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朝森久弥流・ホンネの高校選び1「高校ってなぜ行くの?」

4月になり、日本の多くの学校で新学期が始まりました。新しい学校に入学した方はおめでとうございます!張り切り過ぎずに、体に気を付けてがんばってくださいね。
一方、今月から受験生という人もいますよね。どんな困難が待ち受けているのか不安に思っている人も多いでしょう。そこで、朝森久弥が高校受験をテーマに、日本全国の高校受験生とその保護者の方のタメになる情報をお届けする記事を、何回かに分けてお届けしようと思います。題して、

朝森久弥流・ホンネの高校選び

です!

朝森久弥って何者?何が目的?

学びクリエイターです。誰もが楽しく学べる社会づくりのため、広い意味での学びコンテンツ(本や動画、ゲームなど)を作っています。
日本の高校受験制度には日本一詳しい自信があります。おそらく一番世に知られている作品が「進学校Map」です。ほかにも「CURIOSIST Ch.」というYouTubeチャンネルで数々の学校教育情報を発信しています。

よく聞かれますが、教師ではありません(大学院で高校の教員免許は取りました)。どこかの学校や塾、予備校、通信教材との利害関係はありません。高校受験情報は学校か塾のどちらかから得る人が多いと思いますが、私はどちらの立場にも立たない"第三者の目線"から情報をお届けします。

私は塾や予備校に一度も通ったことがありませんし、通信教材もしたことがありません。両親は非大卒で受験に詳しくなかったので、中学校(地元の無選抜公立中学校)の先生のアドバイスを頼りに自力で情報収集するしかありませんでした。私の高校受験から20年以上が経ち、多少は情報収集しやすい時代になったのでしょうが、それでも「難しい」とか「先生が言うことを信じていいのかわからない」と悩んでいる人を多く見かけますね。
そういうわけで「朝森久弥流・ホンネの高校選び」では、
「塾に通っていない人でも、自分に合った高校が選べる」
ことを目標にします。
すでに塾に通っている人は、高校選びについて塾から何らかのアドバイスを受けているでしょうが、私は前述の通り塾の立場ではないところから発言するので、「こういう意見もあるんだな」とセカンドオピニオン的に読んでいただければと思います。

一応、私も霞を食べて生きているわけではないので、ご希望の方には有料で個別進路相談に応じています。現在、noteでは「進路相談室プラン」による音声通話相談サービスを提供しています。今後、メールで相談できるサービスも拡充予定です。

個人情報が絡むような込み入った相談は有料というスタンスでやらせてもらっていますが、私がnoteに無料公開する記事を参考にしつつ、ご自身で高校選びを考えてもらうのも大歓迎です。いずれにせよ、高校は自分で選ぶ(保護者ではなく、通う本人が選ぶ)ことが何より大切ですし、それができる人が一人でも多く増えることが、私が目指す「誰もが楽しく学べる社会」につながると確信しています。

高校ってなぜ行くの?

では、今回の本題に入りましょう。
「高校ってなぜ行くの?」

高校選びというからには「どの高校を選ぶか」が話題になるわけですが、その前に「高校に行く・行かない」が先に来るはずですよね。実際、2020年代の日本では高校に行かない人が毎年約4%、つまり25人に1人くらいいます。もっともこの4%は、高等専門学校(いわゆる高専)、特別支援学校高等部、高等専修学校への進学者が大半を占めるので、中学校を卒業してすぐに就職する人や就職も進学もしない人に限ると、1%もいないのですが。

「朝森久弥流・ホンネの高校選び」では、中等教育学校の後期課程は高校(高等学校)に含めます。また、高等学校には全日制だけでなく定時制や通信制といった課程がありますが、これらの詳細は後日、別の記事で紹介します。

