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【#11】サバカン SABAKAN

「労働なんかしないで 映画鑑賞だけで生きたい」のコーナーでは私が行き当たりばったりで視聴した映画について書いた小感記事です。

第11回は2022年8月19日に公開された金沢知樹監督作品「サバカン SABAKAN」について書いていく。

鯖缶で思い出すあの夏

イルカを見るために冒険に出た2人の少年の姿を描いた青春映画

作品の舞台が長崎で、私自身九州出身なので、なまりなど言葉に関しての違和感はなく、その塩梅が良いので古すぎる時代感もなかった。
主人公の久田はごく普通にいそうでちょい女々しさのある少年で、クラスメイトから避けられている竹本は意外と人を調子に乗せるのがうまかったり、ヤンキーの言葉からブーメラン島に行こうなるところだったりと面白いやつで自分を持っていて好印象のキャラだ。
好印象で言うと、竹原ピストルさんが主人公の父親役をしていたが、すごく役にはまっていて、実際に九州にいてもおかしくないぐらい野性味を感じた。
これでめちゃ気が強い父親だったら鹿児島感が強くなってしまうなと九州人の私は思うのであった。
この父親は竹本になにかシンパシーを感じている所は何かジワリとくる面白さがあったw
物語の終盤を見ると適役だなと改めて思わされ、父役だけに父の背中が大きく見えた。

冒険は絵に描いたような夏休みで、年齢を重ねれば長旅ではないかもしれないが、少年2人という事で壮大な旅で見ていてワクワクした。
岩から見る絶景、お笑いかます駄菓子屋、原始的な上陸方法、お姉さんからもらうサザエ、帽子をくれた強い兄ちゃん。
冒険の道中で分かる竹本が久田を誘った理由がなんとも少年のピュアさがあり良かった。
二人の「またね」はただでさえ友情が染みわたるシーンなのに、物語を一通り見て見返すと悲しくも見えたりもした。
また、作品全体を見ると島に冒険に行くのはおまけみたいなもので、それからのエピソードが本番で鯖缶も輝いていた。
前半が冒険とするなら後半は「夢と絆」で分けてもいいかと思う。
後半は大人になった時の久田が小学生時代の時から片鱗はあると分かったエピソードも盛り込み最後のひと押しをしたのが竹本というのがベターではあるがマストすぎる展開で私的には良かったと思う。
もちろん鯖缶も輝いていた。
あれになりたい、これになりたいと思っていた小学生だった時の事を思い出してしまう。
「夢と絆」は文字で見ると輝いて見えるが、絆の部分に関してはあまりにも急な展開があったりと感情で言うとマイナス部分に当たるが、急な展開だったからこそ、見えるものは多かった。

この映画のエンディングはANCHOR『キズナ feat. りりあ。』であり、ネタバレしている?というぐらい、この作品とリンクしていた。
キズナという曲は自分は沖縄のバンド・ORANGE RANGEの曲でも聴いたことがあるので、変に懐かしさのようなものも感じた。

子供の時の夏と大人の時に見る夏の景色は変わるかもしれない。
良い意味でも悪い意味でも。
思い出して見るのも面白いかもしれない。
そう思わせてくれる素敵な映画であった。

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