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<過激>ポールマッカートニー アルバムランキング

みなさんこんにちは。

先日ポールマッカートニーが12月11日にニューアルバム「McCartney III」をリリースすることを発表しました。

今年で78歳、ビートルズでデビューしてから60年近く最前線で活躍されている姿勢はもはや生きる伝説。自分も新作がリリースされるとアナウンスされると聞いて、久しぶりに今までリリースされたアルバムでも聴き返してみるか~と思いましてね。じゃあそれならついでにこのアルバムたちをランク付けしてみようということになり、今回の記事を書いているわけなんですよ。

発表に入る前に

まずは一応の確認とその他個人的なポールに対する思いです。

まず今回のランキングの対象はビートルズ解散以降に発表されたソロ、ウイングス、そしてファイアーマンで発表されたオリジナルアルバム28枚です。意外とポールのこの手のアルバムランキングってファイアーマンでの活動を省かれることが多かったんですけど、今回の企画ではそのファイアーマンの作品もカウントして行うという所が個人的な面白ポイントなわけです。

逆にオリジナルアルバム縛りなので、「Wings Over America」や「Good Evening New York City」などの傑作ライブアルバムも対象外となるのであしからず。

オーケストラ作品のリヴァプールオラトリオに関しては、筆者がクラシックに関する素養が皆無なためこちらも対象外とさせていただきます。

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ここからは個人的なポールに対する思いなんですけど、ポールマッカートニーというアーティストは歴史上最も優れたメロディメイカーであることは間違いないです。しかしアルバムを作るという点では超一流というわけでは無いというのが個人的な見解です。

特に顕著なのがサウンド面で、サウンドの分野に関してはかなり周囲の人間が支えているといっても過言ではないです。一回いいと思ったスタイルを何作も繰り返して使っては時代に取り残されそうになり、また周囲に新しい人材を登用して立て直しを図るといったことを延々とループしがちです。そしてポール一人でやらせるとめちゃくちゃ簡素なサウンドになってしまいがちなので、そういうところがポールソロはしょぼいといわれがちな所以だとは思います。(そう考えるとミーハーで芸術家気質のジョンとジョージマーティンがいたビートルズはポールにとってかなりいい環境なんだよなぁ)

あとポールマッカートニーのアルバムの評価って、常にビートルズらしさがあるかみたいな謎の基準がありまして、個人的にはそういう見方もなんだかなぁという感じなんですよね。(最近だと対ラムみたいな新たな評価基準も出来た気がします)

というわけで自分としては、しっかりと「ポールマッカートニー」という独立したアーティストへの評価を心掛けて順位付けをした所存です。さて本題に入るとしましょう。


28位 「Снова в СССР」

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1988年リリース

前作「プレストゥプレイ」があんま評価されない反動から、原点回帰としてソ連限定でリリースされたカバーアルバム。まぁこれが最下位なのはしゃーないかな。カバーアルバムはこれ以外にもあるけど、その中でも一番印象皆無だし。

27位 「Red Rose Speedway」

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1973年リリース

早くもウイングスが登場してしまいました。ポール史上最も激甘なバラード「My Love」が収録されてるけど、結局その1曲だけで終わった感があるし、サウンドもいつもの簡素なポールだし。正直ジャケット以外いいところないかも。「My Love」がハマらなかったら、ほんとに辛いアルバム。ヘンリーマカロック、ヒューマクラッケン、デヴィッドスピノザと地味に名ギタリストが参加してるのが面白い。

26位 「Driving Rain」

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2001年リリース

簡単に言っちゃうとつまらん、そして長い。サウンド的には「フラワーズ~」から「オフザ~」までのスタジアムロックサウンドの流れの先にこのアルバムがあるんだろうけど、いかんせん曲がパッとしないし長い。あと元嫁ヘザーのせいで評価低いって言われがちだけど、さすがにヘザー関係ないと思うわ。ヘザーが離婚した後にビートルズにハマった自分でもこの評価だし、そういうことだと思う。結論、長い。

