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山と生きる町 ”タシュクルガン”, 冬季の新疆ウイグルで目にしたもの。 カシュガル(喀什)、タシュクルガン・タジク自治県(塔什庫爾幹) 2024年2月~3月

はじめに 

今回は中国 新疆ウイグル自治区へ行ってきたのでそれについての旅行記になります。この記事は西ウイグルのカシュガルからタシュクルガンへのアクセスや現地事情について書きます。他にも新疆では烏魯木斉やトルファンなども訪れたので気が向いたら投稿します。
パンデミック後の冬季カラコルムハイウェイでタシュクルガン・タジク自治県への旅行記はあまり見受けられなかったのと、通行許可証の取得から現地の交通機関の支払い方法やキャッシュレス事情なども詳しく書いている記事は無かったので今後行きたい方のお役に立てればとの思いで執筆することにしました。22年末に開港したばかりのタシュクルガン・クンジュラブ空港を実際に訪れた記事も24年3月現在確認できなかったので渡航を検討されている方、飛行機好きの方にも参考になればと思います。

長文ですが暇な時間に目を通して頂けたら嬉しいです。
記事のハイライトは"☆タシュクルガンでの街歩きや景色など☆" になります。
*記事中の写真の使用、転載はお控えください (とは言ってもスマホ撮影クオリティなのであれですが)

This details the journey from Kashgar to Tashkurgan in Xinjiang, China, covering the acquisition of necessary permits for access to Tashkurgan, as well as the author's actual visit, including images. Written with the aim of aiding those eager to visit the Tashkurgan post-covid pandemic, this record hopes to provide a comprehensive guide to future travelers.
*The remainder of the document is available only in Japanese; therefore, please translate it into your preferred language if necessary :)
*You ”must” refrain from using any of the photos in this article


渡航の目的

過去の中国訪問で中央アジアに近いエリアは訪れた事がなかったのでウイグルやチベットに憧れを抱いていたというのもありますが、一番の理由として中国の少数民族の暮らしを実際に目で見て体感して形に残るものしたいという気持ちがありました。これが大きな後押しになりました。結果的に今までの中国渡航とは比べ物にならないくらい大満足の旅行になりました。

免責事項 

治安は安定している印象でしたが犯罪やトラブルに巻き込まれるのは運要素も大きいので参考程度にしてください。新疆ウイグルは政治的に非常にセンシティブなエリアで、最近は当局のテロ防止を名目とした監視強化により治安は落ち着いているようですが過去には烏魯木斉駅の爆破事件などのテロ事件や暴動、漢民族を狙った通り魔事件などが多発しました。その為 外務省の安全マップでは2024年 3月現在 チベット自治区と共に"レベル1:十分注意して下さい"に指定されてます。
また政府や公安の監視も強いエリアなので職務質問やタシュクルガンへの道中のチェックポイントなどでスマートフォンの中身をチェックされる場合もあります。渡航予定の方は香港やウイグル、チベットの独立を推進するような写真などの共産党に対して好ましくない写真やスパイ行為と疑われるような写真が無いかなどは注意して下さい。

これは中国全般に言えますがウイグルは特に英語は通じないエリアです。いきなりウイグルの辺境旅行をしたい変な方はいないとは思いますが大都市以外の中国旅行や中国語に慣れていない方はまずは他の都市からの旅行をおすすめします。トラブル対処に慣れた所謂海外旅行オタクの方々や中国の大都市旅行に飽きてきた中国オタクの方はぜひどうぞ。

新疆ウイグル自治区 タシュクルガン・タジク自治県とは

タシュクルガンは新疆ウイグルのカシュガル地区の自治県です。非開放地区でアクセスには通行証と呼ばれるものが必要になります。タシュクルガン・タジク自治県はパキスタンやアフガニスタン、タジキスタンと国境を面していて地理的に中国のほぼ最西端に位置しています。山好きなら全員が一度は憧れるあの世界2位の高さを誇るカラコルム山脈最高峰のK2もある自治県になります。しかしK2は最深部に位置しているのでタシュクルガンの市街からは見えません。K2をどうしても拝みたい方はパキスタン側からコンコルディアまでのトレッキングツアーに参加することをお勧めします。富豪になってK2はいつか見てみたいものです。
民族的には地理的、歴史的に漢民族は少く人口の84%が少数民族らしいです。実際にタシュクルガンではホテル以外で殆ど漢民族を見ませんでした。また比較的大きい都市のカシュガルでも漢民族はかなり少ないと感じました。
長々と書いてもあれなので歴史、民族や地理などを詳しく知りたい方は各自Wikipediaなどをご参照下さい。カシュガルについては割愛致します。

