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目に見えないものを引き継ぐこと〜著作権の相続税評価

先日ある方から

ご自身のお子様に引き継ぎたいのは
お金や財産よりも何よりも

「信頼」

というお話をうかがって感動してしまいました。


日ごろは、土地家屋や有価証券などの目に見える財産を評価して
相続税額を計算することにばかりに意識が向いているので

「信頼」を子に受け継ぎたいというその方の言葉は、

目に見えないけれど価値のあるもの

無形の財産を引き継ぐことについてあらためて考えるきっかけになりました。

ここのところ、周りで電子書籍を出版される方がちらほらいらっしゃるので、

冒頭の「信頼」とはまったく異なりますが

目に見えないけど価値のあるもののひとつ

著作物に対する創作者の権利、
「著作権」の評価について書いてみたいと思います。


著作権の相続税評価額は下記の通り

「年平均印税収入の額✖️0.5✖️評価倍率」

の算式で算定することとされています。

(著作権の評価)
148 著作権の価額は、著作者の別に一括して次の算式によって計算した金額によって評価する。ただし、個々の著作物に係る著作権について評価する場合には、その著作権ごとに次の算式によって計算した金額によって評価する。
 年平均印税収入の額x0.5x評価倍率
 上の算式ちゅうの「年平均印税収入の額」等は次による。
(1) 年平均印税収入の額
 課税時期の属する年の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額とする。ただし、個々の著作物に係る著作権について評価する場合には、その著作物に係る課税時期の属する年の前年以前3年間の印税収入の額の年平均額とする。
(2) 評価倍率
 課税時期後における各年の印税収入の額が「年平均印税収入の額」であるものとして、著作物に関し精通している者の意見等を基として推算したその印税収入期間に応ずる基準年利率による複利年金現価率とする。
(国税庁ウェブサイト:「財産評価基本通達」より)


亡くなる前3年間の印税収入の平均を出して

これからあと何年そのレベルで印税をもらい続けられるかを、

その著作物に精通している専門家に見積もってもらって

これらを元に、複利計算で現在価値に割り戻して計算します。

ここでいう「基準年利率」というのは、相続税の財産評価の基準となる利率で、

利付国債の複利利回りを基に算出されて、毎年国税庁から発表されます。

具体的な金額を例に
著作権の評価額を算定してみましょう。

例えば

年平均印税収入 1億円
今後の収入見積期間を 10年とすると…

評価倍率は9.730
(基準年利率0.50%、10年の複利年金現価率の場合)

著作権の評価額は 486,500,000円になります。

ここで仮に収入見積期間が15年なら…

評価倍率は14.417で

著作権の評価額は 720,850,000円です。

さらに、収入見積期間が20年なら

評価倍率は18.987で

著作権の評価額は 949,350,000円となります。

これからどれくらいの間売れ続けるか、という年数の見積りがいかに評価に影響するかがわかりますね。


このように、目に見えない財産の価値の評価は、特に難しいのでしょうね🍀

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お読みいただきありがとうございます。

未来へ引き継ぎたいものは
目に見えるものだけではありません。

皆さんはどんなものを未来へ繋ぎたいと思いますか?






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