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愛と青春にまみれたColdplay全アルバムランキング

ゆずがインディーズ時代に発表した「連呼」という楽曲の歌詞の中にこんな一節がある。

久しぶりに会った友達が
何かヤな奴に変わってたよ
いい奴だったのに
その友達はこう言ってたよ
「お前全然変わってないね」
って
お前が変わりすぎ

なんかあるあるだよなぁこの歌詞。中高の時に学校でもおとなしい方だったあいつが、ほっそい眉毛ときったない茶色のプリン頭して、インスタに地獄のような飲み会の様子を投稿してたりとかさ。あとはそれなりにモテてた女子が、整形と別人のようなメイクで、右手にセブンスターと左手にストロングゼロの状態で水商売に走ってたりとかね。ちなみに全部フィクションだよ。

そりゃそうだ、この曲を歌ってるゆずだって純朴なフォークデュオだったはずなのに、歌が下手なイケメンの方が歌はどんどん上手くなるし、栄光の架橋渡り始めた挙句、勇気をだして虹を描いちゃうぐらい変わってるんだ。別に笑顔が胡散臭いありきたりなJ-POPデュオになったなんて思ってませんよ。

人は年を取れば否が応でもかわるもんなんですよ。スピッツみたいないつの時代も名曲しか作ることのできない音楽モンスターの方がおかしいんですよ。普通は。でも急激に変わっちゃうと、えぇ...ってなっちゃう気持ちはわかるぜ。そうだろ?コールドプレイファンのみんな???

最恐の大学デビュー

青春の全てを捧げてきた部活。全力でぶつかったにも関わらずギリギリのところで負けた夏の地区予選。受験があるからと言われ実はバスケ部の塩顔長身イケメンと浮気してたことを知ってしまった秋のある日。前日ゲン担ぎで食べたとんかつのせいでうんこが止まらなかったセンター試験を経て、夢と希望に胸を膨らませている新入生が、デビューしたばっかのコールドプレイです。

なんかこの頃のコールドプレイ、地元のGUで買ったデニムジャケット着てそうじゃない?持論なんだけど大学の新歓期間でデニムジャケット羽織って、緑のスタンスミス履いてる奴大体新入生っていう持論あるんだけどわかるかな?どこか純朴でいながら繊細かつ美しい楽曲を武器に、同世代のMUSEらと共に00年代UKロックシーンを代表するスタジアムバンドへと成長していったのが初期コールドプレイなんですよね。

来るべき華のキャンパスライフに胸をときめかせ、地元を離れまだ家具も揃ってない安いアパートへ向かうため特急電車に乗り込む。そんな感じがするのがこの頃のコールドプレイなんですよねぇ。さてさて新入生のキャンパスライフはいかに、、、

新入生よ、何があった???

あぁ、大学って苦労して入った割にはこんな無意味な場所やったんだな。お、このサークル初心者にも優しいってま?新歓たこ焼き食い放題ってま?よし、見学してみるか!って新歓に向かったのが最後。

パラ~パラ~パラダイスw \オウオウオウ/
パラ~パラ~パラダイスw \オウオウオウ/
クリス飲んでなくない?うぉううぉう↑
クリス飲んでなくない?うぉううぉう↑

なんということでしょう。そんな尖らせて意味あるんてぐらいワックスでキメにキメまくった金髪頭に、パチモンのSupremeの白Tシャツとびりびりに破けたジーンズ履いて、飲みほでバカ騒ぎする底辺大学生に変わっているじゃないですか。

そうこれが初期ファンが抱いてる、10年代のコールドプレイに対してのパブリックイメージなんですよ。もう僕らのコールドプレイじゃなくて、パリピのためのコールドプレイなんですよ。

えぇ、、、学生時代は環境問題について学び、所属するボランティアサークルでの活動を通じ、ミュージシャンのワールドツアーは地球環境に良くないと思い、、、

といった具合に突然落ち着き始めた大学4年生の状態に近いのが、最近のコールドプレイです。いるよねぇこんな感じの嘘松就活生。まぁあくまでもこれはちょっと誇張したイメージなんで、実際のコールドプレイは真面目で実直すぎて巨大化しちゃった赤井さんみたいなバンドだから笑。

ざっくりとコールドプレイのスタイルの変化がわかってもらえたと思うが、バンドのスタイルが10年代を境にガラッと変わっているので、その時代の支持層によってだいぶ見方が変わってくるバンドなんですよね。

んで、一般的に評論家筋からも評価が高いのは初期のころの作品で、他のサイトのコールドプレイ人気アルバムとか見ると、初期のアルバムが上位ってのが主流の流れみたいなところはあるんですよね。

