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【ワイン備忘録 #3】カール・エルベス ユルツィガー ヴュルツガルテン リースリング Q.b.A ファインヘルプ 2021

はい、でました。ドイツワインらしい呪文のような名前のワインです。

慣れてしまえばなんてことはないのですが、ドイツワインがイマイチ日本人に選ばれにくい理由の1つが、こんな呪文的な名前にあるのは間違いないです。

分解すると…
①生産者名:カール・エルベス
②村名:ユルツィヒ(Ürzig+er)→ユルツィガー
③畑名:ヴュルツガルテン
④品種名:リースリング
⑤等級名:Q.b.A(クヴァリテーツヴァイン)
⑥味わい:ファインヘルプ(洗練された辛口)

実は全部書いていてくれて親切なワイン名とも言えるのですが。

生産地域はモーゼルです。

ユルツィヒ村のヴュルツガルテンは地図ではココ↓↓↓(青い印のとこ)

243km (ドイツ国内部分)にわたる
モーゼル川の真ん中あたりの地図

カール・エルベスは何世紀にもわたってユルツィヒ村に住む古い家系の生産者です。

インポーターさんが「労働に対し世界で最も安いワイン」と記すほど、崖に近いような足元の悪い急勾配の畑で作られているとのこと。
ドイツには同じように厳しい条件の畑で作られるワインが沢山あり、その情熱や努力に敬服するばかりです。

ヴュルツガルテンの粘板岩はユルツィヒ村のあたりにしかない赤色粘板岩という酸化鉄を含んだもの。ミネラル分が多く桃のようなアロマティックなアロマを含む、フルーティーなワインができるそうです。
確かにこのワインにはそのような印象を感じます。

◻︎ドイツワインにおける味の種類

ファインヘルプという味わいは「洗練された辛口」を意味する、醸造家さんたちが好んで使っている言葉で(近い味わいを意味する「ハルプトロッケン」のハルプ(半分)という言葉にエレガンスが感じられないそうで)実は残糖量など法律で決められたものではなく、使用は造り手の判断に任されています。

〈Torocken トロッケン(辛口)〉
残糖量4g/ℓ以下
もしくは9g/ℓを上限として総酸量+2の値がこれを超えない

〈halbtrocken ハルプトロッケン(中辛口)〉
残糖量12g/ℓ以下
もしくは18g/ℓを上限として総酸量+10の値がこれを超えない

〈lieblich リープリッヒ(甘口)〉
残糖量45g/ℓ以下

〈Süß ズース(リープリッヒよりさらに甘口)〉
残糖量45g/ℓ以上

今回のワインは残糖量が26.0g/ℓ、酸度が7.8g/ℓなので、法律的に分類するとリープリッヒ(甘口)になると思いますが、酸度も高いのでファインヘルプという表現がしっくりきます。


このワインは何度も飲んでいますが、いつ飲んでも本当に美味しい。シチュエーションを選ばす楽しめます。

そして、私は日本人が好きな味だと思います。
甘味と酸味の繊細なバランスを理解することは日本人が得意なことだとおもうからです。

「食事に合うの?」と言われる方も多いですが、日本食には砂糖を使う料理も多いですし「甘い=食事には合わない」と思い込むのはもったいない。以外と何にでも合わせられます。

初心者はもちろん、ワインを嗜む方で「甘いワインなんて無理!」という方も沢山お見かけしますが、ぜひ偏見を取っ払って飲んでほしいワインです。

〜テイスティングメモ〜
輝きのある落ち着いた印象のペールイエロー。やや粘性がある。香りは甘やかなレモンコンフィ、固い白桃、りんご。湿った石灰、コリアンダー。
口に含むとすぐに感じる厚みのある酸と、さらに飲み込み際にも感じるリースリングらしい強めの酸が甘みを引き締め、全体的にスッキリした印象を残す。

品種 リースリング100%
参考価格帯 1000〜2000円

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