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絵と短歌

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短歌50首【自選】

〈以下、テキスト〉 いい感じに行方不明になりたいね 蜜蜂の風ぐるまの顔して 人影が人より多い東京の幻想振動症候群 ポッピングシャワーみたいな笑い方 キャラメルリボンみたいな泣き方 遠雷が遠雷じゃなくなるとこでショートケーキの苺をあげる ピクニック(産まれるときの断末魔、死ぬときの産声)キスせよ ・ ぎゅっとしてぎゅっとされてからは記憶にない 百万円と苦虫女 詩語としてコインランドリー使用中 2008年頃の空気感 行きつけのBARなどなくて行きつけのLIBRA

    • 短歌10首「事後の世界」

      〈以下、テキスト〉 ただいまとおかえりの一人二役を死ぬまでやった大根役者 少しだけ大好きだったこの国のフードコートのいろんなガチャガチャ 即席の陰謀論で笑わせてくれたあの子も子どもを産んだ イマジナリーフレンドだけが本物でこうなることはわかっていたんだ 脇汗が涙になった瞬間に虫歯の味が耳障りだった 子沢山の人と話して価値観の一致がなくておもしろかった ちゃんとやり直すつもりだったんだよ、新宿駅のあの日の樹液 つないだ手が剥がれたときのにおいがしてミスドがちょっ

      • 短歌32首「実験」

        ・ 針のような天使の犬歯 やらせでもなんでもいいから微笑んで、ここで 蜘蛛の巣を愛の巣にして(愛の巣を蜂の巣にされて)おなかがいたい スヌーズ 最低になる スヌーズ 最低になる スヌーズ 咲いて 6時から8時にかけて轟音のセツナレンサをリピートするだけ 緊張と緩和と太陽 とりあえずしょうもなくない朝をさがした ・ おすすめのくるりの曲を知らせあう気配があった 気配はあった ピタゴラスイッチみたいにシャンプーやボディーソープをユニットバスで 運命は人魚のような

        • 短歌7首「消光」

          毎日の胡散臭さを消すために、詠んでいるけど…あってる?これ ロイコクロリディウムの色 この世からあの世までってどのくらいだろう 平日の真っ昼間から得るポエジー(シリアルキラーが描く絵の感じ) 語呂合わせの電話番号 ちょっとだけ地元を思い出すのはどうして 結局は親ガチャってそりゃそうだけどインターネットカフェの湿り気 貧しさの断ち切れなさは異常だと思うこの頃 ポエマーズハイ 二十代三十代って ぼくだけが虫歯のような日々をそのまま

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        短歌50首【自選】

          短歌7首「巣」

          自動で愛することができない リジー 手動で愛することしかできない 男の子が男の子と手を繋いでいる ぼくは車輪の唄を聴いている リクエストがタイムアウトになりました パターン化された愛国心 会いたくないひとに会ったり century 会いたいひとに会えなかったり 学生の夢ばっかり見てチューリップバブルのような愛情表現 保険金にキスしてもいい? 道徳を学んだことを後悔している 愛は技術か にやつきながら朝や夜を血にしたりして 愛の習練

          短歌7首「巣」

          短歌7首「見つけて見つめる」

          青空を鼠の死骸と思うとき ポエジーなんていらないと思う ダブルピース ぽつりぽつりと泣いちゃってなんか楽しい永訣の朝 歌声 さよならなんて告げないでポテチでも買って勝手に食べて あの街のコインランドリー あの子には普通に不幸になってほしいよ ぼくはぼくを見つけて見つめる Midjourney 吸水性のないバスタオル シューゲイザー 告白なんかしなくていい告白なんかされなくていい このぼくのすべてがわかってしまう時代 生まれた所や皮膚や目の色で

