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トゲ

指に刺さったトゲです。
まあ、だいたいいつの間にか刺さっていて、いつの間にか抜け、いっそ存在を忘れられてしまうアレです。

昨日まで毛抜きで悪戦苦闘してたくせに、今日にはもうすっかり忘れられている。
切ない。そして、儚い。

たまにふと考えるのです。
わたしはどこから来てどこへ行くのか。
そもそもトゲってなんなのか、なんのトゲなのか。
よく考えるとトゲじゃないかも知れない、そういえばなんか黒いし短い髪の毛かも知れない。

でも、いつも答えなど出る前にわたしはいずこかへと消えてゆく。
今回もきっとこのまま去るでしょう。

ああ、それでもせめて覚えていてほしい。
ささやかだけれど、トゲもまたひとつの命ある存在だということを。

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