かげふみ7

「これからどうするんです?」私は哀れみな視線を彼女に向けた。
「そんな可哀想ってかおしないで!私ね。今、あちらの世界で人影の研究をしてるの。色んな物質で影が出来ないか?動物の影を利用出来ないか?たくさん実験を繰り返したわ。」
彼女は、少し遠くを見た。
太陽は、少し西に傾き、私の影が少し伸びた。
「有花ちゃんは、あちらの世界の世界で科学者になったんですね。凄いなぁ。」
「そんな科学者だなんて…ただ影が欲しいが一心で、研究してただけよ。でも、どれも失敗に終わった。結局、人影は、人にしか出来ないの。ただね、1つ発見があったの。」

彼女の微笑みが黒い闇に包まれて見えた、彼女の顔がどんどん暗闇に包まれていくようにみえる。私は彼女が何を言おうとしているのか、肩唾を飲んで待った。

突如、彼女は、大声をあげて笑いだした。
「あははー何その恐怖に満ちた瞳。何もあなたをどうのこうのしようなんて思っちゃいないわ。ただね、自分自身の影がない今、少し力を貸してほしいだけ。」

不吉な予感が脳裏を過ぎる。

「亜子ちゃん、今更と思うかもしれないけど、幼なじみだった交で少し私の願い事聞いてくれない?」

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