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【プロローグ公開】18万部のベストセラー待望のまんが化!『まんがでわかる正義中毒 人は、なぜ他人を許せないのか?』(2021/11/25発売)

本書は、脳科学者・中野信子先生のベストセラー『人は、なぜ他人を許せないのか?』のエッセンスをオリジナルストーリーでまんが化したものです。

企業の広報部でSNS担当になった主人公が「正義中毒」に直面し、悩みながら「人を許せなくなる脳の仕組み」を学ぶことで、「正義中毒」を乗り越えるヒントを探っていきます。
本書の刊行を記念し、プロローグから目次までを全文公開いたします。

まんがのストーリーを通して、「正義中毒」が起きる仕組みや、怒りや憎しみなど負の感情に振り回されず、心穏やかに生きるコツが学べる1冊です。

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はじめに


本書は、2020年1月に刊行した『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)のエッセンスを、オリジナルまんがで再構成したものです。
 
人の脳は、裏切り者や社会のルールから外れた人といった、わかりやすい攻撃対象を見つけ、罰することに快感を覚えるようにできています。
他人に「正義の制裁」を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質である「ドーパミン」が放出されます。この快楽にはまってしまうと簡単には抜け出せなくなってしまい、罰する対象を常に探し求め、決して人を許せないようになるのです。

こうした状態を、私は正義に溺れてしまった中毒状態、いわば「正義中毒」と呼ぼうと思います。この構造は、「依存症」とほとんど同じだからです。

有名人の不倫スキャンダルが報じられるたびに、「そんなことをするなんて許せない」と叩きまくり、不適切な動画が投稿されると、対象者が一般人であっても、本人やその家族の個人情報までインターネット上にさらしてしまう。企業の広告が気に入らないと、その商品とは関係のないところまで粗探しをして、あげつらう……。


「間違ったことが許せない」
「間違っている人を、徹底的に罰しなければならない」
「私は正しく相手が間違っているのだから、どんなひどい言葉をぶつけても構わない」


このような思考パターンがひとたび生じると止められなくなる状態は、恐ろしいものです。本来備わっているはずの冷静さ、自制心、思いやり、共感性などは消し飛んでしまい、普段のその人からは考えられないような、攻撃的な人格に変化してしまうからです。

特に対象者が、たとえば不倫スキャンダルのような「わかりやすい失態」をさらしている場合、そして、いくら攻撃しても自分の立場が脅かされる心配がない状況などが重なれば、正義を振りかざす格好の機会となります。

あなたも「正義中毒」に陥ってしまう可能性がある


こうした炎上騒ぎを醒めた目で見ている方も多いと思います。しかし、正義中毒が脳に備わっている仕組みである以上、誰しもが陥ってしまう可能性があるのです。もちろん、私自身も同様に気をつける必要があると思っています。

また、自分自身はそうならなくても、正義中毒者たちのターゲットになってしまうこともあり得ます。何気なくSNSに載せた写真が見ず知らずの他人からケチを付けられ、「不謹慎だ」「間違っている」などと叩かれてしまうようなケースは、典型例だといえます。

正義中毒の状態になると、自分と異なるものをすべて「悪」と考えてしまうのです。自分とは違う考えを持つ人、理解できない言動をする人に「バカなやつ」というレッテルを貼り、どう攻撃するか、相手に最大級のダメージを与えるためには、どんな言葉をぶつければよいかばかりに腐心するようになってしまいます。

ある状況においてどちらの言い分が正しいのかはさておき、双方がおのれを正義と確信して攻撃を始めてしまったら、解決の糸口を見出すことは非常に困難です。

それどころか、参加している双方がお互いを攻撃し合う状況にのめり込んでいくこと自体をイベントとして積極的に楽しんでいて、そもそも解決しようという気がないのではないかとも思えます。それはまるで、どう上手に、効率的に相手をけなすかの技術を競う、いわば大喜利大会のようです。

これは、前述した正義中毒の「重篤な」状態だといえるでしょう。

問題を解決しよう、既存の知識と経験だけに頼らず新しい知見を得よう、難しい状況を抜け出して新たな答えを見出そうとするよりも、その場で自らの正義に酔い、相手を一方的にけなすことに満足感を覚えているわけです。

「許せない仕組み」を知ることは穏やかに生きるヒントになる

「許せない」と思わずに済む一番の方法は、誰とも関わらずに生きていくこと、あるいは自分と考えの合う人としか付き合わないことかもしれません。しかし、社会生活を営んでいる私たちが、他人と関わらず、付き合わないでいることは、現実的にはなかなか難しいでしょう。

冒頭で少し述べた通り、人を「許せない」という感情の発露には、脳の仕組みが大きく関わっています。

人と関わらずには生きていけない以上、自分と考えの異なる人を「許せない」「理解できない」「バカなやつだ」と切り捨てたり、憎しみの感情で捉えたりするのではなく、「なぜ私は、私の脳は、許せないと思ってしまうのか」を知ることこそが、自分の人生にとって、ひいては社会全体にとっても大きなプラスを生むのではないでしょうか。


本書では、「正義中毒」や「人を許せなくなる脳の仕組み」について、まんがのストーリーを通して、わかりやすく解説していきたいと思います。

すべての人を理解できるようになることは不可能でも、できることなら、他人に必要以上の怒りや不満、憎しみの感情をもつことなく、穏やかに生きたい。心の底ではそう思っている読者にとって、本書がその助けになり、少しでも気を楽にして生きていくヒントになれば幸いです。

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『まんがでわかる 正義中毒 人は、なぜ他人を許せないのか?』
監修:中野信子 シナリオ:サイドランチ 作画:川井いね子
2021年11月25日発売 刊行:アスコム


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