見出し画像

maj7 と sus4 というコード、さらに螺旋階段のような転調。

私は音楽家ではありません。
プロの方と比べるとたいした知識もないのですが、50年以上「音楽好き」として作曲・編曲をやって来ているので、楽曲の理屈は大体 分っているつもりです。

さてさて、ここに揚げたのは、若い頃に書いた曲(1980年代)。あらためて、メロディやコード進行の構造が斬新だなあと、自分自身に拍手喝采をしているわけです。
よくできた曲だと自慢しつつ、コードの持つ魅力を紹介しようと思います。
まずは、前奏。

楽譜:前奏の始め部分2小節は maj7 と sus4 だけ
前奏の始め部分2小節は maj7 と 7sus4 だけ

バカ野郎、この前奏のどこが魅力やねん。
そうかもしれません。が、もうちょっと読み進めましょうよ。
下記の動画は、古い古い録音を この度 YouTube にアップしたもの。聴くのが面倒くさかったら、聴き飛ばしてください。

maj7 のコード

表題の通り、この曲は maj7 を多用しています。
maj7 を多く使うのは何も珍しいことではなく「物憂げな雰囲気」「柔らかく揺らいだ感覚」なんかを醸し出すのには一般に使われるコードです。
もちろん、この曲もそんな雰囲気を出すことを企らんで作曲したわけです。
ただし、このコードは「シャキッとしていなくて不安定」という印象も同時に持っているので、何でもかんでもこのコードを使えばいい雰囲気がでるというわけではないのですけど。
maj7の構造
コードは3個の音が積重なっているのが基本(例えば ド・ミ・ソ)ですが maj7 は、4個めの音が追加されています(例えば ド・ミ・ソ・シ)。

sus4 のコード

sus4も、不安定なコードです。
脚の長さが揃ってい椅子のようなもの。座ったらこけそうになるという感じかな。この揃っていない脚の長さを整えなければ気持ち悪いので、早く長さを揃えたいとストレスがたまっている状態のコード。
sus4の構造
sus4は3個の音が積重なっているのですが、例えば ド・ミ・ソ ではなくド・ファ・ソ の様に音と音の距離が変わっています。ド→ファの間は距離が長く、ファ→ソ の間は距離が短いという構造をしているのです。
ただし、sus4 として使うのではなく 7sus4 として使うこの方が多いようです。7sus4 は 「7」が加わるので、例として付け加えると ド・ファ・ソ・シ♭ の4個の音になります。
以上ふまえて、この曲でいうならば、6行目の F7sus4 から F7 に移るコード進行があります。

転調とは

移調と転調は異なります。
移調は、「もう少し低い音で歌いたいから Key を下げてよ」とか言う具合に楽曲全体の音の高さを下げたり、または上げたりすることです。
転調は、曲の途中で、違う調に変えることこいいます。短調(マイナー)を長調(メジャー)に変えたり、半音上げたりすこと。ひとつの楽曲の中でこれらが編曲の技法として組入れられてているのです。

ですから「転調を取り入れた楽曲」を、場面に合わせて「移調」して演奏する、とうことはあり得るわけです。

ここに書こうとしているのは移調ではなく転調です。
転調の方法は、ある程度お決まりがあって、そんなに高等な技術ではありません。
例えばその1: ハ長調(Cメジャー)を途中から半音上げる場合は、F# のコードを入れ込めば C# にスムーズに移動できます。
例えばその2:イ短調(Aマイナー)をイ長調(Aメジャー)に転調する場合は、Am Dm Emで構成されている楽曲に A/D/E7 のコード構成を突然入れ込んでも不自然ではありません。むしろ、突然 変えることで、窓を開けて空気が入れ替わるみたいな気持ちのよい展開を聴かせることができるのです。
この2つの例以外にも、素早く転調する方法は定番技法とし当たり前に使われているのです。えいやっ! と調を変えているのですが、これらは普段 聴いている音楽の中にも多く取り入れられています。

私の曲 /コードとコード進行

転調の妙

自画自賛の自慢が含まれているので、気持ち悪いかも知れませんが、書き進めましょう。
ここに載せた私の曲は、突然転調しているのではありません。
上記歌詞の7行目からの B♭maj7 → B♭7 → E♭ → E♭maj7 → E♭7 → A♭→と続く中で、いわば螺旋階段を昇っているうちに違う階に向かっているという具合。グネリグネリと違う調に移動しているわけ。ついには、最後に転調しきっているという「高等技術(笑)」です。

この曲は私の作品なのですが、会社勤めをやめて(定年になって)古いカセットテープに録音されていたものを あれこれ聴いているなかで、見つけたわけです。自分の曲なのに、いわゆる耳コピでメロディーやコードの進行つきとめたわけです。
「つきとめた」って、なんて大げさなと思うでしょう。いえいえ、とても難儀な作業でした。
私は、そんなに音感がいいわけではないので、自作曲ではあっても構成されている音律があれやこれやと変化しているのを追いかけるのにずいぶん苦労しました。

結局 B♭(変ロ長調)から始まって、グネグネと寄り道をしながら最後に E♭(変ホ長調)に辿り着いていることが理解できたわけです。そう、自分の曲なのにね。
ちなみに、間奏に入る時は E♭ から元の B♭ に一気に変わっているんですね。間奏のメロディが逆転調のを橋渡しをしていました。若い頃の自分をもう一度 褒めてみる70歳になったポンコツジジイであった。

上記の動画を聴き飛ばした方、もしよかったら ちょこっと聴いてみてください。



  • 作詞:私の古い友人(南斗翔)

  • 作曲と編曲:私

  • 演奏と唄:私(若い頃は高い声が出てました、今は無理)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?