまくります。そうすると頬ずりしてもいいくらい美しい木目が出てきます。

右が拭いた後の天井。左は拭く前、あんまりわからないかもだけど、ちょっと離れて見てみてください。右のほうが木目がはっきりしているのが分かると思います。

思えば、なんでこんなに昔の建物に縁があるのだろう、なんて思うけど、よくよく考えたら、人口20万人以下の地方ってそんなもんじゃないでしょうか。

ところで気になる改装費用です。こんなにたくさんリノベしていったいいくらかかったの?って思う人も多いと思います。ちなみに、一番お金掛けたのは最初のお店。訳わからずに始めたので、自己資金ゼロで800万円借り入れました。建物が義理の母のものだったので抵当に入れたんですね。けど、結局抵当権が行使されて店は閉店。代わりに借金も帳消しになったので今思えばラッキーだったかも。

2軒目はもともと店だったところに入って、しかも雇われだったので、私が負担した改装費用はゼロ。3軒目も蕎麦屋さんだったところに居抜きで入ったので、諸々含めて150万円くらい。4軒目。ウメダはタケシくんの物件だったので、私はお金を入れず。200万くらいかなぁ。あとは人海戦術。5軒目祖父の家。これは自分の家で畳入れ替えや塗装のペンキ、ちょっと大工さんに入ってもらって50万くらいかな。これもほぼ自分でやったので時間はかかってるけどお金はかかってない。

6軒目。これはお菓子の製造工房だったのでちょっとお金はかかりました。元は祖父が剥製を作るための仕事場として使っていた場所だったので、それを食べ物用の工房にするので衛生面に気を使いました。壁と天井を全部剥いて、きれいに張替え、塗装もしなおしました。オーブンやエアコンなど、設備、機材も入れて300万ちょい。

7軒目。実家の蔵は床がフゴフゴになっていたので、板を張替えたくらい。20万くらいかな。あとはひたすらいらないものを捨てて、鬼のような拭き掃除です。8軒目のたらちねは、もともと「体験宿泊所」として改装された場所でしたが、温水設備もなくシャワーもなかったので、ここも200万くらい。プラス前にも書いたように、民泊法規の関係で50万円。

いかがでしょうか。この金額には基本的に家具や電気工事の代金も含まれています。ずいぶん安くやれてると思います。ただし、ここには自分たちの労働料金は含まれていませんし、お店以外は1年~1年半くらいの時間をかけています(お店は1ヶ月~2ヶ月くらいでやる)。プラス、数年後にもう一回テコ入れとしてプチリノベする場合も結構ある。こういうリノベってお金かけようと思ったらいくらでもかけられますからね。ちゃんとかけるところはかける。それ以外は自分たちでする。そのかわり時間もかかる。そういうやり方です。

こないだもタケシくんと話していたんだけど、こういうのってすごい体力がいるので、もうそろそろ無理だなぁと言ってます。というのも、古い家っていろいろな「念」がこもってる。家って生き物ですから、それまで使ってた人の記憶が染み付いてるんですね。それを隅から隅まで。天井から押入れの中まできれいに掃除することによって、新しいものに入れ替わると、私はそう思ってるんだけど、長年蓄積された「念」に対応するのにすごい体力がいる。いやこれホントよ。単純に労働だけの体力じゃないん。分かる人は分かると思いますが、古い家に入ったときのあの雰囲気ね。うちの妹が具合悪くなったのもホコリだけじゃなくて、やっぱ念だと思うんです。

けど、それが綺麗サッパリなくなったときの爽快感もまた格別です。また、古いものを片付けて、リノベしていく過程で自ずと建物の歴史と対峙することにもなります。それを受け止めながらも自分の中に溜め込まない。これも大事。リノベすることで、淀んでいた空気が一新し、建物に生命が宿ります。まあ、それが病みつきになってるので、もともときれいな物件は全然触手が動かないっていうのもあります。ペット売り場のペットには興味ないけど、野生の動物がなついたらカッコいいやん、そんな感じ?全然違うけど。

では最後にペンキを塗るタケシくんをご覧ください。(2003年~2018年順不同)

終わり。

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