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かわたれの街の話がしたい

どうしようもない大人たちは、まっすぐな若さがまぶしい。

『かわたれの街』(著: 勝田文)

かわたれ時
『彼は誰』とも書く。明け方のまだ薄暗い時。まだよく見えない時間。


豆腐屋の娘で高校生の木菜は、どこからか明け方に街へやってきた料理教室の先生に片思い中。
料理上手でイケメン、しかもミステリアスと言えば聞こえはいいんだけど、実際は奥さんに逃げられたヒモで、しかもまだ未練たらたらのどうしようもない男性です。
普通にやめとけっていう相手ですね。

ただ、勝田さんはこういう周りが『やめとけ』っていう男性を描くのがうまいんですね〜。憎めないというか。母も好きなんですよね。私も当然好きだしなんなら現実も周りに止められることが多いです。
韓国の占いでも『自分で選ぶのはダメ。紹介にしなさい』と言われ、さらにトイレに立ったタイミングで1人になった時に占いの先生に『かわいいから大丈夫よ』と励まされたので相当だったのでしょう。

完全に話が逸れました。


木菜も周りにやんわりとは止められてはいるのですが、10代の女子はそんなことじゃ止まりません。
でも木菜のいいところは、先生が落ち込んで自分にチャンスが回ってきても、なんだかんだ奥さんのことを話してしまうところなんですよね。


相手が大人ということもあり、学校よりは木菜の実家でもある豆腐屋がある商店街がメインです。
同じく料理教室に通う、歳上のほのかさんが喫茶店をやっていたり、先生の幼馴染の大岡店長の大岡商店というスーパーがあったり、同級生の竹大(たけひろ)の呉服店があったり…
のんびりとしてるけど賑わっている商店街です。
あぁ、先生は大岡店長に借金もしてるな…やめとけって木菜。

この作品に限らず、ちょっと情けない人やどうしようもない人は出てくるんですけど、みんな憎めないんですよね。
勝田さんの作品はみんなちょっと愛らしい。
どうしようもないけどかわいい。
そんな人たちが集まる空間はやさしくて、私もそんなところで暮らしたいなと思います。


たそがれはこちら↓


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