でもこれが酷いと10年代のコールドプレイは聴く価値が無いとか、コールドプレイは商業主義に魂を売っただのボロクソ言われてたりするからえぇ...ってなったりするわけです。確かにレディオヘッドみたいな成長曲線を期待していたUKロックファンからすれば、そりゃあんまりだよって言いたくなるのも分かるんですけど。

ただ「A Sky Full of Stars」がリリースされた頃高校生だった自分の体感としては、いわゆるパリピと呼ばれる人たちがコールドプレイを聴いていた印象って皆無なんですよね。コールドプレイ?なにそれ?ブルーノマーズ聴こうぜ的な。それこそEDM好きが「A Sky Full of Stars」と「Something Just Like This」が有名DJとコラボしてるから聴いてみよう的なノリで聴かれてた印象の方が強いかな。とにもかくにも10年代の若いリスナーからすると、アナザースカイで流れてそうな曲をやってるバンドって印象が強く、ミーハー層にはあまり刺さらないベテランって感じが正解な気がします。

そう考えると今のコールドプレイって、様々な層から色んなイメージをつけられたことによって、意外とフラットな目線で聴かれている機会を逃しているんじゃないかと思ったわけなんですね。そういうわけで今回は純粋にフラットな目線で、コールドプレイのアルバムランキングを作っていこうじゃないかという所存でございます。これからコールドプレイを聴くよって人にも参考になれるよう作っていきたいと思うので、そこのところよろしくお願いします。

では早速ランキングを発表します。

8位 X&Y

記念すべき最下位は2005年発表の3作目「X&Y」です。えぇっ、コールドプレイ史上屈指の名バラード「Fix You」が収録されているのに最下位!?って意見が飛んできそうなんですけど、このアルバムの恐ろしい所はその「Fix You」がかすむレベルで全体的に重厚にしすぎたがゆえに、胃もたれしてしまう所である。

コールドプレイというバンドは謎にスケールの広いサウンドが特徴のバンドなわけだが、このアルバムはとにかくそれが過剰なわけなんですね。一曲単位で聴くとそんな悪くないじゃんってなるんですけど、全体で聴くとなんか疲れてくるなってなるのが「X&Y」の醍醐味?であります。とにもかくにも大げさの一言で片付くアルバムなわけです。これに加えて収録時間も全アルバムの中で長く、それもこのアルバムが長ったらしく感じる要因かもしれませんね。

<おすすめ曲>

まずはコールドプレイ屈指の名バラードの一つ「Fix You」ですね。徐々に盛り上がっていく感じや圧巻の美メロなんか見ると、やはりUKロックの系譜にいるバンドなんだなと思わせてくれます。そしてこの曲の歌詞、特にラスサビのところはもう鳥肌もんで、全俺が泣いたよね。

一曲単位で見るとそんな悪い曲は入ってないんですよねこのアルバム。その中でも推したいのがこの「Low」という楽曲で、このアルバムはベルリン時代のデヴィッドボウイからの影響を受けていると公言している通り、タイトルもボウイが76年に発表した名作からの影響を感じさせるし、なによりも当時のボウイの相棒にして、後のコールドプレイ躍進の立役者となるブライアンイーノがシンセサイザーを弾いているという点でも注目すべき曲だ。

7位 Ghost Stories

7位には2014年発表の6作目がランクイン。ボーカルのクリスマーティンがグヴィネスパルトロウと離婚したことによって、久しぶりに内省的な世界観のあの頃のコールドプレイが帰ってきたと思ったのに、最後の方に「A Sky Full of Stars」というゴリゴリのEDMが来たことで初期ファンを混乱の渦に落とし込んだ一枚。

ここでモノ申したいことがあって、それはおとなしい曲ばっかだったらすぐ名盤!っていう風潮で、ナードなコールドプレイ=良いってわけじゃないぞとだけは言いたいんですよね。特に本人たちも製作期間はずっとボンイヴェール聴いてたって言ってるのも納得だよ、まんまボンイヴェールみたいじゃんって楽曲もあるし笑。こういう所も含めて「Viva La Vida」以降の彼らって、時々インディーシーンへのあこがれみたいなものをのぞかせるところがあって、今作はその傾向がかなり漏れ出てるなという印象があります。とはいえ一言で言えばおとなしい作風です。

<おすすめ楽曲>

ボーカルのエフェクトがボンイヴェールのそれじゃんでお馴染みの一曲です。とはいえ前作のはっちゃけ具合を考えると、かなり冷え切った世界観の一曲となっているものの、エレクトロっぽい所もあるという新たな一面を見せた一曲です。