カシュガルから渡航する上での課題 (通行証)

どうやらカラコルムハイウェイでのカシュガル→タシュクルガンからススト(パキスタン)への越境は一部のバックパッカーの中では有名なルートのようでコロナ禍以前に投稿された記事はいくつか参照できますが、大体の方はパキスタンまで抜けてしまうのでタシュクルガンを訪れる目的地でこのルートを辿り、再度カシュガルや烏魯木斉に戻る方は少ないのではないでしょうか。私の場合はタシュクルガンへの渡航が主な目的だったのは勿論ですが私が渡航した3月は“紅其拉甫口岸“と呼ばれる中国-パキスタン間の国境が冬季閉鎖中だったのでパキスタンへ抜けることは最初から選択肢に有りませんでした。

タシュクルガンは地理的に国境付近に位置していて政治的にもセンシティブなエリアの為、訪れるには通行証と呼ばれるものが必要となります。しかしパキスタンの有効なビザを持っている場合にはこの通行証は不要ですが私は持っていなかったので必然的に通行証を取得しました(国境が開いているシーズンだとパキスタンへ入国する予定が無くてもパキスタンビザを取得する手がありますが通行証は即時発行かつ無料なので取得することをおすすめします)
事前の調べでは多くの人がパキスタンのビザを持っている、又はカシュガルの旅行代理店やホテルのコンシェルジュを通して車のチャーター/ツアーに申し込み、通行証の取得をサポートしてもらうことによってタシュクルガン渡航やパミール高原、カラクリ湖などの通行証の必要なエリアを観光をしているようでした。私は1人旅行だったので車のチャーターは割高すぎるので選択しませんでした。最初に渡航を決めた時は外国人が個人で通行許可証が取得できるのかの情報が乏しく本当に取得できるのか疑問でしたが中国の検索エンジンの百度や小紅書などのSNSで調べるとどうやら"喀什國際自駕車與房車營地綜合服務大廳“と呼ばれる役場で外国人でも申請が可能な事を知りました。

旅の簡潔な旅程

  1. 北京からカシュガルまで中国国際航空

  2. カシュガルからタシュクルガンまでシェアタクシーによる陸路移動

  3. 帰りは中国南方航空でタシュクルガンから烏魯木斉/ウルムチまで空路移動

カシュガル到着から観光まで

私はカシュガルへは首都の北京から中国国際航空のCA1215便を利用しました。空路でも6時間かかるので鉄道旅に興味のある方以外は空路でのアクセスをおすすめします。
北京空港ではセルフのチェックイン機械を試してみましたが"予約が見つかりませんでした"と表示されました。その為有人カウンターへ向かいましたが列にすらなってない大量の中国人でごった返していました。私はANA SFCの会員だったので運良くビジネスクラスカウンターへ行き待ち時間なしで手続きできたので良かったですが、これが無かったら乗り遅れていたのでは。。と考えるとゾッとしました。余裕を持って空港に到着することを強くお勧めします。機内もほぼ満席だったので通路側にして正解でした。国内線ながらもチキンライスか牛肉麺の二種類から選ぶ機内食サービス有りでした。

北京首都空港から喀什へ

到着後はタクシーを使い通行証の取得する為に直接役所へ向かいました。しかし平日の営業時間にも関わらず営業していなかったので役所の前でタクシーを拾いホテルに向かいました。泊まったホテルは”如家睿柏雲酒店 (喀什人民西路古城景區南門店)”です。普段はマリオット系を好んで選んでいますが生憎カシュガルには系列ホテルがないので、適当にCtripで予約しました。価格は一泊140元ほどでした。Ctripなどの中国語のサイトに慣れていない方はTrip.comなどでも予約できます。もう少し安いホテルもありますが安いホテルは外国人の宿泊不可だったりトイレや部屋が汚い場合もあるので予約前によく確認しましょう。Ctripでは外国人宿泊可能なホテルで絞り込めます。篩選→適用人群→外賓適用から外国人宿泊可能なホテルを探せます。Trip.comでは説明欄に"Guests from every country/region are accepted"と記載があるホテルは外国人も宿泊できます。肝心の部屋ですが綺麗でトイレも洋式、シャワーも温水だったので価格もそれほど高くなくバランスが取れていていいホテルだと思いました。。メルキュールなどの高級国際ホテルなどもありますが私が泊まったホテルの方が古城などの観光地に容易にアクセスできるかなと感じました。

