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これからは〈対話法〉を「後ろ盾」に

「あえて対話をしない」集いを始めたことにより長年の願いが実現しそうです。

長年、全国各地で〈対話法〉の講演や研修会をしてきた中で、参加者から「さまざまな理由で話を聞いてもらいたい時があっても、否定も批判もしないで聞いてくれる人や場が、なかなかなくて困っているんです」という悩みや希望を伺うことがありました。
もちろん、従来から、医療機関、心理士、カウンセラー、電話相談(いのちの電話等)、自助グループなどはあるのですが、休日や夜間でも稼働しているところは限られています。まして年末年始などは、サービスが数日間ストップします。しかし、この現状を打開しようと思っても、資金も人材も足りないのが現状です。

そこで私は、〈対話法〉によって貢献できることはないだろうかと考えて、さまざまな試みをしてきました。コミュニケーションを学びながら心のリフレッシュを図る「対話の会」も、その一つでした。ここ数年はオンラインで開くこともありました。オンラインなら時間や場所を超えて開催ができるからです。そして、将来的に協力者が増えて普及すれば、「話を聞いてもらいたい人に無休で対応できる場」が実現するのではないかと考えていたのです。
ところが、共感や傾聴を、カウンセリング理論よりも比較的容易に習得できる〈対話法〉でさえ、必要とされる場面で自在に使えるレベルに到達するには、考案者の私が思っていた以上にハードルが高いことがわかってきました。
理想としては、「すべての参加者」が〈対話法〉を使いながら対話をするのが「対話の会」ですが、実際それは難しいため(不可能?)、それでも場の安全を維持しようとすると、どうしてもファシリテーターへの負担が大きくなるのです。これでは「対話の会」は普及しません。

〈対話法〉の習得が難しい原因の一つは「人間の能力の限界」にあるのではないかと推測しています。
ならば、〈対話法〉に頼らずに上記のような希望を叶える方法はないだろうかと考えた末、従来から、自助グループ等で採用されている『言いっ放し、聞きっぱなし』という方法を、「あえて対話をしない」集いという形で、オンラインで実施することを思いついたのです。
では、〈対話法〉は諦めてしまったのかと言うと、決してそうではありません。「理論的にも実用的にも効果が認められる〈対話法〉を、今後は『後ろ盾』として置く」(いざという時の安全装置のようなもの)ことにより、より安心して『言いっ放し、聞きっぱなし』ができる場が実現するのではないかと考えています。

現時点では2回開催しました。各回、40分程度の時間の中で3〜6名のひとが一人ずつ語るのを、他の参加者は「何も応答しない(つまり対話をしない)」で傾聴しています。参加者からの感想は好感触です。
今後、この実践を続けながら、冒頭で提示したような場が実現するまで試行錯誤をしたいと考えています。

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