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#5 夏休みに夏休みした話(後編)

前回の続き。

少年団の担当コーチに快く了解を得た我が家は、3週間の少年団活動お休み期間に入った。

念のため付け加えると、①息子と決める ②コーチへも相談 ③自主的オフ後の試合起用に関しては減ったり、逆に練習を頑張っていた子優先で異論ない旨を伝える、ということを行ったうえで、実践した。

例年夫は、お盆休みの前後10日間ぐらいは、長期休暇があり(海外に比べたら桁が違うと思うが…)その休みを利用して毎年家族で2泊3日のキャンプに行く。

てんと

去年は、それに合わせてお盆の朝練に半分くらい参加して、週末の練習などに参加。(手帳を見返すとコロナの影響で対外試合は殆ど組まれていなかった)プールや花火も、夏休みとなれば子どもたちは大好き。なんだかせわしなく夏が過ぎていった。

しかし、今年は一味も二味も違う。

なぜなら、少年団の予定が一切ない。それだけで、とてつもない解放感だった。

山と洋平

キャンプの準備もゆっくりでき、子どもたちは100円ショップのサングラスを購入して、気分を盛り上げていた。


年長になった娘もお友だちができ、子供同士夏の遊びの約束をしたり、親御さんに誘ってもらったりする。花火の魅力に取りつかれた年少の息子は、ドラッグストアに並ぶ花火を見かける度に、「またやりたい。」と言い、今年は何回の花火nightがあっただろうか。

花火2

初めて自由研究の課題に取り組んだ小3の息子は、『海外で活躍するサッカー日本代表の国調べ』をテーマに、オリンピックの試合を応援しつつ、図書館で借りた地理の資料本をみながら、レポートを作った。まだまだ小学校3年生、ある程度親のヒントも得ながら、完成させた。

にほんだいひょうきりぬき

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今年はオリンピック、パラリンピックもあり、(商業主義的なところに関しては個人的に思うところはあるものの)サッカー以外にも、卓球やスケボー、陸上など興味のある種目のテレビ観戦も息子は楽しんでいた。

たっきゅう

合間に、近所の子と庭でプールしたり、妹や弟と遊び、時には妹のお友だちとも関わり、お気に入りの漫画を何周も読み、ちょっと心配になるほど、のんびりと(だらだらと?)夏休みを満喫していたし、親もとてもゆったりとした気持ちで、夏を過ごすことができた。

ごろね

ぷーる


何故、これが少年団の活動があると、ままならないのか、と疑問に思う方もいるかもしれないので、ここからは我が家として感じたことを。

週末の予定がサッカーで埋まると、どうしてもそれが最優先事項になりがちで、妹や弟の意向や希望が、流れたり、対応できたとしても、”予定をこなす”形になり、心の底から満喫できないという事態が我が家には発生していた。


週末に試合・練習が続けば、体力回復のため就寝時間はコントールしなければならない。そうなると、逆算して、お風呂の時間、夕飯の時間、帰宅時間が自ずと決まる。

しかし、まだまだ5歳や3歳の子どもはそうそう大人の思惑通りにはいかない。なんとかなだめすかして、行動をコントールする形になる。

おえかき

せっかくの夏休み、父親がいて一緒に遊べる週末、そこにぱんぱんにつまった少年団のスケジュールが絡むと、相当ややこしいことになるのは、想像に難くない。


ちなみに所属チーム(U9)8月スケジュール

第1週(7月末含む) 土曜練習、日曜TRM(3試合)第2週 土曜公式戦、日曜TRM(3試合)お盆期間5日間自由参加朝練習 第3週 土曜練習、日曜自由参加練習 第4週 土曜練習、日曜TRM 第5週土曜練習、日曜TRM(8月後半はコロナ緊急事態によりTRMはキャンセルとなった)


夫と私が、別行動をしてそれぞれの願いをかなえるか、時間や子どもの気持ちをコントールして、家族で同じ時間を共有しながら3人の子どもたちの希望をかなえるか、の究極だった。後者はそして、とてもハードルが高かった。