昼食は適当に現地のレストランに入りました。25元でお茶もついてきました。活気に溢れていて良かったです。レストラン内では漢民族は見なかったので少し現地の民族間摩擦を感じました。支払いはWeChatで支払いできました。

ここからは主にカシュガルでの風景などです (写真の使用、転載はお控え下さい)

ラム肉のチャーハン(25元)
ホテルから歩いて数分のレストラン

その後は古城の中を歩いて観光しました。古城景区の中へ入るにはセキュリティを通る必要がありますがこれも中国の地下鉄などと同様に厳しいチェックではありません。

標識には日本語もありました
エイティガール寺院
エリア内には小学校があるので子供が多かったです。パリの地下鉄のように観光客の所有物を狙ったりはしていなかったのでご安心下さい。
元気な小学生達
沢山の屋台も
人民広場。共産党の建築物は街の風景から浮いていました。

古城景区を少し歩いた後に"高台民居"に行きました。

廃墟マニアの方には堪らないエリアだと思います。

有名な歩行者商店街へもホテルから歩いて数分です。改めてホテルはいい立地でした。

カシュガルは2月末は夜9時くらいまで明るいですがこの日はフライトで疲れていたので再び役所へ行き許可証を取得した後に早めにホテルに戻りました。

翌日は朝から香妃園(アパクホージャ墓)に行きました。 ここはイスラム教白山派の首領アパクホージャ及びその家族の墓地になっています。ホテルの前の中国電信バス駅から路線番号20か6の公共バスで香妃園駅まで2元で乗り換え無しダイレクトで行けました。到着後は観光案内の建物内カウンターでチケットを購入して下さい。成人一般料金は30元 中国の観光地は大体の場所で学生だと学割で半額になるので学生の方は学生証をお忘れなく。

内面は撮影禁止なのでぜひ肉眼で
出口付近にはナンのお店も

カシュガルでの交通機関/中国公共交通Tips 

カシュガルでは公共交通機関としてバスが走っています。ルートは百度マップや高徳マップで確認して下さい。
運賃は乗車時の前払いで降車時は特に何もする必要はありません。停車ボタンはないですが一駅ごとに停車してドアが開くのでその時に降車すれば大丈夫です。路線によりますが1元(20円)と2元(40円)がありました。
支払い方法としてはQRコード/交通聯合(T-Union)対応の交通カード/銀聯クイックパスが主になります。私は毎回QRをかざすのが億劫だったのでApple PayのT-Union対応深圳通を使いましたが多くの現地人はWeChat Payで支払っていました。ここ最近になりWeChatは外国のクレジットカードの紐づけを解禁したのでここではWeChat Payの利用をオススメします。注意点ですがWeChatで支払う場合は乘車碼(公共交通用のコード)ではなく普通の支払い用のQRコードを使いましょう。因みに最初に乗車する時にAlipayから交通カード"喀什電子公交カード"を発行して試しましたがQRコードがうまく読み込まれませんでした。その後は試していないのでAlipayが対応しているかは不明です(使ってる人も見なかった)
"中国の口座無しに交通聯合 (T-Union)対応カードで乗車したい物好きオタクは現地で契約するかesenderなどで用意した中国の番号を使い上海交通カードのアプリに登録後バーチャルカードを発行してApple Payに追加しましょう。Alipayの国際クレジットカード紐づけでチャージ、発行ができます。

大陸口座をお持ちの方はお持ちのクイックパス対応のデビットカード/又はApple Payで乗車できます。
または銀聯デビットカードをApple payに登録してApple Walletから直接交通聯合を発行することもできます。北京市政、上海交通、深圳通など好きなカードをご利用下さい。*北京市政交通カードの場合は24年3月現在 WeChat/Alipayのミニアプリ"healthkit"からパスポートを使ったカードの実名登録が必要です。
*香港のHSBC,SCBやBOCなどもApple Payに登録できますが大陸発行銀聯カードしか受け付けていない交通カードもあるのでご注意を。その場合はクイックパスとしてそのまま乗車できます。