25位 「McCartney」

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1970年リリース

「ビートルズ脱退後リリースされたポールマッカートニーのソロデビュー作は評論家から酷評された」って文、ビートルズ好きな人は絶対見たことある決まり文句だと思うんだけど、そりゃあの傑作「アビーロード」の次にこれ来たらそう言いたくなるよな笑。「Maybe I'm Amazed」は名曲だけど。

24位 「Give My Regards To Broad Street」

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1984年リリース

こいつのせいで80年代の作品群が暗黒期扱いされてると考えたら、マジで罪深い一枚だと思う。「No More Lonely Nights」はデヴィッドギルモアのギターも込みで名曲。あと「Silly Love Songs」も80’sなアレンジが上手くハマって良き。ただ他の曲はまぁオリジナルのビートルズの方聴けばよくない?ってなりがち。

23位 「Wild Life」

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1971年リリース

記念すべきウイングスのデビュー作。突貫工事感が逆にスリリングな空気感を醸し出しており、あぁライブやりたかったんだあなぁと思ってしまう。ただ曲に関しては可もなく不可もない、典型的なポールマッカートニーのアルバムなのがなぁ、、、

22位 「Run Devil Run」

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1999年リリース

前年死去した妻リンダの生前の提案によって作られたカバーアルバム。ピンクフロイドのデヴィッドギルモア、ディープパープルのイアンペイスなどの実力派が参加しているだけあって、演奏に迫力がある。ライブビデオの「Live at The Cavern Club」などこの時期のライブもおすすめ。

21位 「London Town」

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1978年リリース

ポール、リンダ、デニーの3人体制に戻ったことに加え、リンダが産休に入ったため実質デニーと二人で作ったアルバム。前作から見られたアーバンな作風で作れたら良かったんだろうけど、いかんせん前年リリースしたシングル「夢の旅人」が大ヒットしたせいで、カントリーっぽい曲が増えてどっち付かずになっちゃったのが残念。しかも「夢の旅人」入ってないし。

20位 「Venus and Mars」

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1975年リリース

ウイングスファンのみんな、ごめんな。。。

ウイングス全盛期にリリースされ、「バンドオンザラン」、「ラム」と並んで70年代のポールの人気作と名高い1枚。でも個人的にはこのアルバムの曲ってライブで化けるタイプの曲が多いから、「Wings Over America」のヴァージョンの方が迫力があるなと思ってしまった。

19位 「Electric Arguments」

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2008年リリース

ここで初めて来ましたファイアーマン。ファイアーマンとしては10年ぶりの作品となったわけだが、いかんせんポールのボーカルが入ったことでファイアーマンが持ちうる実験精神が消滅。

18位 「Kisses on the Bottom」

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2012年リリース

ロンドンオリンピック開幕式で大トリを務めた年にリリースされた、ジャズスタンダードのカバーアルバム。かつては七色の声なんて言われたポールもさすがに2000年を過ぎたあたりで声の衰えが見られてきた。でもこのアルバムでは逆にその衰えが渋みに変わり、結果としてボーカリストとしての才能が最も活かされた一枚になった。

17位 「Chaos and Creation in the Backyard」

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2005年リリース

巷では復活作みたいな扱いをされている作品。全ての楽器をほとんど自分で演奏したので、そういう意味ではマッカートニーシリーズの続編ともいえる。レディオヘッドを手掛けたナイジェルゴドリッチがプロデューサーに起用され、滅茶苦茶ダメ出しを食らいながら作ったらしい。確かにビートルズの幻影を追っかけるファンから人気が出そうな、素朴なTHE ポールマッカートニーのアルバムって感じはある笑。 

16位 「Flaming Pie」

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1997年リリース

そろそろ「お前はポールマッカートニーの良さを何もわかってない」って声が飛んできそう。これもなんかよくわかんねえけど、謎の根強い人気がある一枚だよねぇ笑。「Young Boy」は好きな曲だけどさ、そんないいかって言われたら個人的には疑問ではある。とはいえいつもの能天気で軽いポールな一枚。

