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下北沢、スケボー男

下北沢のスケボー乗りは一人で転びそうになる。
道は狭いし歩く人は多いし(みんなおしゃれ!自分が恥ずかしくなる)スケボーには向いていないんじゃないかと思う。教えてあげたらどうなるだろう。もっとふさわしい場所があるよ。
「ふさわしい場所って?」
「例えば広い公園で、人がいることも珍しいような。」
「退屈じゃないですか?」
「そうかな?君は好きなようにスケボーできるし、カメラだって回せるし、その場で映像を見返して、そうするとさらにスケボーがうまくなれるよ。僕が思うに上達のコツは自己認識なんだ。客観的な視点、つまりカメラによって自分を見つめることで、歪さに気付くんだ。気付いたら後は簡単。直せばいい。直るまで繰り返しカメラを自分に向ければいい。上達した方が楽しいだろ。君はそう思わない?」
「それって窮屈な気がします。」
「窮屈も自由の一つだよ。」
夕方五時のチャイムが鳴って、嘘みたい。
フラミンゴを横切る。
大学生の頃は楽しかった。かわいい服を見て、着て、恋人に自慢して、馬鹿で無知で満ちていた。
暗くなるまでには帰りたい。
僕は駅に向かって歩いた。

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