同じ時間を共に過ごすこと、同じものを見て心を動かす体験をすること、子育てにおいてこれらは簡単なようで意外と難しいのかもしれない。

カニ

てんとのなか

親と行動を共にしてくれる年齢はあっという間に過ぎ去っていく。小学生の夏休みは、6回しかやってこない。長い人生の中で、この先何度も夏を過ごすだろうが、小学生の、非日常の、夜更かししたり、あてもなく友達を求めて自転車で彷徨ったり、ぎらぎらと照りつく太陽の下で冷たい水を浴びた記憶、兄弟や家族と共有する時間、は、きっとそう多くはない。

入道雲

蝉の抜け殻

2年前まで、私も仕事をして夫婦共働きだった。

日本で、夏休みに、親子でのんびりできる家庭がそう多くはないことももちろんわかっている。

影

多くの小学生たちは、学童保育で日中過ごしたり、家で留守番をして過ごしている。そんな家庭にとっても、夏休みの週末は、大切なものであって欲しいと私は思う。

もちろん、夏休みにチームで遠征に行って、仲間との思い出を作るクラブもあるかもしれない。それを否定するつもりもない。

しかし、延々と繰り返される、練習とTRM。年間通して地続きのように続くそれは、子どもたちから、サッカーが出来る本来の喜びや、楽しさを奪ってはいないかと、心配している。

どあのむこうの自転車 (2)

ボールも殆ど触ることなく(泣)散々遊び呆けていた息子が、3週間の休みが終わるころに言い放った言葉を忘れることができない。

「そろそろまた、皆とサッカーやりたいなぁ…」と。

練習や試合が続いていて、食傷気味だった息子からでた珍しいフレーズに3週間オフの威力を感じた。

親も子もリフレッシュすることができ、新たな気持ちでまた向き合うことができたような気がする。

以下、中野吉之伴さんが「夏休みはしっかりと休む」について書いた記事を紹介したい。

 もちろん、みんながみんな動けるように成長しているわけではない。なかには身体の動きが鈍ってしまう子もいる。
 どこに違いがあるのかなと思って観察してみると、前者は夏休みの間、川遊び、海遊び、山遊び、友達とサッカー、友達とプール、友達と自転車ツアーなどなど、いろんな外遊びを満喫している一方、後者は家からあまり出ず、スマホ、パソコン、テレビ、ゲームという生活パターンが続いているという傾向がある。

国は違えど、おおよそ同じ年代の子どもたちの行動パターンは、ドイツと日本でも似ているようだ。

保護者の方の中には、夏休みに家でだらだらとしているくらいなら、練習に行ってくれた方が良い、家にいるとゲームばかりになって、目につく。などなど。私も全く思わないわけではない。

しかし、子どもたちは本来、色々なことに対して、好奇心や興味・関心を持っているはず。スマホやゲームだって、その表れ。今の時代全く触らずに、幼少期を過ごすのは難しいかもしれない。

しかし、やっぱり、生の、リアルな体験は人生の中で何物にも代えがたいし、ちょっとだけ人生の先を往く者として、子どもたちにはその素晴らしさを体験して欲しいし、伝えたい。大人側のほんの少しの導きや誘い掛けがあれば、子どもたちは喜んで外の世界に飛び出していくはず。

バス停

今の時代、核家族・両親で仕事が当たり前で、夏休みにそういった経験が中々難しいのなら、地域の少年団やクラブにだって、子どもたちに生の体験をさせてあげることもできないことはないように思う。ちょっとサッカーから離れて、別の角度から関わると、普段の子どもたちとはまた違った表情もみられるに違いない。

地域とともに、スポーツやクラブが存在しているならば、それこそ、そんな体験ができたら、素敵だなと思う。

はままつじょう


さて、我が家の自主的3週間オフは、8月後半からの緊急事態宣言による、対外試合自粛と、雨天による練習中止により、そんなに他のメンバーと大差なかった、というオチ付きでした。

日本にバカンス文化がない以上、個人的バカンスを追求するべく、来年もチャレンジします。




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