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恋愛への執着を手放したい④

彼の転職活動について

メインのシリーズの方に書いたが、あまり順風満帆とはいえない経過を辿っている。
まず第一志望が実は書類選考落ちだったらしい。
第二志望が好感触なのでよかったじゃんと私は彼に言ったが、よくよく研究施設の所在地を調べると一箇所彼にとって耐え難いど田舎にあることがわかり、しかもどの研究施設に配属になるかは採用後決まると言う。
決して強くはない彼のメンタルは毎日震度2-4くらいの間を行き来している。こんなに電話してくる人だったっけと思うほどよく電話をかけてくる。

現職でリーダー業務をしている上に転職活動が乗っかっているので、家のことなど当然後回しになる。私も現職の試験を受ける時、部屋がぐちゃぐちゃになったが、ぐちゃぐちゃの家で過ごすのは結構ストレスでしんどい。なので、家事は私に「アウトソーシング」したら?と提案してみた。どのみち私たちは互いに寂しがりなので週末は基本会わずに過ごせない。タスクに溺れている彼は申し訳ない気持ちはあるがぜひお願いしたいと言った。

こうして私は週末になると、1週間分丸々溜め込んだのを取り繕うかのように、乾くはずのないやり方で干された洗濯物の尻拭いをし、きれいに畳んで並べる。そして、実家の畑から拝借した野菜の力を借りて食事を用意し、冷凍ご飯のストックを補充。飼い猫の水を変え、猫の毛だらけの空気清浄機のメンテをし、同じく猫の毛だらけのラグと彼に譲ったダイソンで戦っている。
猫のトイレは彼が自分でやるといって譲らないが、スタンディングスタイルをやめようとしない彼のトイレ掃除は私がする。
半同棲期間がめちゃくちゃ長い私。
家事力はたぶん申し分ない。
課題に疲れ、調子に乗った彼に「オカン〜笑」と言われた時に怒りはしないがめちゃくちゃ威嚇してやったのはさておき。

日曜の夜、私が帰る数時間前になると寂しがりスイッチが殆ど必ず入る。
そして先日とうとう泣き出した。
彼の涙を見るのは、私が借金をカミングアウトして別れを提案した時以来だった。
まとまってなくていいから思ってること言うてみ?キャッシュクリアするみたいにさ、人って話すとちょっとくらいは心の容量空くのよ、と伝えた。
彼は「何の為に転職頑張ってるかわかんなくなったの。僕は人依存だから、誰かといないとだめだし、でもそれは誰でもいいわけじゃない。〇〇と一年遠距離するの想像つかないし耐えられる自信ない。しかも本当に一年待ったとして、来てくれるかなって不安にもなるし。一緒にいたい気持ちが強いから、〇〇の幸せを切り離して、自分のことだけ考えるってことができないの」と言った。そして、田舎での生活がそもそも致命的に自分に合わないと思っていることを話し、ポロポロと涙をこぼした。

一緒にいたいことを主な理由にして弱っている姿を見せられると、ダメンズウォーカーとしてはかなりグッとくる。しかも、あまり大っぴらに書いていなかったが彼はかなり顔面が強い。
ダメンズウォーカーの天敵だ。
だが私は恋愛依存から抜け出したい人間だ。
なんとか理性の自分を繋ぎ止め「私も一緒にいたいからあなたがどんな選択をしてもついて行っちゃう!きゃぴ」と振る舞うのはやめにした。
根底にあるのは不安と混乱とストレスだよね?と伝え、どう言う場合なら転職を選ぶのかを一緒に整理し、プライベートにおいて大切にしたいこと(田舎でも最低限都心へのアクセスが良くないと嫌、友人や知人が近くにいる環境が良い、など)が転職活動を通して浮き彫りになったこと、現職の価値を見直せたことは大きな収穫だったじゃんとポジティブに話をまとめた。

そしてわたしは、人は変わるものだから、一年後も私と一緒にいたいって思ってるかなんてわかんないんだし、環境が変わればよりいい縁があるかもしれないんだから、自分と根深く紐づいているもの(ここで言えば仕事)をもっと大事にして頭捻って身の振り方考えないと後悔するよと可愛くないことを言った。
私は自慢じゃないが結婚相手候補に入るのは得意だ。付き合うまでに至らなかったのにもし相手に困ることがあったら声をかけてほしいと言ってくれる人もいるし、過去の恋愛でも結婚を視野に入れた交際しかない。
それでも相手の気がかわるということを2度も経験したので、本当、その点については冷めているというか、言葉そのまま信じちゃいけないと思っている。

彼は気が変わることなんてないと偉く真剣な眼差しで言っていたが、徐々に気持ちが落ち着いてくると、ひとしきりデレ期の猫みたいに振る舞いその後YouTubeのショート動画を見てケラケラ笑い始めた。

切り替えがよくわからん。
半ば呆れながら、なんかデジャヴだなと感じた。でもその理由はわからなかった。
ちなみに、後日「前から思っててんけど、あんたの彼氏ハウルみたいやな」と母に言われ、無事アハ体験をした。

依存関係に引きずられないための心得

文面をパッと見た感じだと、オカンと言われても仕方ないほど身の回りの世話を率先してこなし、心が弱れば根気良くヨシヨシしているわけなので、かなり都合のいい存在になっているように見えると思う。
だが、彼は彼で、私が作った食事に一切文句を言わず、毎回「おいしい〜、いつもありがとう」とコメントし、帰る時間が近づくと準備をさりげなく促してくれ、駅まで着いてきて一緒にいてくれてありがとうと毎週のように伝えてくれる。借金まみれであることを馬鹿にしたり借金の事実を知ってから態度を変えるようなことはなく、本当に困窮していた時は毎週うちにご飯食べにおいでと言ってくれ、高いものは奢れないけどねと言いつつ、嫌味の一つも言わず週末同棲の費用を全額出してくれていた。
私の中で、尽くすも尽くされるも、大体半々くらいの割合でと、自分ルールを課している。
どちらに傾いても、関係性が崩れるのを経験則で学んだためだ。
肌感覚だと、彼との関係性は割とイーブンに保てている。恋愛を楽しみたかった時期とは違い、今となっては、理性に仕事をしてもらって、きちんと結婚までたどり着くことをゴールにしているので、彼と自分の境界線を引けず依存に偏ることもほとんどなくなった。
たとえあなたでなくても、私は伴侶を必ず見つける。そのために自分磨きと精神的自立を意識して過ごす。

それにしても、スナフキン系男子の次に、ハウル系男子にひっかかった私ってしっかりダメ女だよな、とふいに自覚的になる今日この頃。

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