たった1gの価値
1gのアルミニウム。
道端に落ちていた。
これで何も出来ないから、みんな知らぬ顔で通り過ぎる。価値観なんてそんなもの。
小さな手が、1gのアルミニウムを拾って、交番に届けた。
駐在さんは笑って
「それは君にあげるよ!困った時のために」と小さな掌に乗せた。
その翌日、母親と、手を繋ぐ小さな手。
スーパーのレジ前、店員が困惑している。
「あと一円足りません!」
母親は、好物のプリンを戻そうとする。
「ちょっとまって!ママこれ。」
ポケットから1gのアルミニウムを取り出した。
店員は笑顔で小さな掌から1gのアルミニウムを受け取った。
「2581円ちょうどです。毎度ありがとうございました!」
こうして、おやつに大好きなプリンを食べることが出来た。
「ママ、貴方に助けられたわ!でも、なんで一円玉持ってたの?」
「うーんとね。道に落ちてたから、交番に届けたの。そしたら、お巡りさんが、大事な時に使いなさいって、くれたの」
母親は笑顔で小さな身体を抱きしめた。
お金の価値はその時々で変化する。
100枚の1万円札も、紙切れになる日が来るかもしれない。
心の中のお金で買えない欠片を拾い集めたら、人はもっと幸せになれるかもしれない。
今はまだ修行中の身ですが、いつの日か本にしたいという夢を持っています。まだまだ未熟な文章ですがサポートして頂けたら嬉しいです。