いやぁこの曲はほんと売れたよね笑。「Wake Me Up」と共にAviciiの名前を日本に知らしめただけでなく、EDMを世界的な地位に押し上げた記念碑的な名曲ですよ。ドラマティックかつ美しいメロディと、そこに乗っかるAviciiのビートが相乗効果を生み出してて、ほんとに素晴らしい。

6位 Everyday Life

このアルバムもどういう評価に落ち着けようか迷いました。当時ゲリラ的にリリースされて、結構初期路線が好きな人からも評価が高くて、というかほぼ絶賛みたいな風潮だった中、自分はうーんって感じで首をかしげてたんですよね。なんでかっていうと今までのアルバムの中で、突出していい曲が無いんですよね。先行発表されたのが「Orphens」だけで、間髪入れてリリースされたからなんとなくそんな気はしてたけど、まさかホントに当たるとはっていう。

とはいえ音楽好きが褒めたくなる気持ちも分かちます。このアルバムのコールドプレイ、全然オーバーなところが無く控えめなんですよね。それでいながら地中海とかラテンっぽい感じの要素を取り入れたり、あとアルバムに一貫性も感じられるし、なんかアナザースカイで使われてそうで良いとは思うんですよ。実際リリースされてから考察するために何回も聴いてて、今では普通に好きなアルバムなんですけど、ただ絶対的アンセム不在が痛すぎるため残念ながらこの順位に。

<おすすめ曲>

このライブ映像は本当かっこいいですよね。この泥臭い感じが新境地って感じがして、バンドとしてなんだかいい年の取り方をしているなと思います。

この曲なんかは確かに初期っぽいですね。広大なエコーが掛かったような壮大なサウンドスケープと、くったりとした感じのバンドサウンドがいい化学反応を起こしてていい曲ですよね。1曲ごとの平均レベルは高いアルバムなんだけどなぁ、、、

5位 Mylo Xyloto

コールドプレイが陽キャバンドとか言われるようになった原因のアルバムであり、静寂さの中で光る広大なサウンドスケープをバンドに求めていた初期からのファンをふるいにかけた一枚です。自分は完全に後追いの人間だから、初期から追っかけている人たちがこれを初めて聴いた時の心境を知りたいもんです。

「Paradise」、「Charlie Brown」といったアンセムを筆頭に、シンセサイザーを大胆にあしらったポップサウンドが持ち前のソングライティングセンスと合わさって、とにかく耳馴染みのいい曲が多いです。でもいかんせん前半にヒット曲を畳みかけてしまったせいか、後半少し尻すぼみしてしまうのがちょっと残念。

<おすすめ>

今でもよく日本のバラエティ番組なんかでも使われてる、10年代コールドプレイの代表曲の一つ。サビのフレーズなんかはコールドプレイを知らない人でも一度は聴いたことがあると思うし、そういうことを考えるとここ近年の日本で高い認知度を得られた洋楽の曲だと思います。

あんまり知名度のある楽曲じゃないけど個人的に好きな曲で、このアルバムの中で最もロックしている曲。やるならとにかくドバァァっとド派手でグワーッっと大げさにやるのがこのバンドの良さだと思ってるので、そういう良さが一番が出てるアルバムだと思います。

4位 Viva La Vida or Death and All His Friends

コールドプレイといえばやっぱこれだよねって言われるくらい、高い知名度と人気を誇る一枚。ロッテがトッポのことをやっぱこれだねって言うのと同じで、コールドプレイにとってのやっぱこれだねが「美しき生命」なわけなんです。

でも意外と通しで聴いてみるとキャリアの中でも異質な感じがするんですよね。明るいか暗いかで分けようとしてもどちらかに振り切っているわけでなく、とにかく戦闘意欲が高い感じがあると言いますか。例えで言っちゃうと普段そんな目立たないクラスのあいつが、体育祭当日になった瞬間急にやる気を出して驚異の活躍を見せることありませんでした?そんな感じのアルバムなんです。

報道ステーションのスポーツコーナーで松岡修三が錦織圭のニュースの前振りをする時に流れるでお馴染みの、ぐうの音も出ない大名曲です。この頃のクリスマーティン、ルックスとか衣装も含めて大好きだし、実際この頃のビジュアルの印象が強い人多いと思う。

コールドプレイのインディーロックこじらせ病の一つにして、コールドプレイってシューゲイザー出来んのかよっていう、彼らの音楽IQの高さがよくわかる一曲。実はこのアルバムの数少ない悪い所の一つとして、5曲目の「Lovers In Japan」と6曲目の「Yes」に隠しトラックがあるところなんすよね。1曲単位で聴きたいとき毎回早送りしなきゃいけないという手間があってまぁちょいめんどいよねって話。(正確に言えば5曲目の隠しトラック「Reign Of Love」はクレジットにあった気がするが、上にリンク張った「Chinese Sleep Chant」はノークレジットだった気がする。そこらへんうろ覚え)