現金の場合は乗車時に運賃箱に入れるだけです。(お釣りは出ません)。

交通カードや銀聯コンタクトレスは上面にタップ

ここまでバスの乗り方や支払い方法を解説しましたが個人的には時間短縮の為にタクシーをオススメします。特に通行証取得の為の役所は市街から離れていてバスのルートも無いのでタクシーは必須です。流しの公式認可タクシーではメーター基準での支払いでした。ボッタクリはあるようには思いませんでしたが心配な方や中国語で行き先を上手く伝えられる自信が無い方はdidiなどの配車サービスをおすすめします。送迎場所のアレンジや到着待ちに時間がかかる配車サービスは面倒なので私は殆ど使いませんでした。タクシーの支払い方法は基本的にはWeChatです。価格自体は適正で観光地の喀什古城から空港付近の役所までは25元程でした。

カシュガルでのキャッシュレス事情

多くの方がご存知の通り中国ではキャッシュレス化により現金をほぼ使うことがありません。これは上海や広州、成都などに限った話ではなくカシュガルでも適用されます。タクシー、バス、レストラン、観光地のチケットの購入など現金は一元も使いませんでした。但しWeChat, Alipayのご準備はお忘れなく。カシュガルはWeChat PayのQRコードを多く見たのでWeChatをおすすめしますが両方使えるように準備するのが得策です。これは中国全般ですが銀聯カードも正直厳しいと思います。


通行許可証取得のプロセスからタシュクルガンへの移動まで

前述の通りカラクリ湖をはじめとしたカラコルムハイウェイの観光地やタシュクルガンへ訪れるには通行証というものが必要になります。中国籍の方は様々な場所で申請できるようですが香港マカオ台湾、外国籍の場合は決められた場所でしか申請できないのでご注意下さい。恐らくこれが原因でCtripなどで利用可能なカシュガル発のカラクリ湖などを巡る1日ツアーは外国人が参加できない物が多いです。
現地価格と比べてかなり割高になると思いますがツアーでカラクリ湖や自然景区をゆっくり訪れたい方や複数人で割り勘できる方はホテルの受付や街中の旅行会社に聞いてみることをおすすめします。

私は土曜日にカシュガルからタシュクルガンに向かう予定だったので土日に役所が営業していない可能性を考慮して通行証を木曜日に申請しました。
場所は高徳や百度マップで"喀什國際自駕車與房車營地" と入力すると出てきます。空港からすぐの場所なので空路でカシュガルを訪れる場合は空港から約10元程なので直接タクシーで向かってもいいかもしれません。

空港からのアクセス

私が訪れた時には担当の警察官の方は英語が話せたので難なく申請できたのですが、その方は”もうすぐ他の都市に移動になるかも”と言っていたので将来的には英語が話せる担当者が居なくなる可能性もあります。しかし役所は当たり前ですが普通に中国語が通じるのでビギナーレベルの中国語で申請できると思います。

肝心の営業時間ですが24年二月末は月曜日から金曜日の午前、午後の二部制で午前は10:30から13:30まで午後は16:30から19時までになっていますが、私が訪れた2月末では営業時間でも閉まっていたので二回訪れる事になりました。後々判明したことですが申請者が少ないシーズンは担当の方の気分次第で営業するかしないかが決定するようでした。夏などのハイシーズンでは営業時間通りに営業しているようです。

申請のプロセスは至って簡潔でカウンターに行きパスポートとカシュガルでのホテルのアドレス、電話番号を聞かれて答えると数分で発行してもらえました。申請料はかかりません。無料です。私は江蘇省の中国移動のsimを使っているので問題ありませんでしたが申請途中で中国の電話番号ありますか?と聞かれたので+81等の国際番号でも申請は可能かについては断言できません。(多分できます)

申請場所の役所
取得した通行証(内側に証明写真用のスペースがありますが写真は必要ありません。)


カシュガルからタシュクルガンへのアクセスは主に

  • バス/乗り合いタクシー

  • タクシー

  • 飛行機

詳しくは不明ですがタクシーは1人で移動する場合には高すぎるので割愛致します。(アプリから見積もると片道665から970人民元) 

