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日本のヘッジファンド市場

日本のヘッジファンド市場

日本に登録して活動するヘッジファンドの数はかなり少ないと考えられます。その数は100本前後とみられ、しかもごく小規模のヘッジファンドが多いとみられています。日本のヘッジファンドの多くは中小型株のゼネラリスト型ヘッジファンドが多いと考えられます。こうした特徴から日本のヘッジファンドは、大きな資金を取り扱うより、中小型株を機動的に売買するために100億~400億円の小規模なヘッジファンドが多いと考えらえます。

なぜ日本のヘッジファンド市場は小規模なのか?
日本のヘッジファンド市場が小規模な理由は、主に海外のヘッジファンドが日本での登録をあきらめている点が多いといえます。主な理由としては言語的な壁が立ちはだかりますが、そのほかに税制や規制、金融監督の文化がファンド運用が盛んな英米法と異なる点にあると考えられます。
一方日本のヘッジファンド会社も海外投資家に対して、積極的な情報開示をすることが少なく、また中小型株の取り扱いが多いため新規資金を受付していないことも指摘されています。なぜヘッジファンドの投資先が中小型株に集中するのかというと、日本の中小型株のほとんどは、アナリストによるリサーチが行われておらず、価格が割安に放置されていることが多いため、豊富な投資機会があるためと考えられます。

増加する日本株投資

日本に登録するヘッジファンドは少ない状況ですが、一方日本株を投資先の一部として組み込むヘッジファンドは、金融庁が2017年に日本版スチュワードシップ・コードを導入してから増加傾向にあります。特にメディアに注目されやすいアクティビストの露出は増えてきており、ソニーやソフトバンク、東芝などコングロマリット型の企業やキャッシュ・リッチの企業において、事業分割や配当の増額などの積極的な株主提案が増えてきています。

ヘッジファンドと投資信託の違い

ヘッジファンドと投資信託の比較

ヘッジファンドと投資信託の大きな違いは、運用目標と流動性にあります。投資信託はベンチマークを上回るリターン(相対収益)を目指すため、下げ相場においては、ベンチマークよりマイナスが大きくならないことを目標としますが、ヘッジファンドは下げ相場でもプラスのリターン(絶対収益)を目標に運用を行います。下げ相場で収益を狙える理由は「レバレッジ」と「空売り」です。一つ一つはハイリスクといわれている手法を、組み合わせて運用することで、リスクをコントロールしながら運用することを可能としました。また投資対象の一部に現金化に時間がかかる投資対象や戦略を採用することがあるため、通常換金まで1~3か月ほどかかることが多く、数日で現金化可能な投資信託に比べると、流動性が低い特徴があります。

ファンドマネージャーと収益モデルの違い

投資信託は「運用残高」が多ければ、収益が上がる収益モデルのため、運用成績以外に、表面利回りの高い毎月分配型や人気の出そうなテーマ株投信など人気先行型の投資信託を作ることで残高を集める傾向にあります。一方ヘッジファンドは成功報酬を取る収益モデルのため、良い「運用パフォーマンス」を追及します。ヘッジファンドは残高が拡大しすぎると、運用の機動性が失われパフォーマンスが下がるため、新規の受付を停止することも多くあります。

また一般的にヘッジファンドマネージャーの方が投資信託のファンドマネージャーよりも高い報酬が支払われるため、良い人材が集まります。さらに、ヘッジファンドマネージャーは自己資金をファンドに投資することで投資家と同じリスクを負うことが多いのに対し、投資信託のファンドマネージャーは通常自己資金を組み入れることなく、担当の投資信託が変わることもしばしばあります。

ヘッジファンドと投資信託の比較

サラリーマンのファンドマネージャーが
投資家の資産でファンドを運用

ヘッジファンド
オーナーのファンドマネージャーが
自己資金と投資家の資産でファンドを運用

ヘッジファンドとは?

ヘッジファンドは下げ相場でもリターンを目指すことにより、安定して高回りを計画・運用します。
ヘッジファンドのメリット

長期間、平均10%以上を達成した
ヘッジファンドが存在
多くのアクティブ投信は株式インデックス未満の成績に落ち込む中、トップクラスのヘッジファンドならインデックスを上回る実績があります。
下げ相場でも積極的にリターンを目指せる
投資信託は下げ相場になると利益が出にくいですが、ヘッジファンドは下げ相場でも利益を追求します。

資産の運用を世界のプロに任せる
グローバルなファンドマネージャーに資産の運用を任せるため、知識が無くても資産運用が可能です。

投資信託とは?
投資信託は少額の資金を集めて株式、債券などに投資・運用します。

投資信託のメリット
小額から投資可能
ほとんどの投資信託は月額1万円から投資が可能です。

高い流動性と透明性
毎日価格が算定可能な投資対象に投資することで、高い透明性と流動性を確保しています。

リスクを分散・低減
毎月、定額を積立投資していくことで、安い時に多く投資し、高い時には投資を控えることにより、平均購入単価を安定させます。

ヘッジファンドの資産保全の仕組み

近年の多くのヘッジファンドは資産保全のために、基本的には投資信託と類似の「分別管理」・「第三者の運用成績の算定」・「第三者の監査チェック」の手法が採用されています。これは過去のファンドの主な不正である「資産の流用」・「虚偽報告」・「管理体制の不備」に対応したものです。2000年代以降年金基金などの機関投資家の資金が流入するにつれ、ヘッジファンドも管理手法の洗練化や管理の透明性を求められるようになりました。投資信託との仕組みの違いとして、注文の発注などを提供するプライムブローカーが、同時に高度なリスク管理のシステムも提供している点はヘッジファンドの特徴として挙げられます。

ファンド・マネージャー
ポートフォリオの管理や売買投資活動など、投資家から集めた運用資産全てに責任を持つ役割 

プライムブローカー(証券会社)
ファンドマネージャーの指図を受けて、取り引きの執行・決済を行います。

トラスティー
投資家と投資契約を締結し、資金を受託する主体です。

カストディアン(資産管理)
主に信託銀行が投資家の資金サービスを受託し、保全・保管します。

アドミニストレーター(事務管理)
ファンドマネジャーとは別にアドミニストレーターを置き、ファンドの運用成績の計算など行います。

監査法人
ファンドから独立した立場で、会計監査を行います。

アセマネ業界への転職におすすめのエージェントと活用のコツはこちら。

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