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旅先で定番ビールのおいしさに不意をつかれた話

「うっま・・・!」

旅先で飲んだ瓶ビールが、想像以上のおいしさで、
思わず夫と顔を見合わせた。

「おいしすぎない?こんなにおいしかったっけ」

私は、普段からいろんなビールを飲んでいて、
その日飲んだ一番搾りも、20年以上お世話になっている定番ビールだ。

なのに、期待の2.3倍くらいおいしかった。
なぜなんだろう。

おいしい理由が知りたすぎる


12月30日、大晦日までの1泊2日で、ブルワリー併設の宿がある静岡へやってきた。「今年頑張った自分へのごほうび」という名目だ。

まずは魚介を食べようと、駅前の寿司屋で頼んだ瓶ビール。

それから大晦日で紅白歌合戦を見ている今まで、
なんであんなにおいしかったのか、私の頭はそのことでいっぱいだ。
理由がわかれば、お酒をもっとおいしく飲めるようになり、人生のQOLが大幅に上がる可能性がある。
(というくらい、私はお酒を飲むのが好きだ)

ましてや、あの、キリンの瓶ビールである。

飲食店を営んでいた実家には、常にキリンのケースが積まれていた。
子どもの頃からキリンの聖獣にある「キリン」の文字探しで遊び、
ケースから出した大瓶を拭いてほこりを落とし、
シュポンと栓を開けて家業を手伝い、
7:3で泡をたてて注いでいた私である。

成人してからお店でビールを頼むときは、自然とキリンを選んでいた。
その私が、いまさら一番搾りで驚くことがあるだろうか。

サウナか、寿司屋か


思いついた理由は2つある。

まずひとつは、直前にサウナに行っていたこと。

午前中、サウナの聖地と呼ばれる「しきじ」に行った。
初めて行った憧れの場所で、薬草の香りのサウナに蒸されて、味覚含めたあらゆる感覚が、通常の2.3倍敏感になっていたかもしれない。

もうひとつは、寿司屋さんのこだわり
駅前のチェーン店だったけれど、見えないところで
徹底した温度管理をしているのかもしれない。

コップも、ガラスじゃなくてステンレス。
これもおいしく飲ませるこだわりに思えてきた。
ビールの製造年月は、2023年12月(今月)。
ほら、鮮度が良い。

ジョッキのビールも頼めるお店で、
あえてみんな、瓶ビールを注文している・・・
だから常に新しい瓶ビールが出てくるんだ。

そんなことを考えた。

だけど、なにか足りない気がする。
サウナ上がりのビールは、いろんなシチュエーションで飲んできたし、
寿司屋の温度管理説も、そのあと出てきたお茶が
まったく同じステンレスカップだったので信憑性が低い。


しつこく理由を考える私に、
「想像力より検索力」の夫が、第3の説を提示した。

変わらないという思い込み


一番搾りが、今年の1月にリニューアルされ、
味が「さらにおいしく」なっていたというのだ。

変わらないと思っていた「キリンの瓶ビール」が、変わっていた。

https://www.kirinholdings.com/jp/newsroom/release/2023/0113_02.html


もし、先にリニューアルを知っていたら。
期待が高くなり、あの日の寿司屋のような感動は
なかったのかもしれない。

旅の初日、12月30日でも店を開けているチェーン店で、「これからクラフトビールの醸造所に行くから、飲むのはちょっとだけにしよう」と、グラス1〜2杯の王道ビールを飲もうとした。

そんなシチュエーションで不意をつかれたことが大きかったかもしれない。

来年もおいしく飲むために


そうだとすると、今後のQOLをあげるために
意識すべきことは2つだ。

1つ目。
その時々のおいしさを楽しもう。お酒の味に「変わらない」なんてない。

2つ目。
情報に飲みこむ前に、五感で楽しもう。それに気づける舌を私は持っている。

なんだか、自画自賛のような、
結局「好きなものを好きなように楽しもう」という
進化のない結論になってしまった。

新しいものを追いかける旅で、
昔からの定番に、ガツンとくさびを刺されたような、不意の出会いがある旅だった。


と書いていたら、近所の子がピンポンを鳴らした。
近所の仲良し家族で集まり、紅白を見ながら飲んでいるのだ。

「まだ仕事してるの?」
「ううん、もう行くよ」

年越しを一緒にすごす人たちがいて、
おいしいお酒が待っている。
そんないい時間が、来年もたくさんありますように。

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