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ワンフェスの話

ワンダーフェスティバル、略してワンフェスは海洋堂が主催するフィギュアやプラモデル、そしてガレージキット等の立体造型物が出品される祭典である。
近年は幕張メッセで開催されている。

今年の夏は友人に誘ってもらい、初めてワンフェスに出品者側として参加することができた。

数年前までワンフェスの事をよく知らなかったが、夫の誘いでたまに遊びに行くようになり、今回出品できてとても嬉しい。

私がワンフェスに初めて遊びに行った日、とある印象に残る出来事が起こったので、ここに書いておきたい。

以前から夫はワンフェスに買い物に行っていたが、私も影響を受けて興味が出てきたので遊びに行く事にした。

夫は年に2度のワンフェスを心待ちにしており、イベントが近づくとSNSやパンフレットをチェックして、どういう順番で回ろうか入念な準備を欠かさない。

イベント当日になるとまだ日も登りきらない時間帯に目覚め、始発に乗って会場へ向かい、ゲートが開くまで長蛇の列に並び、目当ての作品を購入しに行くのである。

私は朝からついていくと集中力が切れて夫の買い物の邪魔をしそうなので、昼頃に車で向かって会場で合流する事にした。

会場に到着すると、夫は大きな段ボールを抱えて嬉しそうに立っていた。

まさか買えると思っていなかったものが買えたとのことで、冷静さを取り繕いながらも全身から嬉しさが込み上げているようだった。

私は会場を見学し終え、夫も欲しいものが手に入った為、とりあえず車に購入した作品を置きに行く事になった。

しかし幕張メッセの駐車場は広大で、どこに車を置いたか忘れてしまっていた。

そしてあろう事か、2人で車を探している最中にバケツをひっくり返したような雨が降り出したのである。

「まずい!」と思った矢先、ふと見ると隣にいた夫はいなくなっていた。

辺りを見回すと、夫は遠くの方の木の下にいつの間にか1人で移動していたのだった。

雨宿りするには心許ないような木の下で、夫は箱を抱えて何か叫んでいた。

「…ダメだから…ラベルが濡れたらダメだから!」

段ボールに貼ってある商品のラベルが濡れたり傷ついたりすると1番良くないとのことで、木の下で必死にラベルが雨に濡れないように死守していた。

せっかく夫が手に入れた作品がダメになってしまったら良くないので、私は必死になって土砂降りの中車を探した。

やっとの思いで車を見つけて2人で車に駆け込み、作品のラベルや箱、中身は無事であった。

その日は幕張メッセの近くのイオンで服を買って、水族館に行って遊び、平和な1日を過ごした。

なんだかんだ色々な事が起こった1日だったのだが、この日以降まんまと夫の策略にハマり、私もだんだんとガレージキットを集め始めるようになったのだった…。

ということで、これからもワンフェスライフを楽しんでいきたいと思う。

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