見出し画像

慎重に、大胆に

長男次男の靴を買いに行った。

店はいつも同じ、決まっている。
11時のオープン同時に着くよう、3人で歩いて向かった。

私が先頭で、その後からふたり。

道中ずっと、兄弟でオンライン野球ゲームの話をしている。
 

店に入ってすぐ「この靴がいい」と指差す長男は、ここ数年同じメーカーのスニーカーを履いている。

来月からの高校は、学校指定のローファー靴。
今日は通学用ではない、普段履きのスニーカーを選びに来た。
今履いてるのは穴があいてしまい、明後日の卒業式には新しい靴で行かせたかった。

「高校のは、紐がないからラクでいい」

本人は初めて履くローファーを楽しみにしている。

たこや魚の目など足トラブルが発生しやすいので、私は少し心配している。
中敷なかじきやら踵パットやらをAmazonで購入してしまった。

肝心のローファーはまだ届いておらず、制服採寸の時に履いたのみ。
履き始めは硬いのだろうな。

長男サイズのスニーカーを、店員さんに出してもらう。

「おお!カコイチ、ピッタだわ!!オレ、これにする」

それは"過去いちばんぴったりくる"の略?と聞いて、うんざりな顔をされる。はいはい、もう聞きません。

迷う次男。

ベルトで留めるタイプの靴でいいのに、と思っているのだろう。

中学生になるから、紐デビューしてみたら?と話したのだ。長男の時みたいに。

長男と同じもので、サイズ違いでもいいんだよと言ってみると、

「同じだと玄関で分かりづらいでしょう?」

次男から、お母さん目線な答えが返ってきた。


「これがいい」

次男が選んだのは、長男と同じメーカーのものであるが、赤色がアクセントに入っている靴だった。

次男サイズのスニーカーを出してもらい、試着。

大きいなら中敷なかじきをしてもいいと思うよ、きついよりは少しなら大きい方がいいと思う。

「中敷って?」

次男の質問に、

「中敷。インソール。靴の中に、底に一枚入れるの。(次男)が今履いてる靴にも中敷を入れてあるのよ」

と言うと、

「中敷、要らない」

即答だ。

靴が決まった後、私たちは、

次男の通学用リュックを、
彼らが新学期に使うシャープペンシルを、
夫の新しい箸を、(噛んでしまい先が折れたから)
私が必要な手土産を、(春限定パッケージのクッキー詰め合わせ)購入。

その後、ロッテリアに向かった。

ロッテリアで彼らは必ず、シャカシャカポテトを注文する。シャカシャ………いや、ふるポテだ、ふるポテという商品名だった。

紙袋の中にポテトと粉末(彼らは常にバターしょうゆ味を選ぶ)を入れて、袋をよく振ってから食べる。
兄は慎重に、弟は大胆に振る姿は面白い。

袋の振り方も、選んだハンバーガーも違うふたりだが、クリームソーダはお揃い。
以前も書いたが、私は「クリームソーダが好きな人」が好きだ。

ズズズと音を立てて啜る足元には、26.5と25の真新しいスニーカーが見えた。

くたびれた靴をそっとすくめて、次男が分けてくれたポテトをつまんだ。

春は、いつのまにか来ていた。
気づかなかった。
今日たくさん歩いて、気づけた。

今週と来週の卒業式を、いつものように迎えよう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?