15位 「Strawberries Oceans Ships Forest」

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1993年リリース

ファイアーマン名義では初のアルバム。確か同年リリースの「オフザグラウンド」のセッションで出来た素材と、ウイングスの「バックトゥジエッグ」の楽曲を元キリングジョークのユースによってリミックスされたものなんだけど、基本同じフレーズなのでほとんど作業用BGMみたいなアルバムではある。とはいえ音はらしくなくてかっこいい。

14位 「Wings at the Speed of Sound」

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1976年リリース

ポール以外のメンバーのボーカル曲が半数を占めているから順位を下げがちなアルバム。ここら辺から80年代のアーバンな作風は垣間見れるし、「Silly Love Songs」、「Let 'em In」みたいな人気曲も入ってるし意外と悪くはない。とはいえポールのボーカル曲メインで作ればもうちょい順位は上げれそうなんだけどね。

13位 「McCartney II」

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1980年リリース

ウイングス解散後、テクノに急接近した実験作。実際この頃YMOとレコーディングする予定があったそうなのだが、結果成田で逮捕、バンドは解散で「Frozen Jap」発表という苦々しい結末に。ただサウンドはYMOリスペクトなだけあって、結構今のインディーロックっぽい所があって面白い作品。

12位 「Ram」

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1971年リリース

あーあ、俺死んじゃうのかな

多分殺されるんだろうなぁー

はい。今じゃポールマッカートニーといえばこれだよねって言われるぐらい、歴史的名盤みたいな扱いを受けているアルバムだけどさ、個人的にはあんましっくりこなくて。でもみんな「ラム」は名盤みたいに言ってて言い辛い風潮もあるし、もどかしい一枚。「Dear Boy」「Uncle Albert」とかはいい曲だけどさ。多分こういう内省的な作風が近年のインディーフォークと上手くマッチして再評価された感じはあるよね。あと何気リンダのコーラスが一番上手に使えてるアルバムでもある。

11位 「Back to the Egg」

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1979年リリース

10年近く活動して一番ロックバンド感出てるアルバムがよりによって最後な、ウイングスのラストアルバム。「Arrow Through Me」はポールなりのシティソウルで、やっぱ現行シーンに合わせた曲作ると格の違いを見せつけてくるから凄い。そして豪華メンバーが参加した「Rockestra Theme」も収録されている。

10位 「Pipes of Peace」

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1983年リリース

よく「フラワーズ~」の余力で作られた「オフザ~」みたいなこと言うポールマニアがいるがそれは違うと思う。正しくは「タッグ~」の余力で作られた「パイプスオブピース」だ。とはいえマイケルジャクソンとの共作「Say Say Say」や「So Bad」など、アーバンなポールマッカートニーの最高到達点ではある。

9位 「Egypt Station」

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2018年リリース

現時点での最新作。「タッグ~」以来36年ぶりの全米1位を獲得したアルバムで、このニュースを聴いたポールファンが「まぁ『NEW』よりはいいしなwww」みたいな感じで急なdisが始まった時は、ほんとこいつら...とは思いましたけどね笑。ポールソロにしては統一感のあるコンセプト物で、構成なんかは上手いんだけど、いかんせん「Fuh You」ぐらいしか飛びぬけていい曲がないのが。ただ「Fuh You」はほんとすげぇよ。

8位 「Memory Almost Full」

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2007年リリース

スターバックスコーヒーが運営するレコード会社に移籍という謎ムーブをかましてリリースされたアルバム。実はポールソロの第2の全盛期ってここからなんじゃないかと思ってて、メロディメイカーとしての良さとクリエイティビティな資質が現代のテクノロジーと上手く相乗効果を生み出した気がするのが多分この時期なんですよね。前半はかなりキラーチューン揃いなんだけど、後半は失速するというポールソロあるあるはこのアルバムでも炸裂。

