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MSCベリッシマ乗船記・追記編(2023南国薩摩と石垣島・那覇・台湾美ら海クルーズ 9日間)

これはまずい

 旅行終了後2日目に勢い余って3万字近い乗船記を初掲載したところ、それなりの方に読んでいただけたようだ。面白かったとの声もいただき、誠に幸いである。笑ってもらえただけでも、モヤモヤを吐き出した甲斐があるというものだ。
 しかし、ここいらでフォローをしておかねば、我が家はMSCおよび旅行会社から出禁をくらってしまう。あいつが書いたと絶対バレているからだ。上記記事が「MSCベリッシマ」「乗船記」というキーワード検索で上位にくるのは、お互いにとって良くない。
 それに、波乱の航海を過ごした皆さんも、そろそろふとベリッシマが懐かしくなってきたのではないだろうか。あの船、もう一回挑戦したくなりませんか?もっと楽しめたはずだと!
 そう、あの船はハード面は素晴らしく、そして一生懸命スタッフたちが働いているのだ。スマホの写真を見返したり、みんなのインスタ投稿を見ていると、素敵な瞬間ばかりが思い出され、なんだかまた乗りたくなってくる。
 そんな魅惑あふれるMSCベリッシマについて、ここいらで前向きな話をしようと思う。ここを直せば完璧だ!

最優先の要望事項

・乗下船をなんとかしてくれ
 言うまでもないが、クルーズカードは前日に作っておいて欲しい。今回、MSCは第一印象で失敗したのだ。第一印象の重要性を私は今回思い知った。私の乗船記も、やたらと初日が長い。初日のグダグダがそれだけ印象に残り、最後の最後まで尾を引いたのだ。

ドラマ「SUITS」よりハーヴィのありがたいお言葉

 本当に最初が肝心だ。スムーズに乗船できて、スワロフスキー階段を登り、プロムナードを通って部屋に入り、笑顔のスタッフから「お待ちしておりました」の一言でもあれば、あんな長文を書く羽目にはならなかったかもしれない。誰からも「ウェルカム!」って言ってもらえなかったんですよ僕ら。
 そして、各寄港地で、テンダーボート利用より乗下船が混んでいたのはなんなのだろう。もっとも乗客に負担を強いていた場面であるし、これは改善可能なはずだ。やたらと滞在期間の短い鹿児島の住民としても、ここはお願いしたい。一定の時間がかかるにしても、もっと列の整理の仕方とかあるんじゃないかと思う。
 もちろん、ヨットクラブのエスコート方法も要改善である。
・情報告知の仕方を考えてほしい。
 フラストレーションが溜まる状況であれば、何が起きているのか、わかりやすい形で告知して欲しい。日本人は何が起きているか教えてくれれば落ち着くし、待つんですよ。わりと大人しく。
 何かのトラブルにしても、同じような内容のクレームでレセプションに並ばされている人が多かったようだ。しかも並んだ挙句に解決しないのだから、そりゃ怒るよ。
 「ただいまクレジットカード登録に支障が生じておりますが、対応を検討中ですので、登録をお待ちください」とアプリに一斉送信とかできれば理想的だ。なんならホワイトボードに書いて掲示すればいい。今すぐアスクルで発注してほしい。
 そういえば、ツイッター情報では、シャンパンのお詫びも説明なくきたものだから、「また誤課金される!」と警戒した人がいるらしい。ウケる。「本日シャンパン無料!」と入り口に垂れ幕を掲げろとまでは言わないが、何につけても、どうにも説明が少ない。
 いろんな情報を乗客同士で融通しており、そんなんで乗客の一体感を高めないで欲しい。
・食事のトラブルはやめて!
 食事のトラブル(過度の混雑・提供遅れ)は良くない。旅行経験がある程度ある家族ならわかるであろう。旅行中に険悪なムードになるのは、大抵空腹の時か食事が不味かったときだ。
 その意味では一番やってはいけないことをやらかしたのだ。さすがのMSCもチョレートと謝罪文を配ったようであるから、事態を深刻に受け止めているのだろうと思う。
・ヨットクラブ
 ヨットクラブの改善点は難しい。ホスピタリティの欠如という、非常に抽象的な話だからだ。ただ、一つ言えるのは、掃除をちゃんとするのと、ジャグジーの外装を修理することだ。これは簡単だろう。我が家が大ハズレを引いただけの可能性が高いが、ハズレがあってはいけない。
 また、初心者向けに、A4一枚のヨットクラブ攻略マニュアルを至急作成の上、一日目に部屋に置いておいてほしい。いざ聞いてみるとパンフの案内と齟齬があったり、特典の使い方もよく分からないことが多かった。 
 それにしても、ヨットクラブ常連の方々は、あのヨットクラブをどう感じたのだろうか。あの残念感は、なんだったんだろう。
 レストラン・ラウンジはサービスもよかったし、全体としてハード面は申し分なかった。船首のレストラン・ラウンジ、そしてデッキで過ごす時間は、誠に優雅であったし、お前はなんの文句があるのだと言われると言葉に詰まるのだが、どうにも残念な感じが終始消えなかった。
 やはり第一印象の悪さゆえなのだろうか。正直謎である。ヨットクラブエリアで過ごす限り、混雑とも基本的には無縁であったはずなのに。部屋も広かったし、最高だったはずだ。
 元来我が家は、コロナ禍中はその辺の山でテントを張って虫がカサカサいう中を雑魚寝になって喜んでいた民であり、そんなに高いスペックを求めていたわけではない。
 YouTubeのヨットクラブ紹介動画のせいで期待が高まり過ぎた反動もあるだろう。あの動画、帰ってきてから自宅で見直すと正直笑いが止まらない。