          短歌7首「見つけて見つめる」

          短歌7首「小学生」

          運命の出会いだろうが容赦ないラジオ体操第72 ポエジーが足りないせいでいじられる日々があってもいいじゃんね ね 愛は無料 恋は有料 そういうのじゃなくてぼくは野球がしたい 祈っても届かないなら祈らない 別れ話はカステラの紙 信号が青になりました 良い意味か悪い意味かは調べてください 気づいたら大人で気づかなかったら子供なのかよ インフィールドフライ 空洞の空洞っぽさが好きだって言ってたじゃんか二万年前

          短歌7首「小学生」

          短歌7首「五月の蝿」

          Rafflesia すききらいすききらいすき…だけどなにかがあやまっている… 夕暮れの塩キャラメルプリンパフェ 眠たいことをもっとちょうだい 匂わせが世界をつくる ずっとこわい若者たちのてろてろの服 ポリアモリー 歌詞とビデオと豆苗と奨学金と水魚の交わり ラブホテルみたいなラブホテルがある かわいいものを嫌いになりたい こみあげてくるものぜんぶ あーあーあー うるさいやつから愛されていく ドリンクバー 未来のきみと今のきみと昔のきみを混ぜてそのまま

          短歌7首「五月の蝿」

          短歌7首「宗教」

          ポエジーポエジー おいしいものを食べたからもうちょっとだけ淋しくなれる? ゲーセンの光と音が舌をだして きみのかたちになったところで エンドレス・ポエトリーって思うだけ エンドレス・ポエトリーの終わり Pixies 思い出してもいいんだけど信じたものは赦したくない 幸福の取り合いになる 図らずも猫も杓子も ダークファンタジー 新品から中古になるまでありがとね きみはきみだけのカルトコミック 祝福者 はじめましてとさよならのプレイバックを映画館まで

          短歌7首「宗教」

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          推しのMVを淡々とあげる部屋_05

          あの人を殺すより 面白いことをしよう 悲しみと棒アイスを食う 星野源「私」より抜粋

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          推しのMVを淡々とあげる部屋_04

          思い出が夢より夢になる ドレスコーズ「Ghost」より抜粋

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          推しのMVを淡々とあげる部屋_03

          きみの孤独が 世界を救うかもしれない 荒れはてた庭で ひとり なかよく踊りましょう People In The Box「ダンス、ダンス、ダンス」 より抜粋

          推しのMVを淡々とあげる部屋_03

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          推しのMVを淡々とあげる部屋_02

          好きなもので散らかるくらいがいい カネコアヤノ「やさしい生活」より抜粋

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          推しのMVを淡々とあげる部屋_01

          新しい声が切れ切れになる グロテスクな世界に怯えてしまう Mom「胎内回帰」より抜粋

          推しのMVを淡々とあげる部屋_01

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          詩 「放火」

          命はずっと不便だ。うつろなコンテンツは許されない。みんなより幸せにならなくちゃいけない。従って、一番澄ました顔をする。ふざけた街で、言えない傷だらけ。略奪されたい真っ赤なスカート。 いつも恐ろしい要素ばかり検索した。もうすぐ灰になりそうなこと。使いものにはならないけど、胎児のように包んでいるもの。眠れない夜を数えて眠る夜。本当はドーナツの穴だけを食べて生きたい。 最終日。きみを処分して、大きな家に小さな絵を飾る。それを眺める。それを眺める人生に火をつける。それを眺める。

          詩 「放火」

          詩 「めだまやき」

          太陽と貯水槽 放置されたままの虫かご 満たされない春の街 疫病についての貼り紙 演技派の少女 造花みたいなスカート すぐ赤らむ恥ずかしがり屋の信号機 交通巡視員 真っ白な邸宅 つよく燃やしたいしけもく 自粛できない動画 紙コップのなかの硬貨 ひねくれた体躯 取り繕いながら繋ぐマスク メイドインチャイナ 藍錆色のフライパン 痛いほど記憶する 全部 流行歌を口ずさむように あなたの頭皮を嗅ぐように 同じ朝食をつくるように

          詩 「めだまやき」