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【絵本レビュー】 『おおきなおおきなおいも』

作者/絵:赤羽末吉
原案:市村久子
出版社:福音館書店
発行日:1972年10月

『おおきなおおきなおいも』のあらすじ:


楽しみにしていたいもほり遠足の日、雨が降って延期になってしまいました。残念がる子どもたちは大きな紙においもを描きはじめます。紙をつなげてつなげて、おいもの絵はどんどん大きくなります。大きなおいもは、ヘリコプターで幼稚園に運びます。プールに浮かべて船にしたり、かいじゅうにみたてて遊びます。たくさん遊んだあとは、天ぷら、焼きいも、大学いも、たくさん作っておいもパーティ! 大きなおいもをめぐる子どもたちの空想がつまった絵童話です。

『おおきなおおきなおいも』を読んだ感想:


芋掘り遠足、私も行きました。今もしているんでしょうか。私たちの小学校では種芋を植えるところからしました。その数ヶ月後また戻って芋掘りとなるわけですが、私にとっての難点はバス旅行でした。乗り物酔いしやすかったので、遠足はとても憂鬱なものでしたが、芋掘り自体はとても楽しかったです。

しばらく食べていないけれど、私は焼き芋が大好きです。ふかし芋じゃダメなんです。焼き芋。皮も程よく焦げていてパリパリ食べられるようならなお良いのです。真っ黄色の内側とピンクがかった外側のコントラストが美しい。そんな焼き芋が大好きです。

初めて食べたのは、幼稚園の時。母が友達に会うのについて行ったのはいいけれど大人ばかりでちょっと退屈していたその時、外から聞こえたんです、「ぷー」というラッパのような音が。その後くぐもったような声で何か言っていましたがよく聞き取れず、私は言われぬ恐怖を感じました。母に近寄り抱きつくと、母はケラケラと笑いながら言いました。
「焼き芋屋さんだよ。買おうか。」
彼女の友達も「いいねえ」と盛り上がり、母は私を友人たちに託すと道へ出て行きました。少しして戻ってきた母の胸に抱かれているのは、新聞紙に包まれた何か。なんだか香ばしくて甘い匂いが部屋いっぱいに広がりました。

母はそれを新聞紙ごとごろりとテーブルの上に開けると、中から数本の焼けたサツマイモが出てきたのでした。「うわ〜」という声とともに手が伸びてきて、イモが消えていきます。母も一つとり、半分に割ってくれました。目の覚めるような黄色のイモから湯気が立ち上っています。息を何度も吸い込みたくなるような甘い香り。私は今までの退屈さも忘れてうっとりしてしまいました。

「食べてみ」
母が皮の上の方を剥いて焼き芋を渡してくれました。一口食べるとホクホクで熱々。こんなに美味しいものは食べたことがない、と思った私はどんどん食べました。普段とても少食だったので、母は嬉しかったんでしょうね。母の分も分けてくれました。もちろん皮まで完食しました。

ヨーロッパのサツマイモは水気が多く、焼いてもなんだかびちょびちょになってしまうことが多いので、日本の焼き芋がとても懐かしいです。最近ではスーパーでも焼き芋コーナーがあって美味しいものが簡単に買えるので便利ですね。でもやっぱり軽トラで回ってくる焼き芋屋さんが売ってる焼き芋が、一番美味しいような気がします。

『おおきなおおきなおいも』の作者紹介:


赤羽末吉
1910年東京生まれ。1932年渡満。戦後は子どものためのさし絵の仕事に情熱をかたむけ、1959年、日本童画会展で茂田井賞受賞。1965年には「ももたろう」(福音館書店刊)と「白いりゅう黒いりゅう」(岩波書店刊)で、さらに1968年には「スーホの白い馬」(福音館書店刊)で、それぞれサンケイ児童出版文化賞を受賞。1990年没。



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