3つ目の空路になりますがカシュガルや烏魯木斉からフライトがありますが道中のカラコルムハイウェイが絶景なので往路、復路のどちらかは陸路をおすすめします。しかしタシュクルガンは海抜約3000メートル超えと日本の山で例えると北岳や、奥穂並に高度が高いので高山病のリスクを踏まえると行きは陸路でゆっくり高所に順応した方がいいと思います。
もし往路を飛行機で行きたい場合はカシュガルで通行証を取得してからカシュガルからタシュクルガン行きの飛行機を予約することをおすすめします。タシュクルガンのような非開放地区へのアクセスは基本的に通行許可証が必要なので烏魯木斉から通行証の無い状態で搭乗しようとすると搭乗拒否される可能性もあるので烏魯木斉から航路を検討中の方は十分ご注意ください。

そうなると必然的にカシュガルからタシュクルガンへの移動はバスやシェアタクシーでの移動が最適解になります。私はバスと比べて所要時間が短いシェアタクシーを利用しました。カシュガル発タシュクルガン行きのシェアタクシーは"伊甸園"とマップで入力すると出てくるエリアから乗車可能です。私の滞在先ホテル目の前にあるバス停から1元で乗り換え無しで行くことができました。本当にホテルのロケーションは良かったです。他の場所からアクセスする方は高徳や百度地図をご参照下さい。

高徳地図などで場所を検索すると北門と東北門の2つが表示されますがシェアタクシーの乗り場があるのは北門の10メートルほど西の場所になります。
私は午前9:30に到着したところ既に数人の方が待っていました。スーツケースは預け入れが可能ですがシェアタクシーの積載容量的に大きいスーツケースの場合は注意が必要だと思います。

北門前
私が乗車したのは白いミニバン

乗合タクシーは席が埋まるまで出発しません。私の場合は1時間ほど車内で待機して最終的に10:30に出発しました。バスの座席は進行方向左側の座席をおすすめします。山々が綺麗に見えます。途中の白沙湖では右側が綺麗ですがここ以外のルートの大半は基本的に左側が綺麗なので左側をおすすめします。道中のカラコルムハイウェイはこの旅のハイライトでもあったので座席選びは慎重にしました。希望する座席が利用不可能な場合は妥協しないで次のバスやシェアタクシーを探す手もあります。ここは読者の方が何を優先するか次第です。私が利用したシェアタクシーは運転手除く6人乗りで価格は120元でした。一人がタジク族の方、その他私を除く全員が漢民族だったので最初は少し浮いていましたがキレイな景色を共に見ている過程で少しは打ち解けた気がします。シェアタクシーが出発するまで少し話していたのですが四川から出稼ぎに来ていると言っていました。

出発後シェアタクシーは通行証の申請の為に政府オフィスに立ち寄りますが外国人はここでの申請は不可です。上記を参照にした上で必ず乗車前に取得して下さい。通行証無しに乗車すると最悪の場合市街から遠く離れた山奥のチェックポイントで降ろされてヒッチハイク等でカシュガルに戻ることを余儀なくされます。(チェックポイントのある辺境には流しのタクシーは通らないので)

乗客はここで許可証を申請していた
徐々に山岳地帯に入っていきます
こんなところにも電線が。
1つ目のチェックポイント手前。軌跡を表した石碑があります
白沙湖付近でトイレ休憩。強風で体感温度は確実に-10℃以下でした。
標高4000メートル付近ではラクダも
最後のチェックポイントの反対側

タシュクルガンへの道中では2つチェックポイントがあります。
1つ目のチェックポイントでは乗客全員が降車して建物内で通行証と身分証明書の確認が行われました。中国国籍の身分確認は自動化レーンで行われますが私は外国人なので窓口行きにはなりましたが通行証の確認、パスポートの確認程度で特に質問等はありませんでした。

2つ目のチェックポイントでは外国籍の私だけ降車させられました。ここではパスポートと通行証の検査。電話番号の確認、ホテルの予約確認、渡航目的の確認などを質問されました。ホテルは事前に予約することをおすすめします。

チェックポイントなどの辺境検査や国境管理は国防上センシティブな施設なので写真撮影は控えることが賢明です。もし公安に見つかった場合はスマホの写真フォルダの検査は勿論ですが最悪の場合は当局に拘束される可能性もあります。ここでは直接的な画像は載せません。