7位 「Press To Play」

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1986年リリース

本人が駄作認定してるせいで、大半のポールソロランキングで最下位候補扱いされてる不憫な一枚。このアルバムに関してはよくドラムが80年代感あって陳腐みたいなこと言われてるけど、元が簡素なサウンドを志向する人なんだから陳腐もクソもねーわ!ってことだけは言いたい。それにポールってこういう時代に寄り添った作風の曲作ると、メロディの良さが際立ちその凄みを再確認できるところがあるんですよ。というわけで駄作じゃないし、むしろ普通にいいアルバム。

6位 「Rushes」

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「マッカートニーII」から続いたテクノな一面がようやく花開いたファイアーマンの2作目。アンビエント、インダストリアル、チルといった要素がふんだんに詰まったサウンドスケープは圧巻。ただビートルズの延長でポールソロを聴いてる人たちがこれを聴くかと言われたら、まぁ、、、うん。

番外編 「The Lost Pepperland Album」

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1987年リリース予定

ポールマッカートニーには実はお蔵入りになった幻のアルバムがある。それが「ロストペパーランドアルバム」だ。「サージェントペパーズ」の20周年を受けて制作されビリージョエルなんかとの仕事でお馴染みフィルラモーンをプロデューサーに起用、録音も完了したにも関わらずポールとラモーンの食い違いが原因でお蔵入りとなった。その後正規リリースされたり、曲構成が変わって(「This One」など)リリースされたものもあるが、未だ謎が残るアルバム。ただ正規リリースされた名曲「Once Upon A Long Ago」や海賊版音源などを聴く限り、相当いいアルバムになれるだけのポテンシャルは感じ取れたので非常に残念。

5位 「NEW」

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2013年リリース

4人の若手プロデューサーを起用し、ポール本人も新しい試みと話したアルバム。確かにフレッシュな感じは物凄いあるし、曲の方も今までにない特色もあってとても良い。そして「NEW」や「Save Us」、「Queenie Eye」など曲の強度が高く、ビートルズ経由のファンからも受け入れられた傑作。

4位 「Off the Ground」

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1993年リリース

1989年にウイングス時代以来となるワールドツアーを開始、同時にビートルズ時代の曲も解禁。完全にエンターテイナーとしての自身を取り戻し、その時のツアーメンバーで作ったのが今作。そのためバンドサウンドの力強さがあり、オーバーダブも最小限ながらポールソロあるあるの簡素な感じになってないというある意味快挙を成し遂げてる。そして「C'mon People」で締めるラストも圧巻。

3位 「Tug of War」

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1982年リリース

日本で大麻所持で逮捕、ウイングス解散、そして盟友ジョンの死とどん底にいたポールが、ビートルズ時代の名伯楽ジョージマーティンを再び招き制作された名盤。サウンド自体はソフトなタッチな物が多いけれど、未来への淡い思いを歌う表題曲や、ジョンへの追悼曲「Here Today」、スティービーワンダーと共演した「Ebony and Ivory」などメッセージ性のある曲が多く、その陽と陰の対比が美しい。

2位 「Flowers In The Dirt」

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1989年リリース

コステロ、マジグッジョブな一枚。前作「プレス~」で見られた80年代への執着みたいなサウンドのとげとげしさはやわらぎ、天才メロディメイカーとしてのびのびとやれている印象が伺える。五角形のバランスが全て均等な一枚。

1位 「Band on the Run」

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1973年リリース

やっぱり一位はこれしか考えられない不動の名盤。ビートルズ解散後どこか音楽の神から見放されてた感があったものの、いろいろな苦悩を乗り越え生まれた難産アルバムだが、名曲製造機としての能力は見事復活。「Band on the Run」、「Jet」、「Let Me Roll It」、「1984」など今でもライブのセットリストに組み込まれている名曲が収録。



いかがだっただろうか?

あくまでも個人の独断と偏見でランク付けしているので、世間一般の価値観とは違うので、あくまで一リスナーの意見としてみてもらえればなぁといった感じです。

皆さんもこれを機にポールマッカートニーの作品に触れてみては?

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