見出し画像

オアシスを潤す地下用水路「カレーズ」 1987.8

トルファンの半日ツアーは、炎天下、主に遺跡を中心に見どころを巡った。ツアーの中で一服の清涼剤的なスポットが「カレーズ」だった。

カレーズはオアシスの地下用水路(暗渠)のことだ。天山山地の雪解け水を高所からカレーズを通してトルファン盆地の農地に導き、その水を利用して農作を行う。貴重な水の蒸発を防ぐことができるのが、地下用水路のメリットだ。

カレーズの長さは約3キロ、最長10キロ。トルファンには1,000本以上のカレーズがあり、総延長4,000キロに及ぶという。この水路網がトルファンの広大なぶどう畑を支えている。

カレーズは湿潤な気候の日本では見られないが、中国・新疆ウイグル自治区のほか、アフガニスタン、パキスタン、イランなど、乾燥地域でカナートは普及した。イランでは「カナート」と呼ばれている。

私が訪れたカレーズは農地の中にあり、断面が楕円形をしていて真ん中を水路が流れていた。天井は高くはないが、大人一人が手を上げて飛び上がっても届かない程度の高さはあった。

カレーズの中はとても涼しく、天然の空調が効いたスペースのようで過ごしやすかった。周囲の農家の子どもたちがカレーズの中で遊んでいた。片言の中国語で話しかけてみたが、彼らにはウイグル語しか通じないようだった。

大人の男性が一人、本を読んでいた。涼しくて、読書をするには格別の空間だったのだろうか。

ほんの十数分の滞在で、ここを後にした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?