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ライバルが、うんこさんとYさんを招く


ライバルという関係を意識したことがない。ライバルとは何だろうか? 同世代で、同じ目的を持っていて、最終的に篩に掛けられるようなものをゴールとしていて、その結果がお互いの実力が拮抗している為に想像が付かないような間柄の二人のことをいうのだろうか。そうだとすれば、私は同世代に一切興味が無かったので、ライバルという者は一度も現れなかったということになる。自分は自分。人は人。仮に誰かにライバル視されていたとしても、張り合いのない人間だったと思う。

ただ、今思い返せば、私の母親はライバル意識が非常に強かった。それは私に対して向けられていたのだが、同級生は○○をしているのにお前はしていないとか、同世代が興味を持たないサブカルなことに私が興味を持つとそれを頑なに否定したりとか、そういうことを小学生、中学生の頃はしょっちゅう母親から言われていた。私はまったく気にしなかったので、いつしかそういうことも言われなくなったが、あいつのあれが羨ましいとか、あいつのあれが悔しいとか、そういう想いを抱く方が一般的なのだろうか?

先日放送された「マツコ&有吉の怒り新党」で興味深い件があった。

学生(19)女性: 「やたら誰かをライバル視する人」に腹が立つ
 ライバルがいると刺激を受け努力する面もあるがあまりにも負けず嫌いだと「何なの?この人いい加減相手の方が勝っていることを認めなよ」と思ってしまう
有吉: 巨人師匠の弟子やってるときに同時にふたり入ったの。ボクともう一人と。喧嘩したりして仲悪かったの。でまあボクがクビになって、その子は最後まで弟子勤め上げて、ま芸人さんは辞めたんだけど、どっかで、ライバル視してるっていうのを弟弟子の子から聞いて、ボクが、とんねるずさんの番組とかで、高い時計を、買ったの。そうすると、その子は、負けてらんねえっつって、高い時計を買ってるらしいんですよ。
マツコ: えだって今芸人さんやってないんでしょ?
有吉: やってないんだけど、未だに、どっかで、負けたくねえっつって。
マツコ&有吉の怒り新党
#100
3月13日放送

この話で思い出した人がいる。私が高校を卒業してすぐ、大学に通いながらアルバイトをしていた、パン屋に勤めるおじさんだ。まさに「何があっても負けてらんねえ」の人だった。

名前はDさん、48歳。私の父親と同い歳で、大きな黒縁メガネを掛けた小柄なおじさんである。Dさんは二十代の頃からこのパン屋に勤めていたが、才能がまるでなく、十年前に入社した店長のXさん(30)にあっさり抜かされて、今ではXさんの一番の子分である。今日も昨日も明日も明後日も、Xさんに黒マジックで書かれた「わたしはバカ」を白衣に背負って、仕事で失敗してXさんにまた怒られていた。

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