カジュアル船の楽しみ方

 「カジュアル船ですから」ってのは、これは確かに真実でもある。いわゆる豪華客船というイメージで乗ってはいけない。至れり尽せりというサービスを期待して乗ると良くない。そう言う人は、にっぽん丸に乗ろう。
 上記の改善点、つまり乗下船と情報告知、食事がとりあえずなんとかなれば、あの素晴らしい船で、素晴らしい船旅が実現するはずだ。混んでいるのはある程度仕方がないし、船に合わせなければならないという面はどうしても出てくる。
 あとは、陽気にだらだら過ごせばよい。寄港地でもとにかく予定を詰め込みすぎず、予定が狂っても気にしないことだ。予定が狂うとイライラするタイプの人は、意識的にマインドコントロールする必要がある。
 そして、積極的に船を楽しもう。ドレスコードにはできるだけ乗っかり、ダンスパーティでは恥を捨てて踊るのだ。外国人スタッフには適当な英語でいいから喋りかけよう。
 あと有料レストランとか有料ショーはせっかくなら予算の範囲で行っとこう。無料エリアが混んでるタイミングで使えれば理想的だ。レストランは残念ながら日本食だけはおすすめし難いが、ステーキはハズれないと思う。メキシカンはよくわからん。
 そんなことを考えていると、なんだかまた乗りたくなるではないだろうか。あの魅惑のMSCベリッシマへ!前回の経験を、船と乗客の双方が生かせば、きっと素晴らしい船旅になるはずだ。レッツリベンジ!

鹿児島観光

 せっかくならこの機会に鹿児島のアピールをしておこう。錦江湾を航行をしたみなさんは、その魅力がすでにお分かりであろう。素晴らしい景色を楽しむことができたと思う。だからもう一回来てね。本来、鹿児島含め九州は、ゆったりと訪れる場所なのである。クルーズで触れることができるのは、鹿児島の魅力のほんの一部である。
 クルーズ船をお迎えする側としても、クルーズ客の皆さんには、一度軽く見てもらって、「ああ、鹿児島良いところだったな。今度はゆっくり行ってみよう」となって欲しいと願っている。
 夜の天文館は、ちょっと昭和感があってよいし、霧島・指宿はもちろん、市内でも昔ながらの温泉が楽しめる。南薩方面や大隅方面をドライブし、できれば離島に足を伸ばしてもらいたい。食と温泉。日本人が大好きなやつがここにはあるのだ。
 今回の下船客の皆さんは、街を散策して、時間があれば温泉やラーメンを食べて帰ろうというお手軽プランを考えている方々もおられたようだ。私が天文館で洗濯物抱えながら、隣の方に「今からどちらへ?」と話かけたら「その辺ぶらっとして小金太ラーメン食べます」という答えが返ってきた。   
 どうも、日本人は旅行先でご当地ラーメンを食べておかねばならぬ義務感に駆られているようだ。しかし、小金太とは良いチョイスである。なお、鹿児島ラーメンの個人的なオススメは、「ふくまん」「柿の木」である。この2店はシャトルバス乗り場からも比較的近い。
 特に「ふくまん」は私の一番のお気に入りのさっぱりタイプの鹿児島ラーメンである。私はもう、2週間に1回は食べないと禁断症状が出てくる身体になってしまった。
 温泉もよい。鹿児島はその辺の銭湯みたいなところに入っても、泉質はちゃんと本物の温泉である。しかし、せっかくの鹿児島である。展望台に行くのを兼ねて、鹿児島が誇るラグジュアリーホテル、城山ホテル鹿児島の展望温泉をオススメしたい。
 ビジターの入浴料はお高いが、温泉と一緒に景色も楽しめる。もちろん、泉質も良い。温泉から出れば、目の前に焼酎とクラフトビールを飲めるカウンターがある。さっさとその財布からカードを出して鹿児島で散財しよう。なお、城山ホテルは天文館からシャトルバスが出ている。

皆さん良い船旅を!

 そういうわけで、前向きな話をしたところで、今回の記事を終わる。クルーズ旅は、本来は楽しいものである。それが、たとえカジュアル船であっても。むしろフレンドリーさではカジュアル船のほうがよいくらいである。今回のことで懲りずに、ぜひ再挑戦してもらいたい。鹿児島では、オレンジの旗をもって我々がお迎えしよう。

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