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天山天池、カザフ族のパオの夜 1987.9

天池は、中国人の多くの旅行者は湖の北にある展望台から、青い湖の先に雪を抱いたボゴダ山を見てその日のうちにウルムチに帰っていた。一方、日本人と香港人のバックパッカーは、湖の遊歩道を数キロ歩いたところにある、カザフ族が経営するキャンプ場で1泊した。

カザフ族は中央アジアの民族で、現在、カザフスタン共和国に約800万人、新疆ウイグル自治区に130万人が住んでいる。カザフとは「部族を離れた自由な人」「放浪者」という意味を持ち、20世紀初めまでは移動可能なユルト(パオ)に住む遊牧民族だった。

彼らのパオに私は2泊した。当時の『地球の歩き方』によると、1泊10元(約350円)。

乾燥した灼熱のトルファンと違い、標高約2,000メートルの高地にあるので、とにかく過ごしやすい。夜は長袖のシャツの上にトレーナーを着ないと寒いほどだった。トルファンでは暑さにやられて寝込んでしまったが、この地で私はすっかり元気を取り戻した。

夜は屋外で日本人と香港人の若者6、7人で焚き火を囲み、中国各地の旅の話で夜ふかしをした。

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