かげふみ5

しかし、ただ1つ疑問点がある。有花ちゃんは、屋上から、飛び降りた…なのに、最低ひと月前までは、生きていた。私も中学時代一度顔を合わせたことはないが、襖越しに話をした。

「と、私の事はさておき、あなたが、仮に有花ちゃんだったとして、屋上から飛び降りたんでしょ?その時点で有花ちゃんは、死んでるはずなのに、生きてました。一体どういう事なのか説明して貰えません?」

彼女は、少し微笑んだ。
「そうよね!普通あんな所から飛び降りたら、死ぬか、大怪我をするのが普通よね。あのさぁ校舎の横に、デカいツゲの木があったの覚えてない?確か何かの記念に植えた木だと思うんだけど、年数が経つとかなり大きくなるの。幹も枝も。枝にはたくさんの葉が生い茂っていてさ、幸運なのか不幸なのか分からないけど、私はその上に乗っかったんだよね。だから、半分の私はこちらに残った まぁこちらは影の私ってことかなぁ。だから、ほら、私に影がないでしょ?」

彼女は、アスファルトの地面に視線を逸らす。私も彼女の視線を追う。

私はアスファルトを見入った。2人並んで立ってるはずなのに、影は、1つだけ。私は彼女を上から下まで舐めるように見た。
「本当だ!影がない。」

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