スマホ事情ですがタシュクルガンへの道中常にスマホは電波を掴んでいました。端末の対応BANDや利用キャリアによって変わるとは思いますがウイグルの辺境でも繋がるのは素直に凄いなと思いました。街なかや地下鉄でも繋がらない皮肉が好きで料理が不味いと有名なヨーロッパの某国も見習って欲しいです。

10:30に出発してタシュクルガンに到着したのは午後の4時30分頃でした。約6時間のドライブでしたが車窓に見惚れていたので時間はあっという間に経過していました。市街に入るとドライバーに頼んでホテルがある通りで途中下車させてもらいました。
タシュクルガンでの宿泊先はCtripで予約した秋塘銀府酒店(Qiutang Yinfu Hotel)です。2023年にオープンした新しいホテルで一泊230元ほどとタシュクルガンでは高級な部類です。アメニティ、朝食付きで部屋も広くシャワールームの暖房もしっかり効いていて快適な滞在でした。外国人の対応には慣れていなかったみたいでチェックインには時間がかかりましたがフロントスタッフの方々の親切な対応のお陰で気分は悪くなりませんでした。また訪れる時にもここに滞在しようかなと思っています。前述の通りチェックポイントで宿泊場所の確認があったのでホテルは事前に予約してください。

エントランス
部屋
バスルーム(しっかり洋式トイレ)
親切なホテルのスタッフの方々 ありがとうございました! (掲載許可済です)

☆タシュクルガンでの街歩きや景色など☆

タシュクルガンを訪れて一目で感じたことは人々と山の関係性です。このセクションは長い説明よりも写真で見てもらった方が早いと思います。 詳細な説明は省きます。(写真の転載、使用はお控え下さい)

初日は雪で山々は見えなかった
タクシーから見た山々
タジク民俗村 (至る所に中国国旗が。。)
山との生活
ゲルもあります
雪が溶ける前のパミール高原
羊達も幸せそう?
小さく見えるのは牛
石頭城からの眺め
観光地の石頭城(展望台にもなっています)
圧巻です
お昼ご飯を食べたレストラン。店員さんも親切でした
タシュクルガンを象徴するモニュメント
最初は降雪により背景の山々が霞んでいました
人々の写真をアップロードする予定はなかったのですがこの写真はどうしても見てもらいたかったのでアップします。

☆これらがタシュクルガンで撮影した写真の一部です。
今回の主な渡航目的の一つがタシュクルガンでの人々の暮らしを実際に見て形に残すことだったのでこれらの写真も掲載したいのですが掲載許可を貰った写真でもプライバシー、政治的な配慮からここでは控えさせて頂きます。ご理解お願いします。皆さんとても素敵な方々でした。ここで感謝を述べさせて頂きます。ありがとうございました!

観光地案内

市街地の有名な観光地を簡潔に紹介します。ここではカラクリ湖や紅其拉甫山,慕士塔格山などの車をチャーターしないと行けない観光地は紹介しません。

1.タシュクルガン博物館 / 塔什庫爾幹縣博物館
冬季営業時間 10:30から14時 16時から19時の二部制。週末は休業
アドレス:新疆維吾爾自治區喀什地區塔什庫爾幹塔吉克自治縣友誼路36號

タシュクルガンのモニュメントも目の前にあります

2.タシュクルガン石窟都市跡 / 塔什庫爾幹石頭城遺址 
営業時間:08:30-20:30 (百度情報)
アドレス:塔什庫爾幹縣塔什庫爾幹路43號

こちらに行かれる予定の方は観光センター(帕米爾旅遊區遊客服務中心)に行ってチケットを購入しましょう。冬季だとゲートで直接チケットを購入することはできませんでした。

入場にはチケットの購入が必要です
冬季は南門は閉まっていました。タクシーで行かれる場合は以下の観光センター行きを指定して下さい。
こちらで入場チケットを購入できます。シャトルバスサービスもあり入場ゲートまで歩く必要はありません。
観光センター内はいくつかの展示がありました。洋式トイレもあります。
シャトルバスが向かう先は石頭城の博物館です
石頭城

3.帕米爾金草灘
アドレス:喀什地區塔什庫爾幹塔吉克自治縣古城路古石頭城
石頭城の出口案内に沿って進み下った場所にあります。冬季は入場はできませんでしたがパミール高原の冬の草原景色を眺めることがきました。

