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2023.10.1 雑記

いま、ちょうどいい感じのがん末期患者が当病棟に入院している。

ここでいうちょうどいい感じとは
「教科書通りの経過を辿っている」
という意味だ。

どんどん弱っていって
第1選択の痛み止めがはじまり
それじゃ効かなくなってきて
医療用麻薬の使用も始まった。

悪液質のせいで下半身は浮腫んでパンパン
もともと50キロくらいだったらしいけど、いまは100キロを超えている(はず)

どんどん理解力や意識も低下してきていて、現と夢とあの世を行ったり来たりしているらしい。

ナースあさみとして

このまま教科書通りに経過して欲しい気持ちと
そのルートを逸脱してくれよ
そういうところに己の個性が出るんじゃないの?という気持ちが、それぞれ等分にある。

病気の経過や血管の走行の仕方、医療処置のプロセスなど、教科書通りなのを見つけて嬉しくなってしまうのは、人間という正解のない生きものの中に、一瞬でも正解を見いだせるからなのかもしれない。

大人になると、正解と合っているかどうかよりも、己の正解を信じ、更新していくことのほうが求められる。

だから、たまのこういうことが嬉しいと感じてしまうんだろうな。
他者にもたれかかりたくなるのは、患者だけじゃないのだ。

わたしの見立てでは、その患者の予後はおそらくあと2週間くらい。

入院して横になってるとさ、窓から空が見えるじゃない?
元気なときは、空を見上げる余裕なんてなかったのに、今さらになって空がキレイなんて思っちゃうんだよね〜

って前に話してた。

どうか、来たるべきその日は空が晴れていて欲しい。
そして、空がキレイだねって伝えたい。

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