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ニンゲンモヨウ

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出会い、そして別れた人間たち
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記事一覧

お互いが人間である、ただそれだけでいい

お互いが人間である、ただそれだけでいい



コミュニケーション能力が高いというのはどういうことだろうか。

例えば、明石家さんまのように、非常に口が達者で、一方的に相手を自分のペースに引きこむ人は、コミュニケーション能力が高いと言えるのだろうか?

私は正直、明石家さんまのような一方的によく喋る人は苦手なので、思わず閉口してしまう。私のことは何も引き出されず、一方的に話を聞かされる、私は何もコミュニケートができないので、これは一種のショ

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学生「IT業界って、残業で稼ぐシンドイ業界ってイメージがあるんですけど、実際、どうですか?」

学生「IT業界って、残業で稼ぐシンドイ業界ってイメージがあるんですけど、実際、どうですか?」



私はIT業界で10年ほどサラリーマンをやっていたのだが、よく、IT企業へ進もうとする学生から、

「IT業界って、残業で稼ぐシンドイ業界ってイメージがあるんですけど、実際、どうですか?」

と聞かれることが多い。こういうことを尋ねる学生は、IT業界に来ない方がいい。

それは何故か。

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本当の孤独には逃げ込めない

本当の孤独には逃げ込めない



身寄りも知り合いもいない大阪に単身、引っ越してきて、就職先も7人ほどの小さなIT会社で、趣味を共有するような仲間も一人もいない、孤独な生活をしばらくの間、送っていた。

元々、群れることが好きではなく、学生時代も敢えて一人になろうとしていたくらいなので、この状況はむしろ心穏やかだと思うほどだった。実際、この状況を求めて誰も知り合いのいない大阪へやって来たというのが本当のところだった。

地元横

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親の行動を肯定する感覚をいつ忘れてしまったか

親の行動を肯定する感覚をいつ忘れてしまったか



最近、脱法ドラッグの事件が相次いで取り上げられているが、それで思い出した話がある。

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才能というのは――

才能というのは――



やりたいことが何もなく、目標も希望もない中学・高校生時代。大学へ行く気もないし、就職する気もない、ただ生きているだけの存在になれるなら、それに一番なりたかった。

そんなときに出会ったのが村上龍で、村上龍の言葉にどれだけ救われてきたか。

受験勉強をまったくせずに大学を受けて落ちて、浪人して大学に入って、大学には行かずにアルバイトに明け暮れて、大学も辞めて仕事も辞めて何もない状態になったとき、

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どうしようもない劣等感

どうしようもない劣等感



地頭の良さと家庭環境に初めて憧れを抱いたのは、小学生時代の同級生、Kに対してだった。

父親はシティーホテルの総支配人で家庭はもちろん裕福、成績はトップクラスで、運動神経も抜群だった。Kには憧れを抱いていたが、同時に、劣等感も強く抱いていた。小学生の六年間、ずっと同じクラスだったというのに、口を聞いたことはほとんどなかった。

Kと話すようになったキッカケは、Kが私立中学受験に失敗したことだっ

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無知が語る夢は「罪」だったのか

無知が語る夢は「罪」だったのか



私は大学へ進学するのは反対だった。何もやりたいことがなかったからだ。

何もやりたいことがない、そんな考えで、親を説得できるはずもなく、嫌々ながら一年間の浪人を経て、私は大学へ進学した。

大学は、現役でも十分に入れる程度のレベルだったので、浪人組は学科内でも少数派だった。元々、人付き合いが苦手な私は、早くも学科内で浮いた存在になっていた。浮いていてさらに馬鹿では救いがないと思ったので、私は一

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恩義に「正義」はあるか

恩義に「正義」はあるか



「ブラック企業」は今に始まった文化ではない。IT企業はそれが平常運転である。

以前務めていたIT企業の幹部だったOさんは、そのブラックぶりに嫌気が差してしばらくフリーランスで身を潜めていた経験があった。

どんなブラックぶりかといえば、ありきたりだが残業代は出ないし、鉄塔の上のコンピュータ制御室に何時間も一人置き去りにされることもしばしば。取引先への出張はもちろん飛行機代が全て自腹。マイルが

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褒めて伸ばすのではなく、矢作流「小木のやりたいことはなるべくやらせてやりたいと思っているからな」で伸ばす

褒めて伸ばすのではなく、矢作流「小木のやりたいことはなるべくやらせてやりたいと思っているからな」で伸ばす



お笑い芸人おぎはやぎの矢作が掲げる、「小木のやりたいことはなるべくやらせてやりたいと思っているからな」をいろもんというお笑い番組で初めて聞いたとき、これが教育の真理だ・・・・・・、と私は身震いして感じるくらい、心に強い衝撃を受けた。私はこのとき、高校生だった。

その人にとって意味があるかないか、その人にしか決して分からないことなのに、さも当たり前かのように、あれはダメだ、これはいい、あれをし

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ライバルが、うんこさんとYさんを招く

ライバルが、うんこさんとYさんを招く

ライバルという関係を意識したことがない。ライバルとは何だろうか? 同世代で、同じ目的を持っていて、最終的に篩に掛けられるようなものをゴールとしていて、その結果がお互いの実力が拮抗している為に想像が付かないような間柄の二人のことをいうのだろうか。そうだとすれば、私は同世代に一切興味が無かったので、ライバルという者は一度も現れなかったということになる。自分は自分。人は人。仮に誰かにライバル視されていた

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