4.塔吉民俗村 / folk village
タジク民族の伝統的な家で民泊や民族体験ができる村です。
場所は観光センターを正面の道路に出て東に5分ほど歩くと村の入口があります。しかし冬季では殆どの家が観光客にオープンしていませんでした。いくつかの家をノックして確認しましたがNGばかりでした。家主にはシーズン的に今はやってないよと言われたので恐らくは夏季の営業がメインなのではないでしょうか。最終的に歩いていたタジクのおばあさんに聞いてみましたが”不知道, 不知道!(知らないよ!)”とふざけた中国語の発音で言われてしまいました。疲れていて少し腹が立ちましたが明るく再見と言い残し村を後にしました。今思うと"こんにちは" や "さようなら"くらいはタジク語で言ったほうが良かったのかもしれません。
民泊としての利用はOKと言われるケースはありましたが一泊156人民元と少し高額だった覚えがあります(記憶が曖昧です)。家族の一員として文化体験ができるなら良いかもしれませんが本当に寝床提供だけの素泊まりだけだった場合にショックを受けそうなので宿泊前に確認が必要です。また"外国人でも良いよ"とは言われましたが中国では外国人が泊まれるホテルと泊まれないホテルが区別されているので民泊は正式な宿泊手続きを踏んでいないグレーな感じがしました。

入り口の目印
うーん。景観が台無しです
これが観光客を受け入れている家のサインです。
エリア内にいくつもの民家があります
動物たちも

その他にもいくつかの観光地がありますがここで挙げたものが人気の観光地になります。

タシュクルガンの交通/キャッシュレス事情

タシュクルガンは小さい町ですが公共バスが走っています。しかし私が訪れた冬季は営業していないのか1台も見なかったのでルートや値段、支払い方法についてはここでは省略させて頂きます。
冬季での主な移動はタクシーや徒歩になります。
DiDiや高徳の打車を数回使ってみましたが全て捕まらなかったので、基本的にタクシーは流しがメインです。メーターが表示されていないので運転手の言い値にはなりますが実際に何回か乗車して中心部の移動は5元程でした。その経験からぼったくりは無いように思えます。中国語で行き先を伝えたので相手も私を中国人だと思って上乗せされなかった可能性もあります。なので露骨に翻訳アプリ等を使うと中国人以外の観光客だと知られて上乗せされる可能性もあります。支払いはWeChatで大丈夫です。車内にはWeChatのコードはありますがAlipayはありませんでした。しかし運転手との交渉次第でAlipayも利用可能かもしれません。
タシュクルガンは小さいのでタシュクルガン博物館や観光地の石頭城などは徒歩で移動する事もできます。私は歩いて見て回りたかったので大雪の中を寒さに耐えながら歩きました。

キャッシュレス事情になりますがタシュクルガンも他の中国の都市と同様に支払いはWeChatでどこも乗り切れます。観光地はAlipayのコードもありましたがレストランなどではWeChatのコードが置いてあるのみの場所が多かったのでWeChatは渡航前に使えるようにしておくことを強くおすすめします。カシュガルと同様に現金は1元も使いませんでした。

タシュクルガンから各都市へ 高高原空港 タシュクルガン クンジュラブ空港

帰りは陸路ではなく飛行機で烏魯木斉まで飛びました。烏魯木斉とカシュガルの観光を検討されている方は私のようにカシュガルから新疆ウイグル自治区に入り、陸路でタシュクルガン、そして最後に烏魯木斉まで飛行機というプランが効率が良いと思います。
タシュクルガン クンジュラブ空港は2022年の年末に開港したばかりの新疆ウイグル初の高高原空港(標高2438メートル以上の空港)ということでこの空港を利用する事も楽しみにしていました。帰りは高所順応の必要性が無いこと、烏魯木斉も行きたい、そして時間の節約にもなるのでタシュクルガン・クンジュラブ空港から烏魯木斉まで飛ぶことに決めました。24年3月現在中国南方航空が月曜日、水曜日、金曜日の13:15分発のタシュクルガン発のカシュガル経由烏魯木斉行きを運行しています。北京などに戻られる方は烏魯木斉やカシュガルを経由する必要があります。
南方はスカイチームを脱退こそしましたがデルタ航空と提携しているのでスカイマイルを使って予約しようと思ったのですが空港コードのHQLを入力しても出てこなかったのと17500マイル取られそうだったので結局 同程旅行というWeChatからも簡単にアクセスできる中国のアプリで諸税込で460元程(約9200円)で購入しました。Ctripや南方航空公式はこれより高かったです。因みに海外旅行好き御用達のスカイスキャナーでも同日は16440円だったので中国アプリに慣れている方やWeChat Pay/Alipayが使える方は同程旅行をおすすめします。