3位 Parachutes

はいはい初期ファンの皆さんお待たせしました、皆さんが愛してやまないあの頃のコールドプレイでございますよ。いやなんか煽りみたいな文になってしまったが、実際このアルバムは良いアルバムなのは揺るがない事実ですよね。

とにかくドバァァっとド派手でグワーッっと大げさにやる今の彼らからすると、びっくりするくらい質素で素朴なサウンドアレンジだし、歌詞も僕と君だけで完結するような内向きなものが多いんだけど、逆にその簡素なアレンジが曲の良さをぐっと際立たせているし、何よりもこれからとんでもないバンドになるんだろうなぁという潜在的なパワーが漏れ出ているのを楽しめる一枚なわけなんですわ。

今回の記事で2度目の登場なんだけど、この曲はほんとに名曲過ぎる。伝説の始まり、原点にして頂点、全てはここから始まった、2000年代の重要文化財、既視感の正体はくるりの「バラの花」のMV、ユニクロで3000円で売ってそうなウインドブレーカーだな(カミナリたくみ君口調)、などなどいろいろの呼び名があるが、紛れもなくUKロックの長い歴史を彩る名アンセムです。

「好きな曲はYellow?にわかやんwww俺が一番好きな曲?もちろんShiverっしょ」って具合にShiverを挙げたら通みたいな風潮、少しあるよね?こないだサマソニの配信でこの曲がリリースされた頃のMUSEのライブ映像を見たんですけど、00年代UKロックを代表するスタジアムバンドに成長するMUSEとコールドプレイの両者が、スタート地点では共にレディオヘッド的なアプローチから始まってるのなんか面白いなって思ったんですよね

2位 A Rush of Blood to the Head

米国でのブレイクのきっかけとして彼らの世界的な人気を確立し、最高傑作との呼び声も名高い一枚がこの順位にランクイン。やっぱこのアルバムの完成度は規格外だよね。長い間名盤ランキングの常連に君臨しているだけあるしクオリティは抜群に高い。

前作以上にクリスマーティンのピアノの美しさをフィーチャーし、空間的なサウンドスケープを確立されたことで、コールドプレイ=壮大というパブリックイメージが定着。一つ一つのサウンドの研ぎ澄まされ方も非常に冴えわたっており、後々の音楽シーンへの影響も計り知れない印象があります。

伝家の宝刀ともいえる、誰しもが一度は聴いたことがあるはずのあの美しいピアノイントロから始まる名曲。まさにコールドプレイとも言うべき、美しい一曲。とにかく全てが美しい一曲。そう、この曲は佐々木希のような曲なんです。

この曲も名バラードですよねぇ。決して大きな盛り上がりを見せるわけでもなく淡々と進むんだけど、ひたすら美しく感傷的なメロディがすごく心に刺さってくるんですよね。沁みるってこういうことなんですよね。

1位 A Head Full of Dreams

栄えある第一位は10年代コールドプレイの大傑作「A Head Full of Dreams」となりました。このアルバムはいわば陽キャサイドのコールドプレイなんですけど、まずアルバムに一貫性があるうえに、楽曲の配置バランスが巧みかつバラエティ性に富んでいて全く飽きないんですよね。

当時最初の先行曲だった「Adventure of a Lifetime」の時点でただならぬ気配があったし、突発的なリリースだった「Everyday Life」のアンセム不在具合を思うとメンバーも相当自信があったのかなと思います。そして10年代に急激にポップシーンの最前線へ接近したことの彼らなりの総括がなされたうえで、しっかりそれが作品にうまく投影されている名盤だと思います。

いつ聴いてもわくわくさせてくれる一曲です。当時ブルーノマーズを筆頭に、80'sのディスコっぽい曲調が流行ってる中でそれを上手く昇華させているダンサブルなナンバーです。

そしてユニークなMVが印象的なこの楽曲。この曲が最後を飾ることでアルバム全体が締まって、有終の美を飾った感じを演出しているんですよね。1曲単位で聴くと普通にいい曲だなで終わるかもなんだけど、アルバムの流れとして聴くと凄くぐっと来る不思議な曲です。

総括

改めて通しで聴いてみて思ったのが、とてつもないモンスターバンドなんだなということ。どの作品もクオリティは常に平均値を超えてくるし、どのアルバムにも強度の高い楽曲が連ねている。それでいながら20年近くシーンの最前線で活躍し続けるんだから本当に凄いバンドだと再認識。皆さんもこれを機にコールドプレイをもう一度聴き直す、またはチャレンジしてみては?

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