高校に行く理由を一言でまとめると、私はこう考えます。

「大人」になるため

…いや、高校に行かないからと言って「大人」になれないということはないですよ。ただ、日本では18歳以上は「大人」として扱われます。これは、法律で18歳以上は成年と定められているからというだけではなく、「大人」としての能力と責任が求められるという意味合いがあります。言い換えると、高校を卒業した人ができるはずのことができない人は、日本では「大人」扱いされないということです。
もちろん、高校に行かなくても十分な能力があり、高校を卒業した人ができるはずのことができると周囲から認めてもらえれば、それは立派な「大人」と言えるでしょう。しかし、大半の人は高校に行かずしてそれだけの能力を身につけることが難しい。だから高校に行く必要があると考えます。

「大人」に必要な能力

じゃあ日本の「大人」に必要な能力、すなわち高校を卒業した人ができるはずのことって、いったいどのようなものでしょうか?
代表的には、知識面と行動面の2種類があります。

知識面ではあまり多くは求められません。常用漢字(約2100字)が使われた日本語の文章がだいたい理解できれば大丈夫でしょう。ただし、国語の授業に出てくるような文章に限らず、幅広いジャンルの文章が理解できる必要があります。
常用漢字は小学校・中学校で全部習います。でも、それが中学校卒業時点で全部身についていた人がどれだけいるでしょうか。もし誰もが身についていたら、公立高校入試の国語の平均点は90点くらいになっているはず。ここで重要なのは、学校で習ったことが身につくには時間がかかるということです。漢字ひとつとっても、読み方・書き方を覚えただけではダメで、実際の文章で読み書きする経験を繰り返すことでようやく身につくのがふつうではないでしょうか。
都道府県のいわゆるトップ校に行くような人でない限り、高校を卒業してようやく中学校で習った内容が身につくかどうか、というのが私の実感です。

行動面で求められる能力はズバリ、誰かと一緒に何かをする能力です。これは知識面よりも重要視されています。
まず、大抵の仕事は一人ではできないので、誰かと協力する必要がありますよね。お客さんと話す必要だって出てくるでしょう。家庭を築くときにも、家事や育児を家族と一緒にすることになります。「大人」は、自分と合わない人や自分が嫌いな人とも何かをしなければいけない機会が出てきます。その度にうまくやり過ごせずにケンカになったり、途中で投げ出したりしたら困るでしょう。
学校で学級活動があったり行事をしたりするのは、誰かと一緒に何かをする練習という側面があります。学校以外の場所でこうした練習をしてもいいですけど、色々な個性の人と出会いやすい点、失敗したときに取り返しがつきやすいという点で学校にメリットがあります。世の中の「大人」はそれがわかっているので、せめて高校くらいまではその練習を積んでから職場とかに来てほしいな~と思っています。だから「高卒以上」でないと応募できない職場があるんですよ。

日本の高校は実質「義務教育」

私が高校生だった約20年前は、公立高校ですら授業料を支払う必要がありました。それが今では所得要件がありながらも多くの家庭で支払う必要が無くなり、私立高校に通う場合でも支援金がもらえるようになっています。いや、授業料以外にもかかる費用はたくさんあるのですけど、高校に通う人にそれだけ税金を使ってでも、国としては高校に行ってほしいわけです。さもないと、働いて日本に税金を納めてくれる「大人」が少なくなって困るからです。

そもそも「大人」にならなきゃいけないのか?という疑問を持つ人もいるかもしれません。「大人」にならないとまともに生きていくだけのお金が得られないぞ!…と答えてもいいのですが、少なくとも私は「大人」になってからの方が人生楽しいです。自分がやりたいことがやれる度合いが増えるからですね。それを国が後押ししてくれるなら、乗っかった方がお得じゃないかなと思います。

繰り返しになりますが、高校に行かなくてもどこか別の場所で相応の経験を積めるならば「大人」になることはできます。ただ、高校は人を「大人」にするために用意された施設だけのことはあって、多くの場合効率が良いです。
もっとも、数ある高校の中でどこに行けば楽しめる確率が上がるかは人それぞれです。次回以降は、そんな高校の選び方をお伝えしていきたいと思います。

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