同程旅行
 スカイスキャナー

当日は13:15分のフライトだったので11時にホテルをチェックアウトしてタクシーで空港に向かいました。空港までの公共交通はないのでタクシーは必須です。360°山々に囲まれた空港への道は忘れられません。
空港に到着した後 空港の外から写真を撮影していると機動隊員が数名近寄ってきたので写真は不可だったのか?と思いましたが結果的に彼らからスマホを渡され"空港を背景に写真を撮って欲しい"とのことでした。外国人とバレると面倒くさいことになるかもと思い写真撮影に必要な最小限の会話で乗り切りました。
その後、建物の入り口で簡潔なセキュリティチェックを済ませた後にカウンターでチェックインしました。チェックイン自体は他の空港と同様でパスポートを見せてチケットを発券して貰いました。同時にデルタ航空のステータスを紐づけてもらったところスカイチーム脱退後の南方国内線でもエリートプラスの効力があるようでチケットには"CZ Priority"の記載がありラウンジ利用もできました。因みに地上係員の方は決して流暢でなないものの簡単な英語は対応可でした。出発後1時間程度でカシュガル空港に着陸しました。烏魯木斉へ同じ飛行機での運航なので烏魯木斉行きの乗客は機内に残るのかなと思ったのですが全員一度降機する必要がありました。扱い的には乗り継ぎです(機材、座席は同じですが)
カシュガルから烏魯木斉へは一気に乗客が増えほぼ満席でした。1時間40分程と短い国内線のフライトですが機内食としてビーフチャーハンが出てきました。到着後は私は地下鉄で烏魯木斉の市街に出ましたが乗り継ぎとして北京などの大都市に戻ることもできます。

空港へ
大パノラマの中のタシュクルガン クンジュラブ空港 (HQL)
この空港を実際に訪れている記事は見つからなかったのでレアかもしれません。
正面から
保安検査前
制限区域内。お手洗い、酸素補給用の休憩室や授乳室、空港ラウンジがありました。
DL ゴールドメダリオンのCZ Priorityでアクセスできた空港ラウンジ。高級感のある椅子のみの簡易的なラウンジで飲み物はお湯のみで食べ物類はありませんでした。
晴れていたら更に綺麗だと思います。

最後に

最後まで長文にお付き合い頂きありがとうございました。
タシュクルガンは小さな町なので "The 観光都市"と比べると見る場所は少ないですが大自然360°の山岳パノラマの中でのんびりと少数民族の文化に触れることこそが現地でしかできない一番の観光だと思います。将来的にチベットのように外国人の個人渡航が制限される可能性や長期的にはなりますが中国政府の方針によって少数民族文化が更に衰退する可能性は十分あるので今回訪れることができて本当に良かったです。いつになるかは分かりませんが次回は夏季に訪れて違う側面を見てみたいです。西側メディアから政府による少数民族の迫害が数年前から大々的に報道されているウイグルですが一人の部外者として新疆ウイグル自治区の奥地で見たものは現地で人々が自然と共に生きる日常生活でした。この記事はあくまでもHow to 記事であり、一般的な旅行情報提供を目的としているので感想を深く書くつもりや政治的な議論する気、中国政府の方針に白黒つける気は全くありません。しかし自然豊かな町並みのタシュクルガン全体に散見される中国国旗やプロパガンダ、そして明らかに一般的にイメージされる中国人の見た目をしていない彼らが中国語や中国文化を教育され普通話を流暢に扱うことを目の当たりにして非常に強い違和感を覚えたということは素直な感想です。どんな形であれ彼らの平穏な暮らしが続くことを望みます。
タシュクルガンはパキスタンへの玄関口・経由地として一部のバックパッカーなどの間では有名ですがここを目的として来る方は少ない印象です。この記事を見てタシュクルガンという町や少数民族文化に少しでも興味を持って頂けたら嬉しいです。

#海外旅行 #中国旅行  

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